KPIは企業の目標達成に欠かせない指標であり、適切に設定することで生産性や従業員のモチベーション向上も期待できます。特に対応品質、効率性、顧客満足度の向上に欠かせません。本記事では、コールセンターにおけるKPIについて、これらの観点から詳しく解説します。
KPIとは目標の達成度を測る指標
KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」と訳され、業務の成果や進捗を測定する指標です。コールセンターでは、適切なKPIを設定することで業務改善の進捗を把握し、課題に応じた対策を講じることが可能です。適切なKPIの設定により、目標達成までの進捗状況を把握し、改善策を講じられます。
【一覧】コールセンターのKPI
業務改善や顧客満足度向上のためにKPIを設定します。KPIは、目的別に「対応品質」「効率性」「顧客満足度」に分類でき、それぞれの指標を把握することが重要です。以下に、活用される主なKPIを示します。
▼対応品質に関係するKPIの一覧
- 応答率
- 放棄呼率
- 一次解決率
- モニタリングスコア
▼効率性に関係するKPIの一覧
- 稼働率
- 平均処理時間(AHT)
- 平均後処理時間(ACW)
- 平均通話時間(ATT)
▼顧客満足度に関係するKPIの一覧
- CS(顧客満足度)
- NPS®(顧客推奨度)
コールセンターの対応品質に関係するKPI
対応品質向上に役立つ主要なKPIを解説します。
応答率
応答率とは、着信した電話のうち、オペレーターが対応した割合を示す指標です。計算式は「対応件数 ÷ 着信件数 × 100%」で求められます。応答率が低い場合の原因としては、対応人員不足や一時的な着信増加、システム障害が考えられます。
放棄呼率
放棄呼率とは、オペレーターが対応する前に切れてしまった電話の割合を示す指標です。計算式は「放棄呼数 ÷ 着信件数 × 100%」で求められます。例えば10,000件の着信があり、放棄呼が500件の場合、放棄呼率は5%となります。放棄呼率が高い場合の原因としては、電話の集中や人員不足、対応時間の長さなどが考えられます。放棄呼率を適切に管理することで、顧客の待ち時間短縮や満足度向上につながります。
一次解決率
一次解決率(First Call Resolution:FCR)とは、顧客からの問い合わせに対して、1回の対応で問題を解決できた割合を示す指標です。計算式は「1回で解決できた件数 ÷ 着信件数 × 100%」で算出され、すべての着信数に対して、1回で問題を解決できた割合を計算します。この指標は効率性や顧客満足度に密接に関連しており、一次解決率が高いほど顧客満足度が向上する傾向にあります。担当者のトレーニングや顧客ニーズの正確な把握によって、一次解決率を向上させることが可能です。
関連記事
モニタリングスコア
モニタリングスコアとは、担当者の応対内容を評価し、その結果を数値化したKPIです。スクリプト遵守や言葉遣い、提案力、問題解決能力など、応答時間や処理時間だけでは測れない応対品質を分析するために設定します。モニタリングでは、担当者の対応内容を録音し、管理者が業務遂行力や言葉遣いなどを評価します。これによって課題が明確になり、改善策を講じられます。モニタリングにより課題を可視化し、改善策を具体的に検討できます。
関連記事
コールセンターの効率性に関係するKPI
業務効率を評価する主なKPIを紹介します。
稼働率
稼働率とは、オペレーターが労働時間内で対応業務を行っている割合を示す数値です。計算方法は、応対時間、保留時間、後処理時間、待機時間を合計し、それを労働時間で割ることで求められます。適切な稼働率の維持が、業務の効率化と従業員の負荷軽減につながります。
平均処理時間(AHT)
1件の対応にかかる時間を示します。計算式は「(総通話時間+総後処理時間)÷ 総対応件数」。AHTが長すぎると効率が悪化し、短すぎると対応品質が低下する可能性があるため、適切なバランスが求められます。
平均後処理時間(ACW)
通話後に行う記録作業などにかかる時間です。「総後処理時間 ÷ 総対応件数」で算出され、ACWの短縮には業務フローの改善やツールの活用が有効です。
平均通話時間(ATT)
通話にかかる平均時間を表す指標で、「総通話時間 ÷ 総対応件数」で算出されます。長すぎると業務効率が下がり、短すぎると十分な対応ができていない可能性があるため、適切な時間管理が必要です。業務効率と対応品質のバランスを考慮した適切な通話時間の管理が必要です。
コールセンターの顧客満足度に関係するKPI
顧客に対応する部署であり、顧客の満足度を測るKPIも重要な数値となります。
CS(顧客満足度)
業務においては、対応などに関して顧客の満足度を示す数値です。顧客満足度が高いほどリピーターを獲得しやすく、企業の収益向上につながります。この数値が悪い原因としては、電話のつながりにくさや、オペレーター対応への不満などが挙げられます。顧客満足度はアンケート調査などを通して計測され、数値化されたデータを分析すれば、担当者の応対品質向上に役立てられます。
NPS®(顧客推奨度)
企業や運営するブランドに対しての信頼度や愛着を示す数値です。顧客に対するアンケートにより、顧客を推奨、中立、批判というカテゴリーに分けて評価をします。計算式は、「推奨者の割合-批判者の割合」です。
NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
KPIを設定する手順
KPIを設定する手順の例として、以下のようなものがあります。複数のKPI指標をバランスよく設定することがポイントです。
- ビジネス目標に基づいて設定する
まず、全体的な目標を設定します。「売上の向上」「顧客獲得の推進」などです。 - KGI(最終目標)を設定する
「顧客満足度を前年度比◯%アップする」など、具体的に数値目標を掲げて設定する必要があります。 - KGI達成に必要な要素(KSF)を挙げる
「後処理時間短縮」や「コールセンター受付時間延長」など、目標を達成するための要素、やるべきことを挙げていきます。 - 定期的な見直しや改善を行う
目標への達成度や進捗状況を評価し、見直しや改善を実施します。
まとめ
KPIは運営における目標達成度を測るための重要な指標であり、効果的な管理に欠かせません。対応品質、効率性、顧客満足といった指標があり、これらは業務の最適化やサービス向上に直結します。KPIを適切に活用することで、業務効率の向上や顧客満足度の向上といった成果を上げ、最終的には目標の達成を加速することができます。コールセンター運営の成功に向けて、これらのKPIを積極的に取り入れていきましょう。
- TOPIC:
- コンサルティング