コールセンターの業務委託とは、企業が顧客・ユーザー対応を外部の専門会社に委託することです。コールセンターの業務委託により、コスト削減や業務効率化、顧客満足度の向上が期待できます。本記事では、具体例を交えながら委託先選びのポイントを解説します。
コールセンターの業務委託で依頼できる内容
コールセンター業務にはさまざまな種類があり、以下のような業務を委託できます。
インバウンド業務
インバウンド業務とは、顧客やユーザーからの問い合わせに対応する業務全般を指します。具体例としては、次の通りです。
- カスタマーサポート(商品の質問対応)
- テクニカルサポート(専門的な相談対応)
- 商品受注(注文受付や発送案内)
- 予約受付(ホテルやサービスの予約)
- キャンペーン対応(応募や抽選の管理)など
外部委託により企業はコア業務に集中でき、迅速な対応がリピーター獲得にもつながります。
アウトバウンド業務
アウトバウンド業務とは、企業が顧客に電話をかけるなどして行う業務全般を指します。具体例としては、次の通りです。
- テレアポ(新規開拓)
- 市場調査(電話アンケート)
- 督促業務(未納料金の支払い催促)
- テレマーケティング(顧客満足度などの調査)
新商品やキャンペーン案内、リピート購入促進なども含まれます。これらの外部委託により、営業活動の効率化や社員の負担軽減が可能となります。
コールセンターを業務委託するメリット
コールセンター業務の外部委託によって得られる主なメリットを、以下の3つに分けてご紹介します。
運用コストを削減できる
コールセンター業務の外部委託により、運用コストを削減できます。自社で設備投資やシステム構築を行う必要がなくなり、初期費用を大幅に抑えられるのが大きなメリットです。また、オペレーターの採用・教育・給与といった人件費も削減でき、全体の運営コストを低減できます。さらに、繁忙期に応じて柔軟に人員調整ができるため、無駄な支出を防ぎながら効率的な運営が実現します。外部委託により、コスト削減と業務の最適化が可能です。
短期間で部門の設立を行える
コールセンターを短期間で立ち上げるには、外部委託が効果的です。必要な設備や人員が委託先によって用意されるため、すぐに業務を開始できます。さらに、キャンペーン期間中のみの利用など、柔軟な対応が可能で、必要な時期や期間に合わせてコストを抑えた運営ができます。コールセンター設立には準備が必要ですが、外部委託なら迅速に開始できます。
BCP対策にもなる
企業のBCP(事業継続計画)対策として、コールセンターの外部委託は有効な手段です。自社運営のコールセンターでは、災害時に本社と同時に被災するリスクがありますが、業務委託先が異なる地域に拠点を持つ場合、災害時のリスク分散につながります。
さらに、システム障害や人材不足などのリスクを分散できるため、より安定したサービス提供が可能になります。外部委託により、柔軟な対応と安定した事業運営が可能です
コールセンターの業務委託先を選ぶ際の3つのポイント
コールセンター業務を外部に委託する際は、慎重に業者を選ぶことが重要です。ここでは、委託先を選ぶ際に押さえておくべき3つのポイントを解説します。
複数社と照らし合わせた費用相場
コールセンターの外注先を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較することが大切です。価格だけで判断せず、自社のニーズに合った業者を選ぶことが重要です。見積もり一括サイトを活用すれば、複数の業者を効率よく比較でき、最適な業者を選びやすくなります。費用だけでなく、委託内容や規模に応じた費用対効果も考慮しましょう。
自社の業界・業種での実績
コールセンター業務を外注する際は、自社と同じ業界・業種での実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。自社と同じ業界や業種に特化した業者を選ぶことで、業務の理解度やサービスの質が高まり、スムーズな運営が期待できます。
例えば、IT業界や医療業界では専門的な知識を要する業務があるため、その業界に特化した経験豊富な業者を選ぶと、トラブルの早期対応や質の高いサポートを得ることが可能です。業界の法規制やコンプライアンス対応が必要なら、実績のある業者を選びましょう。
さらに、コールセンターの得意分野は企業ごとに異なるため、インバウンド業務(問い合わせ対応)やアウトバウンド業務(テレアポ)など、自社のニーズに合った実績を持つ業者を選ぶことが大切です。
セキュリティ体制が整っているか
企業が顧客情報を外部に委託する際、個人情報や機密情報のセキュリティ対策を事前に確認することは不可欠です。情報漏洩のリスクを防ぐため、委託先のセキュリティポリシーや実際に導入されているセキュリティシステムをチェックしましょう。
特にコールセンター業務では、個人情報や取引情報などを取り扱うことから、セキュリティ体制が不十分であれば、情報漏洩による信頼失墜や法的リスクが生じます。こうしたリスクを防ぐため、委託先がプライバシーマークやISO27001(ISMS)などの認証を取得しているか、またはそれに準ずるセキュリティ対策が講じられているかを確認しましょう。データ暗号化やアクセス管理、定期的なセキュリティ評価が行われているかも確認すべきポイントです。
コールセンターの業務委託で注意しておきたい点
ここでは、業務委託を成功させるため特に注意すべきポイントを解説します。委託がもたらすメリットを最大限に活かすためにも、以下の点に留意しましょう。
ノウハウの蓄積を行えない
コールセンター業務を委託すると、専門知識を活用できる反面、社内にノウハウが蓄積されにくくなるという課題があります。これにより、サービス改善につながる重要な情報を得られず、将来的に内製化を進める際に障害となる可能性があります。この問題を解決するためには、委託先との間での定期的なフィードバックやデータの共有が重要です。さらに、マニュアルの作成や定例報告会を通じて、顧客対応に関する知見や改善点を社内に伝える仕組みを整えることも効果的です。これらの対策を講じることで、委託業務のメリットを活かしつつ、社内での運営ノウハウも蓄積できます。
専門性の高い分野には適さない
専門性の高い分野では、適切な人材の確保が難しく、外部委託のみでは十分に対応できない場合があります。特に、法律や医療分野の相談、専門的な技術サポートなどを外部に委託するのは難しいかもしれません。また、秘匿性の高いサービスや分野では、情報漏洩のリスクも多大になります。このような場合、専門的な部分だけを社内で対応し、それ以外の業務を委託するハイブリッド型の運用が有効です。委託先の選定時には、専門的な知識を有する企業を選ぶとともに、機密情報の取り扱いに十分なセキュリティ対策が施されているかも確認しましょう。
まとめ
コールセンター業務の外部委託には、運用コストの削減や短期間での部門設立、BCP対策といったさまざまなメリットがあります。インバウンド業務やアウトバウンド業務を委託することで、自社社員の負担軽減や業務効率化が実現でき、急な業務増加にも柔軟に対応可能です。委託先選びでは、費用相場、業界実績、セキュリティ体制が重要なポイントとなります。ただし、ノウハウの蓄積が難しい場合や、専門性の高い分野には不向きなこともあり、選定には慎重さが必要です。自社のニーズに最適な委託先を選ぶことで、より業務の効率化を図れます。
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