ビジネスを動かす!伝わる分析レポートのポイント

 2024.11.08  馬場 泰枝

ビジネスにおいて、お客様の声は極めて重要です。しかし、その声が社内で適切に活かされないことがあります。
コールセンターはお客様の声を集める最前線であり、その貴重なフィードバックをもとに、他部門を動かす力のあるレポートを作成することが鍵となります。
本ブログでは他部門を巻き込むために必要な方法について探り、効果的な情報共有を通じてお客さまの声を実際の改善へとつなげる手法をご紹介します。

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改善につながる分析レポートを作るには?

コールセンターを運営していると、日々多くのお客様からの声を直接耳にする機会があります。中には製品やサービスについての不満や改善の要望が数多く含まれており、これらは重要なフィードバックとして他の部署に共有されています。しかし、せっかくの報告が他部署のアクションにはつながらないといった相談をいただくことがあります。
例えば、「毎月応対履歴からお客様の声を抽出し、それを一覧にまとめて定期的に報告しているにも関わらず、一向に動いてくれない。」などです。
コールセンターとしてはせっかく貴重な情報を提供しているのに、実際に担当する他の部門にはその「温度感」や「緊急性」が伝わらないため、もどかしさを感じます。
お客さまからは毎日のように同じような不満や要望が寄せられているにも関わらず、それが他の部署の行動につながらないのはとても残念です。
そこで、どのようにすれば他部門を動かすことができるのか、またお客さまの温度感を反映させた説得力のあるレポートを作成するにはどうすればいいのか、という点について考えてみたいと思います。

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伝わるレポートに必要な7つのポイント!

説得力のあるレポートにするためには、実際のお客さまの声や評価、数字的な根拠、そしてそれが過去と比較してどう変化しているのかという3つの情報が必要です。
また、それらを伝えるための手法と改善に繋げるための道筋を示すことで、アクションへの大きな後押しとなります。
以下、説得力のあるレポート作成に必要な7つのポイントです。

  1. 定量的に示す
    数字や統計データを用いることで、問題の大きさや影響を具体的に示すことができます。
  2. 定性情報を加える
    お客様の具体的な声を紹介することで、データに感情や背景を加え、理解しやすくします。
  3. 期間で見る
    時間の経過による変化やトレンドを示すことで、問題の持続性や改善の効果を把握できます。
  4. 視覚的な要素を加える
    グラフやチャート、ビジュアルを用いることで、情報を直感的に伝えやすくします。
  5. ROIやビジネスインパクトを示す
    改善によって得られる具体的な利益や成果を示すことで、他部門の関心を引くことができます。
  6. 具体的な提案を含める
    単に問題を提起するだけでなく、具体的な改善策やアクションプランを含めることで、次のステップが明確になります。
  7. ストーリー性を持たせる
    レポートを物語のように構成し、問題が解決しやすい流れを作ります。

これらの要素を組み合わせることで、説得力のあるレポートを作成し、他部門の行動を促すことが可能です。
とはいえ、これらの要素を含めたレポートを定期的に報告するとなるとかなりの労力がかかります。

温度感と緊急性をダイレクトに伝えよう!

そこで、7つのポイントの中でも特に重要なポイントを3つだけでもまずは実施することをお勧めします。
1「定量的に示す」2「定性情報を加える」そして3「期間で見る」です。
他部門の方に温度感が伝わらない原因の一つに、声の大きさを可視化できていないことが挙げられます。
定量的に示すだけでも大きなインパクトを与えることができます。

レポート作成時によく使われる手法として、応対履歴のカテゴリー集計が挙げられます。
手軽に数値化できる一方で、「製品の故障」「部品の交換」など、概要は把握できるものの細かい部分までは把握できないといったデメリットもあります。
カテゴリーを細分化することもできますが、そうするとオペレーターが応対履歴を入力する際にカテゴリー選択に時間がかかってしまい、後処理時間が延びるといったことも起こります。
また、選択肢にない場合「その他」を選ぶため、定期的に選択肢の見直しをしないと「その他」ばかり割合が増えるといったことも起こります。

そのため分析に使うデータは応対履歴ではなく、音声をテキスト化した会話テキストや、メール、アンケートのフリーコメントなどお客さまの実際の声を使うことを推奨します。
それらをテキストマイニングツールを使って、不満や要望を抽出しカテゴライズすることで効率的に集計することができます。
また、集まった不満の声を他部門の方にテキストとしてお渡しすることもできるので、より「温度感」をダイレクトに伝えることができます。
そしてそれが一過性のものか、継続的に続いているものかを定量的に過去と比較させることで、「緊急性」を伝えることができるようになります。

まとめ

実際にお客さまの声を聞いていない他部門の方に、お客さまが抱えている不満や要望を伝え、改善アクションに繋げていくのは容易ではありません。
説得力を高めるためには、定量的な分析、定性情報、期間ごとの変化を重視したレポート作成が鍵です。音声テキストやメールの実際の声を活用し「温度感」をもって伝えることで、スピーディな対応を促進できます。一度この取り組みが上手くいけば、コールセンターに蓄積されるデータの価値も高まり、コールセンターを軸とした改善サイクルの構築に繋げられるでしょう。

執筆者紹介

馬場 泰枝
馬場 泰枝
コンタクトセンター業界で14年の経験を持ち、インフラや金融系の新規センター立ち上げや、音声認識ソリューションの導入と活用支援の他、現在はデータ分析からの課題解決を中心に多くの経験を積む。
また、直近では生成AIを活用したソリューション導入支援も手掛けており、ソリューション導入、運用知見、分析の3視点からお客様をサポート中。
COPCⓇ CX規格認定
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