ボイスボットとは? AIに電話対応を任せるメリットや注意点、
活用事例を解説

 2023.09.28  2024.08.30

AIの自動音声応対システム「ボイスボット」は、業務効率化や顧客満足度の向上に貢献するサービスです。本記事では、ボイスボットの仕組みやチャットボット・IVRとの違い、得られるメリット、利用する際の注意点などを解説します。また、企業や自治体での活用事例や、サービスを選ぶ際に比較しておきたい点などもお伝えします。

コンタクトセンターにおける生成AIチャットボットの活用効果とは?

ボイスボットとは

ボイスボットとは、AI(人工知能)を使った自動音声応答システムです。コールセンターなどの業務において、オペレーターの代わりに顧客対応します。AIが顧客の発話を解析し、自動応対やオペレーターへの転送をするため、スムーズな受電ができます。

チャットボットとの違い

ボイスボットとチャットボットは、AIが対応する方法が音声かテキストかの違いがあります。チャットボットは、顧客がテキストで入力した質問に対し、AIがテキストで回答するシステムです。

ボイスボットとチャットボットを両方導入しておくと、通話とチャットのどちらかを顧客の希望に応じて選べるようになるため、顧客満足度の向上が見込めます。

チャットボットについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

IVRとの違い

IVR(Interactive Voice Response)は、受電時に音声ガイダンスを流す自動応答システムです。「商品の購入を希望される方は1を、そうでない方は2を押してください」のような音声に従って顧客がボタンを押すことで、適切なオペレーターにつながります。

ボイスボットとIVRの違いは、ボイスボットには顧客にボタンを押させる負担がない点です。会話だけで進むことから顧客にかかるストレスが少ないため、顧客満足度向上が期待できます。

IVRについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

ここが知りたい!!~消費者アンケート調査レポート~ボイスボット(AIオペレーター)でCX実現はできるのか?
チャットボット製品市場調査

ボイスボットの仕組み

顧客から電話がかかってくると、音声認識AIが顧客の発話内容を解析して文字起こしを行い、テキストデータを作成します。テキストデータは自然言語処理システムで処理され、問い合わせ内容に合った回答文が、音声合成技術を用いて読み上げられます。

ボイスボットは顧客が発話してからAIが回答文を読み上げるまでの処理を繰り返すことで、リアルタイムでの会話を成立させられる点が特徴です。

詳しくは、以下の記事でも紹介しています。

ボイスボットの活用事例

現在、ボイスボットは各業界から注目されており、特に以下の業界で活用されています。

  1. コールセンター
  2. 官公庁
  3. 金融業

コールセンターでは、問い合わせや商品・サービスの申し込みにボイスボットを活用しており、有人対応が必要な場合はオペレーターにつなぎ、対応しています。

また、官公庁や自治体でもDX推進のためボイスボットが採用されており、確定申告、新型コロナウイルスワクチンの問い合わせや予約の受け付けなどでの活用事例があります。

金融業界でも、本人確認業務や融資相談の一次対応などをボイスボットにすることで、業務の効率化に成功しています。

導入事例の詳細は、以下の記事でも紹介しています。

ボイスボットを導入する6つのメリット

ボイスボットを導入すると、サービス品質、顧客満足度など、さまざまな面でメリットが生まれます。

1. コールセンター業務の効率化

ボイスボットは問い合わせをヒアリングし、フローに従って顧客の発話を解析できます。必要なら追加の質問も可能です。そのため、簡単な問い合わせはボイスボットが対応し、オペレーターはその他の業務に専念できます。

また、ボイスボットは平均通話時間(ATT)の削減も可能です。「有人対応が必要な電話だけオペレーターにつなぐ」「よくある問い合わせはAIや応答シナリオで自動回答する」などの設定をすれば、業務が効率化します。

2. 人材の定着に貢献

コールセンターのオペレーターは、クレーム対応などによる精神的な負担が大きく、離職率が高い職業です。

ボイスボットは着信の振り分けができるため、オペレーターの業務量が削減されます。また、簡単な問い合わせにはAIが回答すれば、オペレーターはより重要な業務に専念できます。

顧客と接する時間も減るため、オペレーターのストレスが軽減して人材の定着率が向上し、コールセンターの安定した運営が期待できます。

3. シナリオ更新作業が簡単

ボイスボットの場合、ガイダンスのシナリオに使用する表現や選択肢の変更を簡単に行えます。そのため、キャンペーンに応じて柔軟にシナリオを切り替えたり、サービス障害や緊急時の対応など特別なシナリオを新たに追加したりといったことも簡単に実施可能です。

4. 顧客満足度の向上

ボイスボットを導入すれば、簡単な問い合わせへの対応を自動的に完了させられます。また、ボイスボットでは対応ができない問い合わせのみがオペレーターに回されるので、電話がつながりやすくなります。

以上のことから利便性が高まり、顧客満足度の向上が期待できます。音声ガイダンスの確認や番号入力の操作により顧客が感じていたストレスもなくなり、サービス品質や企業イメージの向上にもつながるはずです。

5. 機械学習による精度の向上

IVRは決められたシナリオに従うシステムですが、ボイスボットは顧客の発話を理解できます。言葉を理解する精度は、AIの機械学習用データのブラッシュアップと再学習で高められます。

電話のデータから学習させるべきフレーズをピックアップし、AIに再学習を繰り返させることで、ボイスボットが顧客の問い合わせ内容を正しく理解し、よりよい電話対応を行うことが可能です。

6. 機会ロスの防止

提供するサービスや商品によっては、平日の営業時間のみオペレーターによる対応をしている場合があり、休日にしか電話をかけられない顧客の問い合わせを取り逃がすことになります。

ボイスボットであれば、休日でも24時間対応で顧客からの電話に応答できるため、このような機会損失を防止することが可能です。

ボイスボットの3つの注意点

ボイスボットには多くのメリットがありますが、以下の点には注意が必要です。

  1. 顧客の発言を正しく認識できない場合がある
  2. 難易度の高い問いに対応できない場合がある
  3. 音声情報だけでは十分に伝わらない場合がある

これらの注意点を回避するために、次の項で解説する内容を準備しておきましょう。

ボイスボット導入時に必要な2つの対応

先述の注意点には、以下の対応策が有効です。

  1. 有人対応と柔軟に組み合わせる
  2. 常に最適化を図る

顧客が高度な質問をしたとき、顧客がボイスボットの回答では理解できないときなどは、すぐオペレーターにつなげる設定にして臨機応変に対応することで、顧客の満足度低下が防げます。

また、最適化のため、常に改善を図ることも重要です。問い合わせ内容を分析し顧客のニーズを詳細に把握することで、AIに学習させるべきフレーズや、よりよい応答シナリオがわかります。

ボイスボット導入時の比較ポイント・選び方

特に以下の4点に注目し、自社に合ったものを選びましょう。

  1. サポート体制の充実度
  2. 自社のニーズとの適合
  3. 各サービスの機能と特徴
  4. 費用

充実したサポートを受けたい場合は、問い合わせ窓口やエンジニアによる専門的なサポートがあるサービスを選びましょう。

また、自社のニーズに合ったものであるかも重要です。ボイスボットはサービスによって機能や特徴が違います。自社の課題を解決できる機能があるか、自社のシステムと連携できるかなどを確認しましょう。

費用の面でも検討が必要です。低価格のものは数万円から入手できますが、高機能のものやプラン、オプションによっては数十万円以上かかることがあります。また、初期費用がかかるとさらにコストが上がります。費用対効果を適切にするためにも、導入を検討する際は見積請求をしましょう。

その他の比較ポイントは、以下の記事でも紹介しています。

コールセンターとは?コンタクトセンターとの違いと役割、仕事内容

企業と顧客が直接コミュニケーションをとるコンタクトセンター。多様化する連絡手段や顧客の価値観の変化から重要性が増しています。こちらでは、コンタクトセンターの概要や必要な機能、コールセンターとの違いなどについて紹介します。

まとめ

AIによる音声対応を行うボイスボットを活用することで、オペレーターの負担が減りコールセンターの人材定着率向上が見込めます。ほかにも、業務の効率化、顧客満足度向上なども期待できるサービスです。その他にもメリットがあり、導入する企業や自治体は増えています。

ただ、ボイスボットにすべてを任せられるわけではありません。フレーズの再学習、応答シナリオの再検討など、定期的なメンテナンスが必要な点には注意しましょう。

また、導入する際は、自社のニーズを満たせる機能があるかどうかや費用面などをチェックし、自社に合っているサービスを選びましょう。

この記事の推奨者

菊池 寛子
菊池 寛子
新卒から10年以上ダイレクトマーケティング業界でフルフィルメント、通販事業の業務設計を担当し基幹システム・CRM構築などのPjtに参画。その後BPO業界に転身し、企業向けサービス、ソリューションの企画・開発を経験。現在はオウンドメディアでのデジタルマーケティングの運用を行っている。
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