Salesforce「Service Cloud」の導入は、業務効率化を目指すコンタクトセンターにとって、効果的な手段のひとつです。問い合わせの一元管理機能やオムニチャネルの自動振り分け機能により、担当者の負担軽減や顧客満足度の向上につながります。本記事では、Service Cloudの特徴や導入するメリットを解説します。
Salesforceの「Service Cloud」とは
「Service Cloud」は、アメリカのIT企業であるSalesforce(セールスフォース)が提供する、クラウドベースのCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ソリューションです。ここではまず、Service Cloudの特徴と他製品との違いについて解説します。
Service Cloudの特徴
電話やメール、チャットなどの複数のチャネルからの問い合わせに、正確に対応できるよう支援してくれるのがService Cloudです。顧客とのコミュニケーションをスムーズにすることで、主にカスタマーサポートの業務効率化と顧客満足度の向上に役立ちます。また、インターネット環境を整えれば、オフィスのPCだけでなく、スマートフォンやタブレットからでもサービスを利用可能です。従来のオンプレミス型では導入・運用のハードルが高いことが難点でしたが、クラウドサービスのService Cloudであれば、導入コストを抑えられます。
Service CloudとSales Cloudの違い
Salesforceが提供する「Service Cloud」と「Sales Cloud」は、どちらもクラウドベースのCRMソリューションですが、それぞれの目的は異なります。具体的には、次のような違いがあります。
Service Cloudの特徴
- 目的:カスタマーサービスやサポート業務の効率化に特化。問い合わせの一元管理、対応履歴の追跡、ナレッジベースの活用をサポート
- 主な機能:ケース管理、ナレッジ管理、オムニチャネル対応(電話、メール、チャット)、AIチャットボットなど
Sales Cloudの特徴
- 目的:営業部門の業務効率化をサポートし、商談管理や売上予測などを提供。営業活動に特化した支援を行う
- 主な機能:商談管理、リード・取引先管理、営業進捗のトラッキング、売上予測など
Salesforce「Service Cloud」の主な機能とできること
Service Cloudの機能を使うと、具体的にどのようなことが可能になるのかを紹介します。Service Cloudの機能は、情報管理や問い合わせ管理が中心です。つまり、コンタクトセンターのように顧客接点の多い部門での活用に適しています。
ケース管理機能:問い合わせを一元化
顧客からの問い合わせや要望を「ケース」として一元管理し、対応状況や履歴を記録できます。
例えば各ケースの状況(例: 未対応、進行中、解決済みなど)をリアルタイムで可視化・追跡すれば、確実に期限内に対応しやすくなります。進行状況が一目でわかるので、迅速かつ効率的な顧客対応が可能です。また、顧客対応における問題領域を特定し、改善策を立案するためのデータ収集にも役立ちます。
ナレッジ管理機能:情報を資産として活用
ナレッジ管理は、FAQやマニュアルなどの情報をデータベース化する機能です。問題の解決策や、問い合わせへの適切な対応方法を、顧客と担当者がいつでも確認できる環境を構築できます。ナレッジベースの充実は、顧客満足度の向上だけでなく、担当者の負担軽減にもつながります。
例えば、FAQを充実させて顧客のセルフサービスを促進し、問い合わせ件数を削減すれば、担当者がわざわざ対応する必要がありません。
オムニチャネルのルーティング機能:顧客対応を効率化
Service Cloudには、電話やメール、チャットなどの複数のチャネルから寄せられる問い合わせを、自動的に振り分ける機能もあります。問い合わせ内容や顧客情報に基づき、最も適切なスキルを持つ担当者に自動で振り分けが可能です。ルーティング機能により顧客の待ち時間を最小限に抑えられるようになり、顧客対応の効率化につながります。
AIによる返信機能:迅速かつ正確な応答を実現
Service Cloudでは、AIを活用した自動応答機能が提供されており、これにより顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に対応できます。特に、AIによるチャットボット機能は、顧客がよく尋ねる質問に自動的に答えることができます。これにより、24時間365日の対応が可能となり、顧客満足度を高めると同時に、担当者の負担を軽減します。
Salesforce「Service Cloud」を導入するメリット
Service Cloudの導入により、コンタクトセンターの業務効率化や顧客満足度向上だけでなく、データ活用の促進やリソースの最適化も実現できます。例えば、データ分析機能を活用すれば、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴などの情報をもとに、パーソナライズされた対応が可能です。Service Cloudでは、顧客データを営業部門やマーケティング部門と共有し、統合的に活用することで、部門間での情報連携がスムーズになります。これにより、顧客に最適なサービスや製品の提案が可能となり、顧客との関係が強化されます。
情報の利活用が促進される
まず、蓄積したデータを他部署間で利活用できる点が大きなメリットです。Service Cloudでは顧客情報や問い合わせ履歴、対応状況などを一元管理できます。例えば、コンタクトセンターに蓄積されたデータを営業部門やマーケティング部門と共有すれば、部門ごとに管理する手間が省け、業務効率化につながります。また、データの分析によって顧客のニーズや行動を把握し、よりパーソナライズされたサービスを実現することも可能です。
人的リソースの最適配分が行える
問い合わせ対応の自動化や効率化により、担当者の負担を軽減できるのもメリットです。ナレッジ管理や問い合わせへの返信にAIを活用すれば、顧客のセルフサービスが促進され、問い合わせ件数そのものを削減できます。カスタマーサービスの単純作業をAIに任せられれば、担当者は重要度の高い顧客対応のみに集中でき、従業員エンゲージメントの向上につながります。
顧客満足度向上を期待できる
Service Cloudを導入すれば、FAQを充実させたり、対応までの待ち時間を削減したりできます。迅速な対応が可能になり、顧客もストレスなくサービスを利用できます。業務効率化や情報の利活用の促進などコンタクトセンター側のメリットだけでなく、顧客側にもメリットがあるのがService Cloudの魅力です。
Salesforceなど、CRM導入で失敗しないためのポイント
Service Cloudを導入する際、目的を明確にし、自社のニーズに最適な機能を選ぶことが重要です。例えば、カスタマーサービスに特化した機能が必要か、営業活動を支援する機能が必要かを見極めましょう。また、ベンダー選定においては、実績やサポート体制だけでなく、導入後のカスタマイズ対応やトレーニングの提供も重要なポイントとなります。
まとめ
Service Cloudは、Salesforceが提供する強力なクラウドベースのCRMソリューションです。問い合わせ管理やオムニチャネル対応、AIによる自動化などの機能を活用することで、コンタクトセンターの業務効率化が進み、顧客満足度の向上が期待できます。
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