コンタクトセンター検定試験をご存知でしょうか。コンタクトセンターで働くオペレーターでも、初めて聞くという方もいらっしゃるでしょう。ここでは同検定内容を解説し、受験するメリットや各コースの詳細も紹介します。今後のキャリアにも役立ちますので、ぜひ参考にしてください。
コンタクトセンター検定試験とは
「コンタクトセンター検定試験」とは、その名の通り、コンタクトセンター業務において必要になる知識やスキルを認定するための試験です。
例えば、コミュニケーション能力はどの職種においても重要な基本スキルとされますが、コンタクトセンターで働くのであれば、特に話し方や聴き方が大事です。
同検定では、会話での間の取り方、話すスピードや聴き手としてのテクニック、書くテクニックなども重視しています。
この検定は2010年から始まった新しい検定のため、あまり聞き慣れない方が多いかもしれません。
しかし、関連業界、企業の間では徐々にその知名度を上げてきており、従業員育成プログラムに組み込まれているケースもあります。
今後、コンタクトセンター業務に従事しようと考えているのであれば、同検定に合格しておくと役に立つでしょう。資格を持っていることで、一定水準以上のスキルを有しているとアピールしやすくなり、就職活動を有利に進めることができたり、社内での待遇をよくしたりもできるかもしれません。
また、検定合格に向けて取り組むことで自身のスキルアップにつながり、その後の業務をスムーズに行えることも期待できます。
スキルレベルに応じた5つのコース
コンタクトセンター検定試験には、大きく「オペレーションレベル」と「プロフェッショナルレベル」に分けられており、さらにスキルレベルに応じた5つのコースが設けられています。
オペレーションレベルは以下の3コースから構成されています。
- エントリー資格(EN)
- オペレーター資格(OP)
- スーパーバイザー資格(SV)
これら3コースにおける試験は、コンピュータ上で実施するCBT(Computer Based Testing)と呼ばれる形式で行われます。そのため全国の試験会場で随時実施されており、比較的受験しやすいと言えます。
試験終了と同時にモニターへ判定結果が表示され合否が確認でき、合格して資格認定されると、試験の日から約4~6週間以内に合格認定証が郵送されます。合格率の目安は7~8割です。
プロフェッショナルレベルは以下の2コースから構成されています。
- オペレーションマネージメント資格(OMP)
- コンタクトセンターアーキテクチャ資格(CAP)
試験はペーパー形式で実施され、試験会場は全国の4~5か所から選択、実施回数は年1回程度です。試験日から約6週間後に判定結果が郵送されますが、合格後は証明書類を協会へ申請し、審査合格することで資格認定されます。さらに、取得後も3年ごとに更新が必要であるなど、手続きも厳格です。難易度も上がり、合格率は5割を切るとされています。
いずれの検定試験も、日本コンタクトセンター教育検定協会が構築したコンタクトセンター知識スキル体系 Ver2.0(CMBOK [読み:シンボック])を基に設定された試験範囲に基づき出題されます。
続いて、各コースの詳細を整理して紹介していきます。
エントリー資格(EN)
エントリー資格(EN)は、「コンタクトセンターで働き始めた方、未だ従事していない学生や業務経験のない人」などの受験が想定されたコースです。
そのため出題されるのも、コンタクトセンターに関する基礎知識やビジネスマナー、電話等非対面でのお客様対応に関する基礎知識・スキルなどです。
全50問出題され、スコア200~800で評価し、500以上であれば合格です。
受験を希望する方はコンタクトセンター検定試験公式サイトから会場を検索し、各試験会場へ直接申し込む必要があります。支払いも各試験会場に対して行います。
エントリー資格(EN)の場合、初めて受験する方も多いかと思いますが、その場合にはまず「OdysseyID」を登録しましょう。この「OdysseyID」とパスワードは試験当日にも必要になりますので、受験票と写真付き身分証明書とともに大事に保管しておかなければなりません。
なお、受験料は会員かどうかによって異なります。会員であれば一般価格より10%割引が受けられますので、登録しておくとよいでしょう。
受験料
- 一般価格:3,850円(税込)
- 会員価格:3,465円(税込)
オペレーター資格(OP)
オペレーター資格(OP)は「1~3年程度の業務経験を有する顧客担当者」向けのレベルに設定されています。専門性のある顧客応対、新人指導に必要なスキルや知識の習得を認定するコースであり、出題範囲もコンタクトセンターの戦略から監査、運営、カスタマーサービスといった領域が該当します。
申し込み方法から受験までの流れと、スコア200~800で評価し、500以上が合格基準とされている点はエントリー資格(EN)と同じですが、出題数は全部で80問出題されます。また、受験料も異なります。
受験料
- 一般価格:7,700円(税込)
- 会員価格:6,930円(税込)
スーパーバイザー資格(SV)
スーパーバイザー資格(SV)は「3年以上の業務経験を有する管理者」向けのコースです。管理者に求められるマネージメントの知識やスキルが問われます。出題範囲は、コンタクトセンター戦略や監査、運営など、オペレーター資格(OP)と同じですが、出題比率や難易度は異なります。申し込みから受験までの流れと、全80問をスコア200~800で評価し、500以上で合格という点は上記2コースと同じです。
受験料
- 一般価格:8,800円(税込)
- 会員価格:7,920円(税込)
オペレーションマネージメント資格(OMP)
ここから紹介するコースはプロフェッショナルレベルです。オペレーションマネージメント資格(OMP)ではこれまでのコースよりもさらに難易度が上がります。5年以上の業務経験者やコンタクトセンター長、オペレーション部門のマネージャーなどが受験対象者として想定されています。
顧客対応部門の運営やパフォーマンス管理に必要なスキル・知識が重視され、コンタクトセンター戦略や監査、運営などに関することが出題されます。コンタクトセンター運営(オペレーション、ヒューマン・リソース・マネージメントなど)の得点比率が65%と大きいのが特徴的です。
また、記述問題にも対応しなければなりません。記述に関してもコンタクトセンターの運営を中心とした各関連分野から出題されます。
オペレーター資格(OP)やスーパーバイザー資格(SV)同様、選択問題は80問出題。ここに記述問題が7問追加され、スコア200~800で評価し、500以上で、且つ記述式で素点正答率78%以上であれば合格です。
<出題範囲>
選択問題:
- コンタクトセンター戦略・監査
- カスタマーサービス
- コンタクトセンター運営
- コンタクトセンター構築
- コンタクトセンターの職能スキル
- PCスキルの基礎
得点比率はコンタクトセンター運営(オペレーション、ヒューマン・リソース・マネージメント)が65%を占める
記述問題:コンタクトセンター「運営」分野を中心に関連する各分野から出題
申し込みから受験までの流れも、オペレーションレベルとは異なりますので注意しましょう。
受付期間内に公式サイトから申し込みを行い、当日は、事前にメールで送られてきた受験票を提示しなければなりません。
受験料は以下の通りで、会員価格なら10%割引が受けられる点は、ほかのコースと同じです。
- 一般価格:16,500円(税込)
- 会員価格:14,850円(税込)
コンタクトセンターアーキテクチャ資格(CAP)
コンタクトセンターアーキテクチャ資格(CAP)も5年以上の業務経験者を想定したレベルに設定されていますが、オペレーションマネージメント資格(OMP)とは少し趣旨が異なります。こちらでは「コンタクトセンターの新規構築や新システム導入における業務設計」で必要なスキル・知識が評価対象になります。
そのため、「コンタクトセンターの構築担当者や、ITベンダーなどの営業担当者」などが具体的な受験対象者とされ、コンタクトセンター構築(センターアーキテクチャー、ICTマネージメント)に関する得点比率が60%を占めています。
記述問題においても、コンタクトセンターの「構築」を中心とした各関連分野が出題されます。
オペレーター資格(OP)やスーパーバイザー資格(SV)同様、選択問題は80問出題。ここに記述問題が7問追加され、スコア200~800で評価し、500以上で、且つ記述式で素点正答率78%以上であれば合格です。
<出題範囲>
選択問題:
- コンタクトセンター戦略・監査
- カスタマーサービス
- コンタクトセンター運営
- コンタクトセンター構築
- コンタクトセンターの職能スキル
- PCスキルの基礎
得点比率はコンタクトセンター構築(センターアーキテクチャー、ICTマネージメント)が60%を占める
記述問題:コンタクトセンター「構築」分野を中心に関連する各分野から出題
合格基準や受験の申し込み方法はオペレーションマネージメント資格(OMP)と同じです。
受験料
- 一般価格:16,500円(税込)
- 会員価格:14,850円(税込)
まとめ
コンタクトセンターに関係する仕事に従事しているのであれば、オペレーターや管理者など、具体的な職種を問わず、この検定の受験がおすすめできます。
勉強の際は公式テキストを活用するとよいでしょう。一般社団法人 日本コンタクトセンター教育検定協会から公式テキストが販売されています。
試験問題を公開していないことから過去問は販売していませんが、テキストに例題が掲載されていますので、そちらを参考に演習していくと合格に近づけるでしょう。
短い勉強時間で受験する方もおられ、仕事との両立も図れる検定です。エントリー資格(EN)なら業務経験が不要なので、まずはこのコースから気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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