RPA導入に向けたプロセス整理の秘訣
2023.01.16 2024.08.19 安東 龍太
RELATED POST関連記事
RECENT POST「コンサルティング」の最新記事
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
2023.01.16 2024.08.19 安東 龍太
UiPath やWinActorなどのRPA製品を活用した業務効率化が認知されるようになって久しいと思います。しかしながら、RPAをただ導入して使ってみただけでは、想定していた成果が得られないケースが非常に多くあります。
今回は、RPAを効果的に導入するために必要な業務プロセスの可視化と業務設計について解説いたします。
事務業務の担当をされていると『RPAを活用して業務を効率化しよう』といった声を耳にする機会が多いのではないかと思います。実際、RPAを活用することで事務担当者の負担を軽減し、業務効率化に繋がった事例は数多く存在しています。コンタクトセンターでも、管理者が行う定型的なレポーティング作業を自動化したり、オペレーターが行う後処理の転記入力など一部の作業を自動化したりと業務効率化に繋げている事例が多くあります。一方、RPAを導入し活用を試みたものの、『コストの削減に繋がっていない』『担当者の負担が減っていない』と言ったケースも存在しています。
この両者の違いはどのようなことが考えられるでしょうか。両者の違いには、RPAの得意なことに合わせてRPAを活用できているか否かにあります。RPAは判断を伴う業務が苦手なため、状況に応じて臨機応変な対応を行うことが出来ません。人が業務を行う場合、担当者ごとに属人的な対応を行っていたり、メールの文面などのフリーテキストを読み取って処理内容を変えていたりと臨機応変な対応を求められたりする業務が数多く存在しています。これらの業務をそのままRPA化しようとすると、作成するシナリオが複雑になってしまいます。事務担当者が簡単に判断していることでも、RPAで判断基準となる条件分岐を作成しようとするとたくさんの分岐命令が必要となります。シナリオが複雑になってしまうと非効率な処理が行われてしまい、結果として『コスト削減に繋がらない』『担当者の負担が減らない』と言った事象が発生します。こうした事象を発生させないためには業務プロセスを漏れなく可視化し、RPAに適した業務設計を行うことが非常に重要です。
前述の通り、RPAを導入する前には業務プロセスの可視化・業務プロセス設計が非常に重要です。具体的には以下の流れで進めます。
まずはRPA導入の目的を整理して摺合わせましょう。よく「会社でRPAを導入することが決まったが、何のために使うのかは決まっていない」という言葉を耳にすることがあります。
RPA導入の目的は「コスト削減」だけではなく、「人為的なミスの撲滅」や「リードタイム短縮によるサービスレベル向上」などがあります。目的によって後に紹介するRPA化対象業務の選定や業務設計が変わる場合があるため、必ず導入の目的を決めてから取り掛かるようにしましょう。
部署やチーム内で行われている業務の棚卸を行います。RPA化の対象となる業務は人手がかかる業務である場合が多いです。そのため、業務の棚卸に合わせて、各業務の月間や日ごとの作業時間を書き出すようにしましょう。業務の棚卸が完了したら、RPA導入目的に合わせて対象とする業務を選定しましょう。
RPA化を行う対象業務が決まったら、業務全体のプロセスを把握します。業務プロセスを可視化する際に、大まかな業務フローを作成し全体の流れを掴むことはもちろん大切ですが、詳細な業務手順を1つ1つ書き出すことにより、RPAを導入する際の課題点を明らかにすることも欠かしてはいけません。この手順を踏むことで、課題点の発見のみではなく、既存の業務プロセスに埋もれている無駄な工程が見えてくる場合があります。こうした無駄な工程を省くことで、1件当たりの処理速度が上がり、生産性がアップします。対象業務のプロセスの可視化には、非常に多くの時間を要する場合がありますが、最も大切なプロセスなため、必ず実行するようにしましょう。
業務プロセスの可視化が完了したら、得た情報を元にRPAの特性に合わせた業務設計に変更しましょう。RPA化に向いていない人の判断を伴う業務プロセスがある場合には、RPA向きの業務プロセスに変更が可能なのかを確認しましょう。もしプロセス変更が不可能な場合には、RPA化の対象範囲を狭めるか、RPA以外の方法で効率化できる方法がないかを検討しましょう。RPAという手段に拘らず、柔軟に他の解決策を検討することも課題解決には必要です。
上述した業務プロセスの可視化と業務設計を行う際に、気を付けておきたいポイントについて解説します。これらのポイントを意識して、業務プロセスの可視化・業務設計を行うようにしましょう。
業務プロセスを可視化は、業務を知らないメンバーが見ても手順を理解できるような形式で可視化する必要があります。誰が見ても分かるように可視化しないと事務作業を直接行っていない管理職の方と正しい意思疎通が図れず、大切な部分を見落としてしまう可能性があります。
業務を可視化する際には、対象とする業務の手順を確認させてもらう必要があるため、担当者にヒアリングしたり、業務を視察したりさせてもらう必要があると思います。しかしながら、それだけでは不十分です。RPAを導入する背景や目的、抱えている課題を確認する必要があります。それらを確認するためには、事務担当者視点での課題だけでなく、部署の管理職の方にも確認する必要があります。
また業務の可視化が完了した後には、目的に沿ったRPAの活用が可能なのか、必要に応じて業務プロセスの変更が可能なのかという視点で、事務担当者・管理職の方を交えて討議をするのが望ましいでしょう。
RPA向けに業務プロセスを整理する際には、RPAが出来る業務と人で対応する業務に切り分けて設計を行う必要があります。そうして業務設計を行った結果を元に、人で対応する業務工数を試算しましょう。RPA導入前後での業務工数を比較することで、RPA導入の効果を予想することが出来ます。
RPA担当者の稼働工数も加味し、導入効果が見込めそうなのかを確認してからRPAを導入するようにしましょう。
業務の可視化や設計が重要な点は上述の通りですが、これらのことを初めて実施する際には、経験やノウハウも必要なため、多くの時間と労力がかかってしまう場合があります。このような事態を避けるために、専門の企業に依頼することも検討しましょう。
RPAの提供ベンダーの中にはRPA導入のコンサルティングサービスを提供している企業があります。これらの企業は、幅広い業界の導入知見やRPA製品の知識を活かして導入をサポートをしてくれます。
またコンタクトセンターを始めとした業務で導入することが決まっている場合には、知見を持ったアウトソーサーを頼りにするのも手段の1つです。これらのアウトソーサーはコンタクトセンター業務でのRPAの導入経験が多く、業務の可視化や業務設計のノウハウも保有しています。またRPA導入のコンサルティングのみならず、RPAの運用などの実行機能も有しているのがアウトソーサーの特徴です。
今回はRPAを効果的に活用するために必要な業務プロセスの可視化と業務設計の流れについて解説いたしました。RPAは事務作業の自動化を直観的に実現してくれるソリューションである一方、正しい導入プロセスを経ないと効果が発揮できません。
またRPAに限らず、音声認識、チャットボットなど各ソリューションを活用して業務改善を図る場合にも、正しい導入の手順を踏まないと想定した効果を得られない可能性があります。それらのソリューションの導入を検討している場合には、アウトソーサーのコンサルティングサービス等を利用し、有識者と相談の上で導入を進めることをお勧めいたします。
この記事が気に入ったら
いいねしよう!