近年では、さまざまな企業がコンタクトセンターの立ち上げに着手しています。そこで、この記事では新たにコンタクトセンターを立ち上げようと考えている企業、担当者の方に向けて、知っておくべきポイントや導入の流れなどを解説します。
コンタクトセンター立ち上げまでの構築手順
新たにコンタクトセンターを立ち上げるにあたり、どのような流れで構築を進めればよいのでしょうか。スムーズにコンタクトセンターが設置できるよう、大まかな手順やポイントを押さえておきましょう。
コンセプト設計-ゴールの目的化
そもそも、なぜコンタクトセンターを立ち上げようと考えているのでしょうか。まずここをしっかり考えなくてはなりません。導入によって何を実現したいのか、どのような問題を解決したいのかを明確にすることが大切です。
売上を伸ばしたい、契約解除の件数を少なくしたい、継続的に顧客へサービスを提供したいなど、企業によって目指すところは異なります。開設する理由、最終的に目指す目的を明確にしないと、スタッフのモチベーション低下を招くおそれもあります。
最終的に何を目指すかにより、他部署との連携方法や顧客へのアプローチが異なることも覚えておきましょう。ゴールを決めずに導入を進めると、部署間での連携がうまくいかなくなったり、顧客への適切なアプローチができなくなったりすることも考えられます。
現状調査
新しく設置するにしても、すでにあるコールセンターを見直すにしても、現状でどのような課題があるのか調査しなくてはなりません。現状をきちんと把握しないままコンタクトセンターを設置しても、思ったほどの効果を実感できないおそれがあります。
業種や提供しているサービスによっては、今のままで問題ない可能性もあります。コンタクトセンターの導入によるメリットを再確認するためにも、現状調査はきちんと行いましょう。調査を行う項目は主に以下の5つです。
- 運用におけるプロセス
- マネジメント
- 組織体制
- 教育トレーシング
- システム
運用におけるプロセスでは、現状でどのような運用が行われているのかを調査します。また、現場における具体的な管理体制や実績などのマネジメント調査も行いましょう。組織体制調査では、どの部署がどのような規模で運用を行っているかを把握するために行います。
現場のオペレーターがどのような教育を受けているのか、どういったシステムが導入されているのかを調査することも重要です。これらの調査で得た情報をもとに、次から解説する業務プロセス設計を進めていきます。
業務プロセス設計
具体的なコンタクトセンターの運用について、詳細な設計を行います。オペレーターがどのような流れで業務を行うのか、上司への報告頻度、休憩のタイミングなど、実際の現場における運用プロセスを明確にしましょう。
既存顧客・新規顧客別の対応手段、マニュアルに明記されていない状況に陥ったときの対応なども決めておかねばなりません。オペレーターが対処できないときはどうするのか、まず誰に報告や相談をするのかなど、より具体的なことを決めていきます。
また、コンタクトセンターをどこに設置するのかも考えなくてはなりません。どの部署に設置するかで業務プロセスも違ってきますし、目的によっては外部への設置や外注なども考えられます。そのため、まずはどこへ設置するのかを明確にし、そのうえで具体的な業務プロセスを考えていきましょう。
マネジメント設計
コンタクトセンターを導入しても、マネジメント体制に問題があっては成果を望めない可能性があります。設置したコンタクトセンターがきちんと機能しているか、オペレーターが問題なく業務を遂行できているかなどを判断するためのシステムづくりが大切です。要するに、マネジメント設計とは現場を管理するためのシステムを構築することです。
ただ、管理するマネージャーの裁量だけですべてを判断するのはリスクが高すぎます。マネージャーの好き嫌いや個人的な感情により誤った判断がなされ、結果的に目標達成が遠ざかってしまうおそれがあります。
こうした事態に陥ることのないよう、マネジメントの方法を策定しなければなりません。具体的な管理指標を設定し、マネージャーがそれに則って判断するシステムを構築すれば、前述のようなリスクを軽減できるでしょう。
組織体制
コンタクトセンターを、どれくらいの人員で運用するか、どのような人材を配置するかなどを決める工程です。ここを明確にできていないと、人員が余りムダなコストが発生する、スキルの乏しい人材を配置しクレームが出る、全体の業務効率が低下するなどのリスクが生じます。
1日の問い合わせ数やオペレーターの業務量などから、必要な人員を割り出しましょう。既存顧客の数や新規顧客の獲得率などによっても必要な人員は変わってきます。事前に綿密なシミュレーションを行い、少なすぎず多すぎない、ベストな組織体制を考えましょう。
また、どのような人材を配置するのかも考える必要があります。経験や資格の有無など、採用基準も決めておくと今後の人材配置がスムーズです。スキルや経験のない人材をどのように育成するかも決めておきましょう。
システム構築
コンタクトセンターを導入するには、さまざまなシステムが必要です。代表的なシステムを以下にまとめました。
CTI
コンピューターと電話を連携させ、自動音声による応答や顧客情報のモニター表示などを実現するシステムです。現代のコンタクトセンターにおける、基幹システムといっても過言ではありません。
PBX
外線や内線の電話を接続するシステムです。PBXの導入により、複数のオペレーターが1人の顧客に対応でき、内線同士の通話も可能にします。
CRM
顧客の情報を管理するためのシステムです。顧客の個人情報はもちろん、これまでのコンタクト情報も記録できるため、担当者が変わった場合にもスムーズな対応が可能です。
通話録音装置
文字通り、通話の内容を録音するシステムです。オペレーターのサービス品質向上や、顧客からの問い合わせ内容の確認などに役立ちます。
このように、コンタクトセンターで採用されているシステムは多々あります。業種や目的などにより取捨選択し、本当に必要なシステムを導入しましょう。
コンタクトセンターの運営にかかる費用
コンタクトセンターの立ち上げを考えるうえで、費用は外せない議題です。コンタクトセンターを設置するにあたり必要な費用は、初期設備や人件費、運営保守費用などが挙げられます。
初期設備
コンタクトセンターを導入するにあたって、最初に必要となる費用です。新たに部署を立ち上げるなら、部屋の内装工事費やシステムの導入費、OA機器の購入費用、リース料金などが発生します。初期費用は、規模や立ち上げる場所などのほか、どこに工事を依頼するのか、どのシステムを導入するのかなどでも大きく変わるため注意しましょう。
人件費
運用にあたるスタッフの給料や賞与なども考えなくてはなりません。また、人材を採用するにもコストがかかることを覚えておきましょう。正社員として雇用するのか、それともアルバイトや派遣なのか、雇用形態によっても人件費は大きく変化します。雇用形態や募集、採用方法などをいくつも検討しながら決めましょう。
運営保守費用
運営や保守にかかる費用としては、以下のものが代表的です。
- システムの費用
- 運営保守担当者の人件費
- オフィスの賃料
- 電話代やインターネット料金
- システムの保守メンテナンス費用
どこのシステムを利用するのか、どこに設置するのかなどで運営保守費用は変化します。コストが高騰しすぎると運営そのものが難しくなるおそれがあるため、注意が必要です。
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コンタクトセンター立ち上げで知っておくべき課題
人材の確保と育成に関しては、コンタクトセンターを導入している多くの企業が課題を抱えています。オペレーターの質は顧客満足度に大きく関わる部分なだけに、手を抜くわけにはいきません。
また、コンタクトセンターの立ち上げにはそれなりのコストがかかります。立ち上げてみないことには成果がわからない部分も多いため、もしかすると投資した費用に見合った成果が得られないかもしれません。
品質維持が難しいのも大きな課題です。人の入れ替わりが多いのなら、その都度育成しなければなりません。繁忙期には1人のオペレーターにかかる負担が増加し、品質の低下につながるおそれもあります。
まとめ
コンタクトセンターを立ち上げるのなら、まずは構築の流れをきちんと把握しましょう。必要な費用や考えられる課題についても理解しておく必要があります。導入から運用まですべて自社で行う自信がないのなら、アウトソーシングも検討してみましょう。
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