Withコロナ/Afterコロナでコンタクトセンターはどのように変わるのか

 2021.01.21  2024.04.24

新型コロナウイルスの感染拡大により、コンタクトセンターを取り巻く状況は変化しています。コロナ環境下、またコロナ以降の周囲の状況にうまく対応するために、コンタクトセンターにはどのような変化が求められているのでしょうか。この記事では、コロナ禍でコンタクトセンターが抱える課題や、その対策について解説します。

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コンタクトセンターの在宅勤務は一部の企業で実施

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、通勤時の混雑やオフィスでの「3密」を避けるために、多くの企業が在宅勤務やフレックスタイム制を導入しました。コンタクトセンターでも、手洗い・うがいの奨励や検温、電話受付時間の変更といった対策が実施されています。座席の間隔をいつもより広く空けてソーシャルディスタンスを確保するなどの対策も、多くのコンタクトセンターで取り入れられました。

とはいえ、いつもの業務を自宅で行う在宅勤務を実施できた企業は、それほど多くありません。一部の企業ですでに実施されているものの、コンタクトセンター業務について在宅化を実現でき企業はほんの一部でしかありません。ほとんどの企業では、コールセンターに大人数が集まって業務を行う状況を想定し、就業規則や各種マニュアルを制定しており、在宅勤務は想定外のことでした。

自宅での勤務を実施するには、さまざまな課題を解決しなければならないのですが、一方で、多くの企業が今後在宅勤務の導入を検討していると言われています。情勢の変化に柔軟に対応するため、コンタクトセンターはさまざまな課題を乗り越えて変化する必要があるのです。

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コロナ禍でコンタクトセンターが抱える課題

では、コンタクトセンターが在宅勤務を導入するにあたってハードルとなるのは、具体的にどのような点でしょうか。ここからは主な3つの課題を説明します。

機密情報の取り扱いの課題

1つ目に挙げられるのは、機密情報の取り扱いに関する問題です。コンタクトセンターでは、顧客の個人情報や各種マニュアルなど、多くの機密情報を扱います。そのため、多くの企業では機密情報の漏えいを懸念して、在宅勤務の導入にまでなかなか踏み込めていないというのが現状です。企業は、大切な顧客の個人情報の漏えいや、それに伴う社会的信用の失墜を恐れており、SVやオペレーター側も常にそのリスクを考える必要があります

業務システムの実装が間に合わない

2つ目の課題は、業務システムの実装に時間がかかることです。在宅勤務を可能とする業務システムを導入するには、コストがかかります。利用システムがクラウド化されていれば、比較的在宅システムへのハードルは下がるのですが、そうでない場合は、十分なIT投資ができないケースも考えられます。

コスト面で問題がなくても、在宅コールセンターを運用するノウハウを持たないため、システム導入が進まないケースもあります。どちらにしても、感染症拡大や自然災害などの予期せぬ事態が起きた際に、いざ在宅勤務を始めようとしても、システムの準備ができていないとすぐに始めることは不可能です。

在宅環境の確保

3つ目の課題は、オペレーターの在宅環境が整っていないことです。多くの従業員は在宅勤務を行いたいと思っているものの、すべての人が自宅で仕事をするのに適した環境を確保しているわけでは ありません。仕事をするにはパソコンや電話機などの周辺機器、安定したインターネット回線などが必要です。

電話越しに子どもの声やテレビの雑音、ペットの鳴き声などが聞こえてしまわないように、静かな部屋、できれば個室を用意したほうがよいでしょう。家が狭い、家族がどうしても騒がしくしてしまうなどの理由で、適切な勤務環境を自宅に持てない人も多く、在宅勤務が進まない現状に多くの従業員は不満を感じています。

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コンタクトセンターが行うべき対応

これまで取り上げた課題を解決するために、コンタクトセンターはどのような対策を講じる必要があるのでしょうか。ここからは、セキュリティ対策・在宅用オペレーションの導入・BCPの整備という3つの観点から、コンタクトセンターに求められる行動についてご説明します。

セキュリティ対策

機密情報の漏えいや端末のウイルス感染といったリスクを回避するためには、在宅勤務を可能にするセキュリティ対策が必要です。

例えば、シンクライアントやゼロクラインアントなどの端末を導入して、在宅勤務にふさわしいインフラを整備できます。「シンクライアント」とは、仮想デスクトップ環境下における利用に特化した端末のことで、データはパソコン上ではなくサーバーに保存されます。端末にはHDDやSSDといった大容量の記憶媒体はなく、業務用端末に機密情報を保持させておくリスクを回避できるのがメリットです。

ゼロクラインアントも同じように、仮想デスクトップとして動作しますが、シンクライアントのようにインストールされたOSやCPUを必要としません。専用プロセッサを搭載しており、ウイルスなどのセキュリティ対策も容易になっています。

また、個人認証システムを強化して、ユーザーID単位や端末単位などでアクセスできる範囲を制限するのもよい方法です。通常のIDとパスワードでのログインに加えて、多要素認証、指紋などの生体認証も追加すれば、第三者によるなりすましのログインを防止できます。

そのほか、オペレーションのモニタリングをすることも、セキュリティ対策の一環です。通話内容をモニタリングしたり、パソコンの操作画面を監視したりすれば、オペレーターを見守りながら適度に注意を促せます。Web会議ツールを活用し、仲間の様子が映るようにして、周囲との一体感を保ちながら仕事をするのもよいでしょう。

コンタクトセンター在宅用オペレーションの導入

コンタクトセンター向けの在宅用オペレーションを導入することも必要です。IVR(自動音声応答)システムや、ボイスボットを使って、かかってきた電話を理由別に振り分ければ、個人情報を扱うものとそうでないものとに分けられます。個人情報を扱うものはSVが、それ以外はオペレーターが対応すれば、個人情報漏えいのリスクを軽減できるでしょう。もしくは、個人情報を扱うものをコールセンター、それ以外を在宅勤務と場所別で振り分けることも可能です。

コンタクトセンターで本人確認したあとに、その電話を在宅勤務者に回すという方法もあります。この場合、在宅勤務者は本人確認をする必要がないので、個人情報の取り扱いに伴うリスクを減らせます。コンタクトセンターで受け付けた問い合わせに対する回答を在宅勤務者が作成するなど、対応ステップを勤務場所で分ければ、効率的に業務を進められるでしょう。

BCPの整備

自然災害やテロ、感染症など緊急事態が発生したときにも事業を継続させるために、BCP(事業継続計画)を整備しておくことも大切です。企業がBCPを策定して、在宅勤務を実施する基準や方法などを明示しておけば、今回のコロナ禍のような突発的な事態もうまく乗り切ることができます。

特に重要なのは、セキュリティポリシーの項目や対応手順を具体的に決定しておくことです。どのような状況になったときに在宅勤務を実施するのか、また在宅勤務をするにしても一部在宅化なのか、完全在宅化なのかなどを事前に決めておけば、スムーズに勤務方法の切り替えができるでしょう。資格や契約形態、勤続年数など、在宅勤務を許可する対象者の区分もはっきり定義しておく必要があります。

まとめ

コンタクトセンターの業務を在宅に移行させるには多くの課題がありますが、在宅勤務が可能なれば、従業員満足度の向上や雇用の確保などにつながります。時代のニーズに柔軟に対応する先進的な企業となるためにも、セキュリティ対策の強化や在宅用オペレーションの導入などにより、ひとつずつ課題を解決して在宅勤務を実現させましょう。

この記事の推奨者

衣笠 雄海
衣笠 雄海
新卒から約10年間コンタクトセンターの運用管理を経験。センター構築から業務改善、品質管理、PL管理を行い、最終的に1拠点のセンター長としてセンター管理も経験。その後コンサルティング部に異動し、上流及び業務コンサルティングを中心に業界問わず約20件程度のプロジェクトを経験し、現在はプロジェクトマネージャーとして様々なプロジェクトの全体管理を行っている。
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