コンタクトセンターでナレッジマネジメントを活用する意味とは

 2020.06.12  2024.09.01

顧客からの問い合わせ内容をパターン化しやすいコンタクトセンターでは、ナレッジマネジメントの導入が推奨されます。当記事では、コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントの意味や、導入が推奨される根拠、活用するメリットなどについて詳しく解説します。

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ナレッジマネジメントとは

一般的に「ナレッジマネジメント(Knowledge management)」とは、名前の通り知識(Knowledge)を管理(management)する方法のことをいいます。

企業における「ナレッジ」とは、マニュアルなどで確認が可能な「形式知」と、マニュアルには表されていない個々のスキルを示す「暗黙知」の2種類に分類されます。このうち暗黙知に関しては、個々の社員にほぼ依存しており、ほかの社員と共有することは簡単ではありません。せっかくの知識を活用できるのは、本人にのみ限られてしまいます。

そのため、暗黙知に頼った環境では必要な知識が継承されず、周囲の社員がその知識を必要とする業務を行う場合、手探りの状態から始めなくてはならなくなります。そこで、この暗黙知をほかの社員と共有可能な形式知に変えるのが、企業におけるナレッジマネジメントです。

コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントとは

コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントとは、特に「トークスクリプト」を共有することを指します。コンタクトセンターでは、顧客からのよくある問い合わせをいくつかのパターン(コールリーズン)にまとめることができます。コールリーズンごとに案内すべき内容は同じです。そしてそれを定型化し、オペレーター間で共有できるようにしたものをトークスクリプトと呼びます。

コンタクトセンターにおいても、一部の経験豊富なベテランオペレーターが「自分の頭の中にだけあるトークスクリプト」を使って顧客対応を行っている、というケースは多いのではないでしょうか。

せっかくの貴重なナレッジ(トークスクリプト)がセンター内で展開されずに、一部オペレーターの頭の中にだけ保存されているわけです。これでは新人オペレーターのスキルを上げることも、センター全体の対応品質向上も見込めません。それを明文化して共有するのが、コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントの目的といえます。

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コンタクトセンターでナレッジマネジメントを活用する意味

それでは、コンタクトセンターがナレッジマネジメントを活用することで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。1つずつ詳しく見ていきましょう。

業務を効率化させる

コンタクトセンターの業務を効率化するためには、ナレッジの蓄積・活用が必要です。

コンタクトセンターでは、まったく同じ内容の質問をたびたび聞かれることは少なくありません。たとえば、なんらかの手続き方法について聞かれた場合、基本的に顧客ごとに案内が変わるわけではないので、同じトークスクリプトで対応できます。公式サイトのFAQを見れば解決できるような質問をされることも多いでしょう。

このように、よくある問い合わせに関しては、あらかじめナレッジ化してオペレーター間で共有しておくことによって、該当する問い合わせがあった場合に、どのオペレーターでもスムーズに対応することが可能になります。トークスクリプトさえあれば、経験の少ないオペレーターでも、ベテランのオペレーターと同様に業務を進められるわけです。

また、稀にしかない問い合わせの内容に関しても、あらかじめナレッジ化しておくことが有効となります。あまり寄せられない質問であると、オペレーターによっては対応に迷い、電話を保留して調べたり上司に確認したりすることもあるでしょう。その点、該当するナレッジが存在していれば、経験の少ないオペレーターでも迷わず対応することが可能となり、コンタクトセンター全体の業務効率がアップするのです。

オペレーターの負担を減らす

顧客対応の最前線に立つコンタクトセンターは、一般的にストレスの多い職場でもあります。というのも、商品やサービスに対して顧客が不満を抱いた場合、コンタクトセンターがその不満の矛先になりやすいからです。結果、オペレーターへの精神的負担が増し、コンタクトセンターの離職率は高くなる傾向にあります。

その点、ナレッジマネジメントを徹底し、個々のオペレーターがトークスクリプトを十分に活用できれば、スムーズに顧客対応を行えるようになります。たどたどしい対応で顧客を苛立たせることがなくなりますし、顧客に納得してもらいやすいトークスクリプトがまとめてあれば、顧客の問い合わせがクレーム化するのを予防することも可能です。

これによって、オペレーターにかかる負担やストレスを軽減することが期待できます。ストレスが少なくなれば、オペレーターの離職率も低下するでしょう。離職率が高く、オペレーターの確保に困っているコンタクトセンターは特に、このナレッジマネジメントに注目してみてください。

研修にかかるコストを削減する

コンタクトセンターは、企業の中でも膨大な人件費がかかる部門です。特に新人オペレーターが独り立ちするまでには、ある程度まとまった研修期間が必要となります。その上、コンタクトセンター全体のレベル向上のためにも、定期的に研修を行うことが重要です。仮に十分な研修が行われなければ、似たようなミスが頻発することにも繋がります。

その点、ナレッジマネジメントによって必要な知識がコンタクトセンターに蓄積されていれば、それを有効な教材として使えるため、より効率的に研修を進められるでしょう。またナレッジがあることで、新人オペレーターがあとから振り返りやすくなるのもメリットといえます。

新人を含め、すべてのオペレーターが成長しやすい環境を確保できれば、同時に研修コストの圧縮を実現できるかもしれません。

顧客満足度を改善する

ナレッジマネジメントが実現されれば、コンタクトセンター全体の対応品質を底上げすることが可能です。

オペレーターが顧客の求める内容を正しく理解できず、適切な対応が行えなければ、顧客満足度が落ち込む原因にもなります。ナレッジマネジメントが充実すれば、そういったオペレーターのミスを減らし、結果的に顧客満足度の向上に繋がるのです。

また、トークスクリプトをオペレーターが正しく扱うことによってスムーズな案内を行うことができるため、それも顧客満足度を上げる要因となります。

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ナレッジマネジメントは方法も重要

このようにメリットの多いナレッジマネジメントですが、進め方次第では失敗する恐れもあります。

オペレーターの暗黙知を形式知に変えて共有するためには、それなりの時間や目的、工数が必要です。目的を明確化せず安直に始めてしまっては、失敗は目に見えています。オペレーターによっては暗黙知が自分のアドバンテージになると考え、ナレッジマネジメントに消極的になる可能性もあるでしょう。まずは、ナレッジの共有が、それぞれの評価アップに繋がることを認識してもらわないといけません

また、せっかくナレッジマネジメント用のツールを導入しても、使われずに放置されればナレッジマネジメントは成り立ちません。優れた社員ほどツール活用の時間を取れない可能性があるので、工数をかけずにツールが利用できるようにする必要もあります。

ナレッジマネジメントを導入する際は、目的を明確化してセンター内で共有するところから、方法をよく検討して取り組むことが大切です。

まとめ

コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントとは、一部オペレーターの頭の中にある暗黙知をトークスクリプト化し、センター全体で共有することを意味します。コンタクトセンターの業務効率化を図るためには、このナレッジマネジメントが欠かせません。センター内でしっかりと目的意識と方針を共有し、ぜひ業務に役立ててください。

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