チャット応対システムとは、今話題の「AI(人工知能)」を使った、チャットによる自動応対システムのことです。このシステムを導入することによって、コンタクトセンターが抱えている数々の問題点を一気に解消することも夢ではありません。この記事では、チャット応対システムで解決できる課題や、その理由を具体的に解説します。
現在のコンタクトセンターが抱える課題とは?
チャット応対システムの導入によるメリットを確認する前に、まずは現状コンタクトセンターが抱えやすい課題について、いくつかご紹介します。
オペレーターの採用と育成
少子化が問題視される昨今、コンタクトセンターの多くが、慢性的な人材不足に悩んでいます。アルバイトや転職サイトにおいては、「コンタクトセンターのオペレーター募集」はもはや定番と言っても過言ではないでしょう。もともとコンタクトセンターの仕事は一般に「クレーム処理」というイメージが強いうえ、「何のスキルも身に付かない」と敬遠する人が多く見られます。一方、センター側の育成環境やシステムにも問題が多々あります。何よりまず、オペレーターを指導・サポートする「スーパーバイザー」がやはり慢性的に不足しています。そのためオペレーターは、十分な知識や経験もないまま現場に送り込まれ、現場でも適切なサポートをしてもらえず、結局自信を失くして辞めてしまう、という悪循環が繰り返されることになるのです。
顧客応対の品質
いくらオペレーターの数を増やさなければならないといっても、単純に頭数だけ増やせばよいというものではありません。当然、その中身も伴っていなければ意味がないのです。しかし現実には、教育環境が充実しておらず、まだ知識や経験が乏しいうちから駆り出されるケースが多く見られます。結果、応対に時間が掛かったり、誤った案内をしてしまったりと、応対品質が低レベルになり、お客様の満足度も低くなります。一定レベルの応対品質を維持し続けるためには、育成と現場でのサポート体制を見直し、離職率をできるかぎり低下させ、オペレーターの質を上げていくことが不可欠です。
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オペレーターの高い離職率
先述のとおりオペレーターは採用しても辞めてしまうケースが多く、この高い離職率がコンタクトセンターにとって大きな課題となっています。辞めてしまう理由としては、まず「ストレスを感じやすい」という点が挙げられるでしょう。コンタクトセンターにて主なストレスの原因となるのは、クレームの電話です。直接的な応対のミスはもちろん、オペレーター本人は関与していないトラブルについても窓口として厳しい言葉を受け取ることが多い環境では、耐えられなかったり、萎縮してしまったりするのも分からなくはありません。
また、もともとコンタクトセンターの場合は、アルバイトや派遣・契約社員など、いわゆる非正規雇用の社員が大半を占めています。近年は正社員への登用制度を採り入れるセンター(会社)も増加傾向にはありますが、成績優秀者に限られることが多く、逆に成績不振を理由に契約終了となるケースも見られます。こうした点も、離職率の増加に歯止めがかからない原因の一端となっています。
電話がつながらない
電話やメールなどでの問い合わせへ即座に対応するには、当然それに見合う数のオペレーターが必要です。しかし、先にも触れたとおり実際には募集を掛けてもオペレーターがなかなか集まらず、また採用してもすぐに辞めてしまうなどして、人材不足に悩む現場は多くあります。単純に受電できる人数が足りないことにより、お客様の待ち時間は必然的に長くなってしまうのです。多くのコンタクトセンターで、「電話しても全然つながらない」という声には覚えがあるのではないでしょうか。
待ち時間が長くなれば、顧客がストレスを感じて、普段であれば気にならないような些細なことがクレームに発展してしまうケースも増加します。これがまたオペレーターの離職につながる、という悪循環に陥る恐れがあるのです。
チャット応対システムの導入で解決できること
こうした課題を解決に導くには、チャットによる自動応対システムを導入することが非常に有用になります。ここからは、自動応対システムに期待できる効果をひとつずつ解説します。
オペレーター育成の手間を削減
コンタクトセンターでは、多種多様なお問い合わせに対応するため、オペレーターには入社後一定期間研修を行い、基準に達した者のみ現場に配置する方法が取られることがほとんどです。研修期間は早ければ1週間程度で済みますが、業務内容によっては数か月に及ぶ場合もあります。また、研修しても合格者が少なければ、再度募集を掛けるところからやり直さなければならないケースもあるでしょう。
その点、AIを用いたチャット応対システムであれば、コンピューターにルールを設定するだけなので、人に対して研修を行うときほどの手間や時間は必要ありません。高度なものになると「自動学習」の機能も活用できるため、コストの削減効果は一層高くなります。作業や時間的コストだけでなく、研修に要する費用の削減にもつながるので、センターの運営面においても大きなメリットとなるはずです。
人材不足の解消
AIによるチャット応対を完全に自動化することができれば、当然オペレーターは必要なくなります。ただ、実際はお客様からのお問い合わせ内容が多岐にわたり、想定外の質問がくることもあるため、完全な自動化は難しいでしょう。現実的には、「調査や確認の必要がなく、規定どおり回答すればよい」場合は機械が自動応対し、「詳細な確認等をしなければ回答できない」といった場合はオペレーターに切り替えるというシステムにするのが一般的となっています。
オペレーターはイレギュラーな質問に対応できる最小限の人数が確保できていればよいため、チャット応対システムの導入は、慢性的な人材不足というコンタクトセンターの長年の懸案事項の解決に結びつく効果が大いに期待できます。
24時間問い合わせが可能
先述したように、コンタクトセンターに対しては「電話を掛けてもなかなかつながらない」と不満をもつ人が多く見られます。この点も、チャット応対システムにより初期対応を自動化すれば、1件ごとの応対時間が短縮されるので、全体の待ち時間を大幅に短縮することが可能となります。また通例、センターを24時間稼働させるのは、コストやオペレーターの管理といった面から簡単にできることではありません。しかしこのシステムであれば、それは一転容易になります。AIに時間外の一次対応を一任すれば、夜勤専用のオペレーターを募集したり、勤務シフトの作成に頭を悩ませたり、残業代や深夜・早朝の割増手当を支給したりする必要はありません。24時間繋がるコンタクトセンターは、顧客満足度という点においても、大いに向上が期待できるはずです。
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チャット応対で、悩んでいるお客様を購買へと導く
チャット応対システムは、企業側だけでなく、お客様側にも多くのメリットをもたらします。中でも「24時間いつでも思い立ったときに問い合わせができる」というのは、お客様にとっても非常に便利なポイントです。たとえば、実際にお店で商品を見て気になる点があったとき、チャットならほかの人に聞かれることもなく、その場で問い合わせることができます。その際、即座に求める答えが得られれば、そのまま商品を購入してもらえる可能性が上がるはずです。
また、「プロアクティブチャット」といって、ページの閲覧時間や回数に応じて、サポートへ誘導するポップアップを出す機能もあります。これを活用すれば、悩んだり迷ったりしているお客様をサイトにつなぎとめ、スムーズに購入まで導くことも可能になるでしょう。
まとめ
人手不足や問い合わせ時間の拡大など、チャット応対システムはコンタクトセンターが長年抱えている課題を解決する可能性のあるシステムです。導入するかどうか迷っているのなら、ぜひこの機会に今一度チャット応対システムのメリットや特徴を確認し、じっくりと検討してみてはいかがでしょうか。
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