CRMツールは、機能面や費用面などで違いのある、さまざまな種類が提供されています。本記事では、CRMの概要から、SFAやMAとの違いを分かりやすく解説します。また、CRMツールの中でおすすめを10種類挙げ、特徴や注目すべきポイントも紹介します。CRMツールの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
CRM(顧客管理)ツールとは?
「CRM」とは、Customer Relationship Managementの頭文字を取って略した用語で、「顧客関係管理」とも呼ばれています。
コンタクトセンターをはじめとして、企業がスムーズに事業を進めるためには、丁寧できめ細かな顧客分析が欠かせません。たとえば、どのような属性の顧客が、どのようなニーズを持っており、どう行動しているのかといった情報を取得すれば、先回りしてニーズに合った営業活動を推進できます。ひいては顧客満足度向上や売上の拡大にもつながります。
CRMでは、顧客情報や行動履歴、顧客との関係性を一元的に管理できるのが特徴です。顧客にまつわる情報管理ツールそのものをCRMと呼ぶこともあり、さまざまなサービスが誕生してきました。初期導入コストを抑えつつ運用サポートが充実しているクラウドサービスも多く、手軽に効果をあげられる手段として、多くの企業で導入、活用されています。
CRMツールの選び方
現在、各ベンダーから提供されているCRMツールには多くの種類があります。一度導入すれば長く使うツールであるため、自社にとってどれを選べば効果を最大化できるのか分からないといったことも少なくありません。
その場合、まず機能面をチェックし、自社が抱えている課題に対し、解決につなげられそうかに着目しましょう。価格面も重要です。ツールを導入、利用するにあたって、予算内に収まるかどうか、費用対効果は適切かどうかもあらかじめ確認しておきましょう。
もしパッケージ化されたCRMツールでは自社のニーズを満たせない場合は、カスタマイズできるかどうかも重要なポイントです。カスタマイズにかかるコストについて、見積依頼などをしてチェックしておくと、後々予算がオーバーするなどの事態を防げます。さらに次章で挙げるSFAやMAのほか、ECやPOSなど自社で使用中のシステムとの連携が可能かどうかも確認が必要です。
CRM・SFA・MAの違い
CRMと似たような用語に、SFAやMAがあります。各々は連携できることから関係性が深く、混同しがちですが、意味や機能、活用ケースは異なるため注意が必要です。
まずSFAは、Sales Force Automationの略称で、「営業支援システム」を指します。取引先と商談などを行う営業担当者の業務がスムーズに進められるように支援するツールです。
次にMAは、Marketing Automation、つまりマーケティング活動を自動化することです。かつてマーケティングを行うには、多数の情報分析やリードに対する継続的な情報提供などについて、人の作業負担が大きくのしかかっていました。しかしツールを使えば、複雑に絡み合った情報をコンピュータが処理することで、業務効率化が図れます。一方、人は結果に基づいて実際のアクションを検討するなど、より生産性の高い作業へ注力できるようになります。
各ツールは的確に使い分けることで高い効果を発揮します。たとえば営業活動の後に顧客へアプローチするにはCRM、顧客との商談を効率的に行うためにはSFA、リードを獲得して営業に渡すまでの育成にはMAといったように、目的に合わせて適切に使い分けることが重要です。
CRMツール(顧客管理システム)の比較10選
ここからは、実際に提供されているCRMツールの中から10種選び、それぞれの特徴やおすすめできるポイントについて紹介します。
CRMソリューション(ベルシステム24)
ベルシステム24は、顧客、企業との接点として重要なコンタクトセンターの運用をより効率化するため、高機能のCRMソリューションを提供している企業です。
同社が提供するCRMソリューションには、注目すべきメリットが多くあります。たとえば、業務とシステムとの間にずれが生じがちな従来のウォーターフォール型開発ではなく、分析から設計まで、プロトタイプ環境によるアジャイル方式が採用されています。その結果、開発に手間や時間をかけることなく、ユーザーを巻き込みながら、多様なニーズに応えるようシステムの導入を進められます。基本的な機能を最大限活用しつつ、将来の運用変更などにも柔軟に対応できるのがポイントです。
一方、追加で機能を増やす、あるいはAPI連携を希望する場合は、ウォーターフォールモデルにより、確実にシステム開発することも可能です。完成後の品質が担保され、導入後も末永く使い続けられる安心感があります。
ほかにも、他部門との情報連携に役立つマルチクラウド化やチャット、外部FAQ、内部ナレッジ基盤も部分的かつ同時に整備できます。業務改善にも役立つとあって、多くの企業から支持を集めています。
関連ページ:CRMソリューションについて詳しくはこちら
Senses(センシーズ)
「現場で使ってもらう」ことにフォーカスした、クラウド型営業支援ツールです。人の手によるデータ入力の手間を省き、営業活動に必要な顧客、案件、行動、名刺などのすべての情報をツール上で一元管理できるため、現場での負担が軽減されます。
法人顧客とのやり取りや案件管理のほか、企業概要、プレスリリース、有価証券報告書、財務情報といった顧客にまつわる社内外の情報を収集、統合可能です。架電時の自動録音や文字起こし機能でデータを正しく記録できるのも魅力です。
関連ページ:Senses公式サイト
Salesforce Customer 360
Salesforceは、CRMソリューションを中心にクラウドコンピューティングサービスを提供している米国発祥のIT企業です。同社がリリースしているCRM、Salesforce Customer 360には、部門をまたがって分散している顧客情報やあらゆる知見などのデータをリアルタイムに共有できる機能や、AI(人工知能)を活用したワークフローの自動化を図れる機能などが搭載されています。
セキュリティ面も世界最高レベルとされる安全性を確保しているほか、あらゆる業種・企業規模に対応するカスタマイズ性と拡張性を兼ね備えているのも特徴です。
関連ページ:Salesforce Customer 360公式サイト
Zoho CRM
Zoho CRMは、顧客管理を一元化し、業務効率と売り上げの最大化を実現できるCRMシステムです。最低でも10万件の顧客を管理でき、連絡先と関連付けることで商談履歴や顧客とのやり取りが把握可能です。Webフォームで得られた顧客情報を自動連携できるため、リードジェネレーションが効率化されます。システム上で顧客へメールを送れるほか、開封率などの行動データも取得可能なため、営業パフォーマンスの向上に寄与します。また、AIアシスタント機能を活用してサポートを受ければ、顧客管理をさらに効率化できます。
関連ページ:Zoho CRM公式サイト
kintone(キントーン)
kintoneは、あらゆる業種の企業において、業務に応じた自社オリジナルのアプリやコミュニケーションスペースをかんたんに作成できるプラットフォームです。強みとして、顧客の案件や書類、やり取りなどを、すべて顧客情報に関連付けて管理できる点が挙げられます。案件の属人化を防止するとともに、部門や部署を横断した共有化も容易です。
項目や条件を指定するだけで、生データから自動でグラフまで作成できる機能は、売上分析や顧客分析などに活かせるため便利です。システムにまだ慣れていない初心者からベテランユーザーまで参加できる学習コンテンツや、ユーザーコミュニティが設けられているなど、運用中のサポート体制も充実しています。
関連ページ:kintone公式サイト
Sansan
Sansanは、営業・マーケティング活動に最適なデータを活用できる、営業DXサービスです。業種や従業員規模、売上高、役職者情報などの企業データベースを搭載しているため、アプローチすべき企業を発見できるメリットがあります。企業データベースとメールや商談の履歴など、顧客との接点が含まれたデータを組み合わせることで、すでに接点を持った類似企業を選定する際にも役立つでしょう。
企業や市場における直近の動向を把握できるため、営業担当者の提案力を高められるほか、効果的な営業戦略の立案や実行が可能になります。営業担当者個人のみならず、組織全体の営業力も向上させられるのが、Sansanの強みです。
関連ページ:Sansan公式サイト
Hubspot CRM
Hubspot CRMは、全世界で12万社を超える企業に利用されているCRMシステムです。システムやツールを導入するには、ある程度初期費用がかかるケースが一般的ですが、Hubspot CRMではマーケティングや営業活動を効率化する機能が無期限に無料で使えます。広告管理機能やチャットボット作成機能、多数の外部アプリとの連携機能などがあるため、導入後は多彩な活用方法が考えられます。日本語に対応したカスタマーサービスがあり、自社の目標を達成するためのアドバイスが受けられるのも魅力です。
関連ページ:HubSpot公式サイト
Oracle Sales Cloud
Oracle社は、営業活動を強力に後押しするSFA・CRMシステム、Oracle Sales Cloudを提供しています。導入はこれまで世界中で1,000社以上にのぼります。
従来の顧客情報管理のほか、営業活動を支援する「テリトリー(担当顧客)分析」と過去データから導き出した「売上予測」の両機能を搭載しているのが特徴のひとつです。情報分析を強化し、顧客に対して的確にアプローチしたい企業に適しています。分析結果に基づき、営業活動を効率的かつスムーズに進められます。
営業担当者はデータ入力や検索、分析の手間を徹底的に省け、生産性が向上します。さらに無駄のない営業配置により、担当者は営業活動にかける時間を最大化できます。
誰でも分かりやすく操作性に優れています。ほぼトレーニングの必要がなく直感的に操作できるため、現場から敬遠されることなく定着しやすいのも魅力です。
関連ページ:Oracle Sales Cloud公式サイト
Dynamics 365
Dynamics 365は、マイクロソフト社のビジネスアプリケーションです。マーケティングやSFA、ERPなどの幅広い領域を網羅しており、組織全体での業務効率化やセールスを後押しします。CRMは、営業担当者、営業マネージャーそれぞれをサポートする心強い機能がそろっています。とくに大規模な販売活動を行う企業におすすめです。
ほかにも、AIが優先度の高い顧客をスコアリングしたうえで、成約の可能性が高い営業内容を提案したり、システム上で電話を直接かけた際、自動で録音したりする機能も搭載されています。文字起こしが不要なため、迅速な意思決定が可能です。
関連ページ:Dynamics 365のCRMソリューション公式サイト
Synergy!
Synergy!(シナジー)は集客から顧客情報の一元化、プロモーション、分析まで幅広く支援する国産CRMツールです。CRMシステムの管理画面でありがちな難解さはなく、ユーザーの使いやすさが徹底的に追求されています。マニュアルを見なくても短時間で効率的に使えることがSynergy!のこだわりです。また、ファイアウォールやウイルスセキュリティなどによって、セキュアに運用できるのもポイントです。
導入後に製品の仕様や操作方法について不明点が生じた際には、カスタマーサポートを無料で利用可能です。スキル習得に適した操作セミナーやサポートサイトも使えるため、安心して運用できます。
関連ページ:Synergy!公式サイト
まとめ
CRMは、顧客にまつわる情報を一元的に収集、管理することで、より高次元のマーケティングに活かし、売上や業績向上をめざす手法、ツールです。営業担当者をサポートするSFAやマーケティングを自動化するMAとは意味や活用場面などに違いがあるものの、それぞれ深い関係を持っています。
現在、CRMツールは多くの種類が各ベンダーから提供されています。まず自社の課題を洗い出し、目的を明確化した上で、機能面、価格面などを総合的に勘案して選ぶのがおすすめです。本記事を参考に、自社にとって最適なCRMツールを探してください。
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