顧客対応の効率化や品質向上に有効な施策として、FAQの導入が考えられます。FAQの導入で得られるメリットは多く、さまざまな企業が導入しているものの、作る際にはいくつかの注意点を意識しなくてはなりません。本記事では、FAQの概要や作る目的、作り方、注意点などについて解説します。
そもそもFAQとは
FAQとは「Frequently Asked Questions」の略で、寄せられる頻度が高い質問と回答を整理したコンテンツのことです。企業サイトやECサイトなどで目にする「よくある質問」こそFAQです。
FAQには「社内向け」と「社外向け」の2種類があります。前者は社内の従業員やコンタクトセンターのスタッフに向けたもので、後者は顧客の課題解決に機能するコンテンツです。
FAQの運用は、公式サイトやECサイトなどへの設置が代表的です。「FAQ」もしくは「よくある質問」として設置することで、アクセスユーザーは求める情報を得られます。
また、システムを用いてFAQを運用するケースも少なくありません。寄せられた質問をPCに入力し、回答を表示させるといった使い方ができるため、コールセンターやコンタクトセンターの運営に役立ちます。
なぜFAQを作るのか
FAQを作る目的は、顧客の疑問解消です。よくある質問と回答をコンテンツとして整理すれば、顧客はわざわざ窓口へ問い合わせることなく疑問を解消できます。
また、問い合わせ担当スタッフのサポートも、FAQを作る目的のひとつです。FAQがあれば、従業員や顧客が自己解決してくれるため、スタッフの手間と労力が軽減します。直接対応する場合でも、FAQを参照すればすぐ回答が見つかるため、業務効率が高まります。
そのほか、コンタクトセンターの業務効率化やスタッフの負担軽減にも有効です。顧客が疑問を自己解決できる環境を整備すれば、問い合わせの数を減らせるためです。
FAQの作り方
時間をかけてFAQを作成しても、機能しなくては意味がありません。きちんと機能するFAQを作成するには、しっかりと情報収集を行ったうえで情報を整理し、回答の紐づけや内容の確認をしましょう。
1. 情報の収集
FAQを作成するには、過去にどのような質問がよく寄せられていたのかを把握する必要があります。過去の問い合わせ履歴をチェックし、従業員へのヒアリングも行いましょう。
自社の製品やサービスを第三者に使用してもらい、率直な感想を聞きとるのも有効です。予備知識がほとんどない方に使用してもらい、気になる点や疑問を感じる部分を抽出します。
2. 情報の整理
収集した情報を整理するプロセスです。集めた情報のなかには、問い合わせ回数が多かったものもあれば少ないものもあります。FAQにはよくある質問と回答を盛り込むため、問い合わせ頻度が高い質問を優先的にピックアップしましょう。
併せて、カテゴリ分けも行いましょう。たとえば、「サービスの使い方」「支払い方法」「解約の手順」などが考えられます。このようにカテゴリごとに情報を整理することで、利用者が求める回答へとスムーズにアクセスできるFAQを作成できます。
3. 回答の紐づけ
抽出した質問に回答を紐づけます。正確な回答を用意しないと、顧客やコンタクトセンタースタッフの信頼を失いかねないため、仕様書やマニュアルなど正しいソースに基づき回答を紐づけましょう。
基本的に、FAQではあまり長々とした説明はしません。簡潔かつ分かりやすい回答を用意し、より詳しい情報は別のコンテンツで公開します。回答に補足が必要であるなら、関連するコンテンツへと紐づけをしましょう。
4. 内容の確認
FAQの回答に誤りがあると、利用者に迷惑をかけてしまいます。そのため、公開前には必ず入念なチェックを行いましょう。
頻度の高い質問と回答を網羅できているか、誤った回答はないか、誤字脱字などはないか、などをチェックします。また、関連ページへのリンクを設置するのなら、リンクがきちんと機能するかどうかも確認が必要です。
第三者によるチェックも検討しましょう。顧客の視点でチェックしてもらえば、作り手側には見えてこなかった不備が明らかになるかもしれません。
FAQを作る際の注意点・ポイント
FAQを作成する際には、利用者目線で取り組むことが大切です。また、利用者が理解しやすい内容に仕上げること、検索機能を実装すること、情報の見直しや更新を定期的に行うことも大切です。
1. 利用者目線をもつ
FAQの内容は、利用者に有益なものでなくてはなりません。そのためには、サービス提供側ではなく利用者目線でFAQ作成に取り組む必要があります。
コンテンツの内容だけでなく、使い勝手も意識しなくてはなりません。利用者の課題解決に役立つコンテンツであっても、使いにくいとなれば利用してもらえない可能性があります。利用者目線で使用感をチェックし、スムーズに回答へアクセスできるか確認しましょう。
Webサイトへ設置するのなら、場所にも注意が必要です。ユーザーの目につきにくい場所へ設置してしまうと、FAQの存在に気づいてもらえないかもしれません。メインメニューやサイドバーに設置する、目立つバナーを使用するなどの工夫が必要です。
2. 分かりやすさを意識する
利用者がFAQで求める回答を見つけられても、書かれている内容が理解できなければ意味がありません。回答はできるだけシンプルに、なおかつ分かりやすく記載しましょう。
FAQへアクセスする方のなかには、自社商品やサービスに関する知識がほとんどない方もいるかもしれません。回答に難しい専門用語を多用してしまうと、このような層を置き去りにしてしまいます。誰がアクセスしても理解できるよう、専門用語はなるべく使わず、難しい言い回しも回避しましょう。
3. 検索をかけられるようにする
コンテンツのボリュームによっては、ユーザーが求める情報へスピーディーにアクセスできないかもしれません。このようなケースを想定し、FAQには検索機能を実装しましょう。検索機能の実装により、ユーザーはフォームへキーワードを入力して求める情報を見つけられます。
検索機能を実装するのなら、リリース前に正しく機能するかチェックも必要です。実際にキーワードで検索し、該当するFAQへきちんとアクセスできるかどうか確認しましょう。
4. 情報を更新する
FAQの内容は、定期的な見直しと更新が必要です。古くなった情報をそのまま放置してしまうと、利用者が誤った情報を得てしまい、トラブルに発展する可能性があります。コンタクトセンター向けでも同様に、顧客へ誤った情報を提供するおそれがあるため注意が必要です。
時間の経過に伴い、消費者が求める情報も変化します。今まであまり寄せられなかった質問が頻繁に寄せられるようになる、といったことも考えられます。定期的に問い合わせ状況をチェックし、常に需要を満たせるFAQとなるよう更新を続けましょう。
5. 導線を設ける
顧客向けのFAQであれば、質問への回答を表示するだけでなく、次の行動を促せるような工夫をしましょう。FAQで疑問や不安を解消したユーザーは、モチベーションが高まる可能性があるため、工夫次第で製品やサービスの購入につながります。
よくあるのは、FAQの下に商品ページや予約ページへのリンクを設置する手法です。また、ホワイトペーパーのダウンロードリンクを設置すれば、より詳細な情報を求めるユーザーがダウンロードしてくれる可能性があります。
まとめ
FAQ作成の際には、しっかりと情報収集を行ったうえで整理し、内容に問題がないか確認してから公開しましょう。利用者目線で分かりやすいFAQに仕上げる、次のアクションにつながる導線を用意する、といった点も大切です。
顧客対応の課題を解決したいと考えているのなら、「ベルシステム24」のサービスが有効です。CRMや自動応答、音声認識などのソリューションサービスを提供しており、最適なFAQを構築するサポートも行っています。
- TOPIC:
- 課題・ソリューション
- 関連キーワード:
- FAQ