顧客対応に苦慮している企業は少なくありません。特に、少ない人員で対応にあたっている企業であれば、問い合わせをさばききれない、従業員への負担が大きいといった問題を抱えているケースが考えられます。このような課題は、チャットボットで解決できる可能性があります。本記事では、チャットボットの概要と、タイプ別の仕組みを解説します。
そもそもチャットボットとは
チャットボットとは、チャットとボットを組み合わせた言葉であり、テキストを用いて自動的にやり取りを行えるプログラムを指します。導入によりさまざまなメリットを得られるため、近年ではコーポレートサイトやECサイトなどに実装する企業が増えました。
チャットボットの導入により、24時間365日体制で顧客への対応が可能です。業務時間外であってもプログラムは稼働しているため、いつでも顧客からの問い合わせに対応でき、機会損失リスクを抑制できます。
また、人的コストの削減にもつながります。顧客自らが求める情報を取得できる環境が整い、問い合わせ対応の人員を減らせるためです。問い合わせ数の減少に伴いオペレーターの負担も軽減し、人材の定着率が高まる効果も期待できます。
チャットボットの仕組み
チャットボットの導入を検討しているのなら、どのような仕組みで作動するのか仕組みを理解しておきましょう。
基本的な仕組み
APIによるボットとアプリケーションの連携により、チャットボットは作動します。APIは、Application Programming Interfaceの略で、他サービスの機能を連携できる技術です。
この仕組みにより、顧客が入力した問い合わせはAPIを介してボットに届きます。ボットのプログラムがキーワード分析やデータベース検索を行い、導き出した結果をテキストにして再びアプリケーションへと送り返します。
会話に関する仕組み
チャットボットとのあいだでコミュニケーションが成り立っているように見えるのは、ルールが存在しているからです。あらかじめルールが設定されているため、「このようなときはこう返信する」とのルールに則り作動します。
また、チャットボットは入力されたテキストから、キーワードを抽出します。分析の精度が高いプログラムほど、回答に直結するキーワードの抽出が可能です。
キーワードを抽出したら、データベースから回答を見つけ出します。データベースの情報量が充実していると、より適切な回答を導き出せる確率が高まります。プログラムが回答を見つけたらテキスト化し、回答して完了です。
AI技術を用いたチャットボットであれば、やり取りを重ねるごとに学習するため、回答の精度が次第に高まります。
6つのタイプ別チャットボットの仕組み
チャットボットとひと口に言っても、さまざまな種類が存在します。シナリオ型やAI型、Eliza型などがよく知られており、それぞれ回答の仕組みが異なります。
1. シナリオ型の仕組み
シナリオ型は、あらかじめ設定したシナリオに基づいたやり取りを行い、回答へ誘導します。ユーザーは、表示された選択肢から該当する項目を選ぶアクションを繰り返すことで、知りたい情報を取得できます。
選択肢から選んでいくだけで回答を得られるため、ユーザーの負担が少ない点がメリットです。一方、問い合わせ内容をしっかりと想定しないと、ユーザーは回答へたどり着けないため注意しなくてはなりません。また、質問内容が複雑な場合、対応が難しいケースがあります。
2. AI型の仕組み
AI技術を活用したチャットボットは、学習能力に優れる特徴があります。コミュニケーションを重ねるほどデータを蓄積し、学習もするため次第に回答精度が高まります。
学習を重ねることで、より柔軟かつ幅広い質問への対応が可能です。導入した当初は回答が難しい質問であっても、自動的に学習して答えられるように進化します。
ただ、AIといえども最初から適切なコミュニケーションがとれるわけではありません。あらかじめデータを学習させることで、スムーズなやり取りが可能です。
3. Eliza型の仕組み
Eliza型は、事前に設定したパターンに基づきやり取りを行うタイプです。ユーザーからの質問に対し答えるタイプではなく、聞き役に徹したうえで「はい」「いいえ」の選択肢から選ばせつつ回答へ誘導するチャットボットです。
Eliza型は、チャットボットの元祖と言われています。長い歴史をもつチャットボットでもあり、初期型は1966年に誕生しました。チャットボットの進化に影響を与えた原型ともされており、医療の世界で活用されてきた経緯もあります。
4. ログ型の仕組み
ログ型は、AIを活用したチャットボットの一種です。データベースに蓄積した過去のやり取りから、ベストな回答を導き出そうとするタイプです。
AI技術を用いているため、稼働させるほど精度を高められます。学習を続けることで精度が高まり、人間らしい自然なコミュニケーションが実現可能です。そのため、競合のチャットボットと差別化したい企業にもおすすめです。
一方、初期の状態ではデータの蓄積量が足りないため、適切な回答ができません。そのため、一定量の情報をあらかじめインプットする必要があります。
5. 辞書型の仕組み
辞書型は、登録したテンプレートに基づきコミュニケーションをとるタイプのチャットボットです。単語と回答をセットで登録し、ユーザーが対象の単語を入力したときテンプレート化した回答を表示します。
たとえば、「支払方法」なるキーワードと、「支払い方法はクレジットカードのみです」の回答をセットで登録します。これにより、ユーザーが支払方法と入力したとき、上記の回答が表示されます。
基本的に、このタイプは登録した内容以外は回答できません。そのため、さまざまな質問に対応するのであれば、膨大な量のデータをインプットする必要があります。登録する単語の洗い出しやインプットの手間を考えると、運用までにそれなりの時間を要するかもしれません。そういった意味でも、ユーザーからの問い合わせ内容が限定的で、パターンが多岐にわたらない場合に向いています。
6. 選択肢型の仕組み
選択肢型には、前述のシナリオ型のタイプと、前項で述べた辞書型の機能と組み合わせたタイプがあります。
シナリオ型タイプは、表示した選択肢のなかから、ユーザーに該当する項目を選んでもらい、回答へと導くタイプです。比較的作成に手間がかからないメリットがある反面、適切な選択肢を用意しないと回答へ導けないため注意が必要です。
選択肢型+辞書型のタイプは双方の機能を実装しており、選択肢に沿って誘導しつつ、登録してある情報も回答に用います。双方の機能を融合させることで、より高精度な回答を行える点が長所です。
ただ、このタイプは双方のメリットを得られる反面、デメリットも2つ抱えてしまいます。選択肢型は綿密にシナリオを設計する必要があり、辞書型は大量の単語と回答を登録しなければなりません。それを踏まえたうえで導入を検討しましょう。
まとめ
チャットボットの導入により、いつでも顧客への対応が可能となり機会損失リスクを回避できます。また、人的コストの削減や従業員の負担軽減につながるのもメリットです。チャットボットには、シナリオ型やAI型などいくつもの種類があり、それぞれ異なる特徴を有することも理解しておきましょう。
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