顧客への対応をメインに行うコンタクトセンター。実は、コンタクトセンターで収集したデータがマーケティング展開に役立つことをご存知でしょうか。この記事では、有用なデータの宝庫であるコンタクトセンターと、マーケティングの繋がりについて詳しく説明します。
コンタクトセンターとは
コンタクトセンターとよく似た言葉に、コールセンターがあります。コールセンターの方が聞きなじみがあるという方も多いでしょうが、そもそもコンタクトセンターとはいったい何なのでしょうか。
コンタクトセンターとは、コールセンターを含め、さまざまなチャネルで顧客からの問い合わせに対応し、サポートするセンターのことを指します。従来は主に電話で問い合わせを受け付けていたため、コールセンターと呼ばれていましたが、近年ではメールやチャットなど、問い合わせ方法が多岐にわたるようになったため、総括してコンタクトセンターと呼ばれるようになりました。同じ意味で使われる言葉に、「カスタマーセンター」もあります。
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重要度が増すコンタクトセンター
近年、コンタクトセンターの企業における重要度が高まりを見せています。 従来、顧客が重要視するのは商品やサービスの品質だけとされていました。ところが最近では、購入後のサポートや企業とのコミュニケーションへと、顧客の価値観がシフトチェンジしていることが指摘されています。
コンタクトセンターは、いくつものチャネルを駆使して顧客と接する部門です。そのことで寄せられる声の数は膨れ上がりますが、だからといって顧客への応対品質を下げることは許されません。ただでさえ情報の宝庫と称される顧客の声を正確に把握するため、コンタクトセンターにはより適切な接客を行うことが求められるようになったのです。 これらのことから、今後、コンタクトセンターの役割はますます重要視されていくものと考えられています。
コンタクトセンターに期待できる効果
では、コンタクトセンターを充実させることにより、どんな効果が期待できるのでしょうか。
まず、顧客満足度を高めつつ、顧客とのエンゲージメントを深め、ファン化させることができます。これは、従来のような商品やサービスを購入してもらったらそこで終わりという浅い繋がりではなく、その後もサポートを行ったり、広告を配信したりすることで、企業そのものに興味を持ってもらうといった関係性を構築するということです。これにより、特定の商品やサービスだけでなく、その企業が販売するほかの商品やサービスにも興味を持ってもらえることでしょう。このようにファンを増やすことは、売り上げの増加に繋がるのです。
また、コンタクトセンターで得た情報は、開発やマーケティングなど、ほかの部署の業務に役立てることができます。次の項目では、中でも深い関わりを持つコンタクトセンターとマーケティングの関係について見ていきましょう。
コンタクトセンターとデジタルマーケティングの接点
冒頭でも述べた通り、コンタクトセンターとデジタルマーケティングには深い関わりがあります。ここでは、両者における3つの接点を説明します。
コンタクトセンターではマーケティングに活用するデータ収集が可能
1つ目の接点は、コンタクトセンターで収集するデータをマーケティングに活用できることです。コンタクトセンターは直接顧客とのやり取りをするため、商品や企業への要望や相談、クレームなどさまざまな情報が集まります。これらの問い合わせ内容は、企業のWebサイトやECサイト、商品、サービスなど、多岐にわたる不備の発見に繋がります。
たとえば、返金について多く問い合わせが寄せられるなら、サイト上の返金についての表記が顧客に伝わりづらいことが予想されるでしょう。そこで、よりわかりやすい表記に変えるという改善が行えます。このようにコンタクトセンターには、こんな商品が欲しい、サービスのここが使いづらいなど、顧客からの貴重な声が多く寄せられます。これらの意見を元に商品やサービスを改善することで、より質の高い商品やサービスを提供し、顧客満足度を高めることができるのです。
また、単純な問い合わせ内容だけでなく、いつ連絡があったのか、その連絡はどれくらいの長さだったのかなどの情報から、消費者行動を探ることもできます。たとえば、午前中に問い合わせが多いなら、午前が顧客とコンタクトの取りやすい時間と予想できます。その時間を狙ってメールやSNSで広告を配信することで、より多くの反応が期待できるでしょう。
デジタルマーケティングがコンタクトセンターの補完的な役割を担う
2つ目の接点は、デジタルマーケティングがコンタクトセンターをサポートしているという点です。コンタクトセンターは複数のチャネルを活用して問い合わせ対応を行う部署ですが、主なチャネルとしては電話が挙げられます。デジタルマーケティングは、コンタクトセンターが電話だけでなく、より幅広いチャネルでマーケティングを行えるよう、Webサイトやメール、チャット、SNS、SMSなどで支援する役割を担っているのです。
特に、近年ではスマートフォンの普及により、電話とWebの親和性が高まっています。そのため、電話とWeb、両者を連携させたマーケティング展開が必要であると言われています。その結果、今後もよりコンタクトセンターとデジタルマーケティングは深く関わっていくことになるでしょう。
デジタルマーケティングで顧客をコンタクトセンターへ誘導する
3つ目の接点は、デジタルマーケティングで集客し、顧客をコンタクトセンターへ誘導するというものです。Webサイトなどを通じたデジタルマーケティングでの集客は、低コストなうえにターゲットを幅広く取れるため、近年ますます広がりつつあります。しかし、Webサイトだけを用意しても、満足いくマーケティングに繋がるとは限りません。インターネットに不慣れな人々がターゲットから外れてしまう、顧客の不満が伝わりづらいといった課題が生まれてしまうからです。
そこで、Webサイトにコンタクトセンターの電話番号などを記載しておき、商品・サービスについての質問や購入後の支援をコンタクトセンターで請け負えるよう誘導します。これによって、より多くの顧客の声をしっかりと聞くことができるでしょう。
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コンタクトセンターをマーケティングセンター化するという考え方
AIの発展にともない、お客様からの質問や要望にただ対応するだけのコンタクトセンターは、近い将来不要になると言われています。この流れを受け、近年ではコンタクトセンターをマーケティングセンター化するという考えが生まれているのです。
マーケティングセンターとは、単なるコールセンター・コンタクトセンターではなく、オペレーター1人1人が創造性を持ち、マーケティングを意識しながら顧客対応するセンターのことを指します。たとえば、「マイページにログインができなくなった」と電話がかかってきたケースを想定しましょう。そこで単純にIDを見つけたり、パスワードを再発行したりするのではなく、少し発展して、「ログインして何がしたいのか?」と顧客に問いかけます。こうすることで、顧客がなぜログインしたかったのかがわかり、さらなる顧客のニーズに応えることができるのです。
コンタクトセンターのマーケティングセンター化は、国内最大級の航空会社であるANAも取り組んでいる試みです。単なるコンタクトセンターではなく、自分の対応がマーケティングや経営にも影響を及ぼすという意識を持つことで、オペレーターの仕事に取り組む意識も前向きになると考えられます。今後もコンタクトセンターを活用していくなら、マーケティングセンター化することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
コンタクトセンターにおける情報は、マーケティング展開に役立ちます。また、今後はコンタクトセンターをただ顧客対応する場所と捉えるのではなく、マーケティングセンターとして考えることも重要になってくるでしょう。この機会に今一度、コンタクトセンターのあり方について考えてみてはいかがでしょうか。
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