近年、電話業務を行うコールセンターをより進化させた、コンタクトセンターが注目を集めています。従来のコールセンターの機能に加え、メールやWeb、チャットなど幅広いツールを使用し、品質の向上や業務効率化などを行うために作られました。
しかし、まだまだ新しい取り組みのため、両者の違いを明確に理解している方は少ないかもしれません。そこで本記事では、コンタクトセンターとはどのような取り組みなのか、またコンタクトセンターが求められる理由やコールセンターとの違い、必要とされるシステムなどについて解説します。
コンタクトセンターとは
コンタクトセンターは、電話に加えてEメール・Web・ソーシャルメディア・チャット・FAX・ハガキなどの手段で、顧客や消費者への対応を行う拠点・窓口です。ツールを導入することで、24時間対応も可能となります。
また、消費者が購入前後のプロセスや企業とのコミュニケーションといった「体験価値」を重視する傾向もあることから、さまざまな通信手段を使って顧客の満足度をアップし、会社に新たな付加価値をつける役割を担える存在として、コンタクトセンターは位置づけられています。
顧客と会社との橋渡しを行うという点では、コールセンターと似た業務を行っているといえます。
コールセンターとは
電話を使用して顧客とのコミュニケーションを行う部門です。部門として独立していることがほとんどで、コールセンターを専門とする会社にアウトソーシングする場合もあります。
コールセンターの業務は、顧客のもとへ電話をかける「アウトバウンド」と、顧客からの問い合わせを受ける「インバウンド」に大別されます。
アウトバウンド業務を行うスタッフは「テレフォンアポインター」と呼ばれることが多く、セールスや工事の時間の打ち合わせ、会社からの案内などを行います。一方、インバウンドを行うスタッフは「テレフォンオペレーター」と呼ばれることが多く、通販などの商品の受注やクレーム対応、質問の受付などを多く行っています。
コンタクトセンターとコールセンターの違い
コンタクトセンターとコールセンターは名前が似ていますが、業務の内容や概念が異なります。それぞれのコミュニケーション手段や特徴の違いは、下記表の通りです。
コンタクトセンター | コールセンター | |
---|---|---|
コミュニケーション手段 |
電話、Eメール、Web、ソーシャルメディア、チャット、FAX、ハガキ |
電話 |
特徴 |
・さまざまなチャネルに対応 ・ツールの導入で24時間対応可能 |
・オペレーターが1対1で対応する ・オペレーターの品質が顧客満足を左右する |
以下、それぞれの違いについて詳しく解説します。
対応するコミュニケーションチャネルの違い
コンタクトセンターは、電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と会社をつなげています。
コンタクトセンターでは、顧客の満足度につなげるために、対応の迅速さと正確さをいかにして実現するのかという点が課題となります。また、コンタクトセンターが獲得した大量の情報は、今後の企画開発やサービス向上のためのマーケティングなどに活用できることから、得た情報を速やかにデータベース化できるシステムについても重要視されています。
具体的なシステムとしては、電話番号とすでに顧客管理システムのCRMに記録されている顧客情報を紐づけし、オペレーターの端末に表示する「CTI(Computer Telephony Integration)」などが導入されています。
CTIの活用により、オペレーターは潜在顧客や見込み客などのカスタマーステージや、過去の通信でのアクション履歴を把握しながら、迅速かつ最適なサービスの提供が可能です。
カスタマーサポートプラットフォームとコールセンターシステムの連携も、迅速かつ正確な顧客管理の鍵といえます。カスタマーサービスプラットフォームは、電話・メール・チャットなどの多様なコミュニケーションチャネルを統合し、コールセンターシステムとの連携により最適化された顧客管理を実現します。
コストセンターかプロフィットセンターか
顧客と直接会うことなく、通信手段を用いてコミュニケーションを実現するコンタクトセンターは、CRMを実装することで、戦略次第ではコストセンターではなくプロフィットセンターと捉えることが可能です。
ちなみにコストセンターとは、収益が集計されない部門のことです。総務や経理などが該当し、いかに経費を削減して効率的な業務を行うかが求められます。
一方、プロフィットセンターとは業務が利益を生み出す部門のことです。営業や販売などの部門がこれに当たります。
コールセンターは、長らくコストセンター的な立ち位置でした。しかし、コンタクトセンターへと進化していく中で、有益な顧客情報の集積や、見込み客に購買を促すことによる固定客の獲得などが可能となり、プロフィットセンターとしての位置づけもできるようになりました。
コンタクトセンター以外の呼び名
コールセンターとコンタクトセンターには上述のような違いがありますが、企業によっては電話業務のみでもコンタクトセンターと呼び、電話以外のチャネルを使用していてもコールセンターと呼ぶ場合もあります。
また、通信を使用して顧客窓口対応を専門に行う部署の名称としては、コンタクトセンターやコールセンター以外にもいくつかあります。たとえば、サポートセンターやカスタマーセンター、お客様対応窓口などです。
企業によって呼び名や業務内容は異なりますが、いずれにしても顧客とのコミュニケーションを行う最前線の部署であることに変わりはありません。
コンタクトセンターやコールセンターの仕事内容
コンタクトセンターやコールセンターの仕事は、主に顧客対応です。商品・サービスに関する問い合わせや相談に応じたり、ヒアリングした内容をシステムへ入力したり、といった業務を担います。
双方の仕事内容にそれほど大きな違いはありません。違いはコミュニケーションのチャネルです。電話対応に特化したコールセンターと違い、コンタクトセンターはFAXやメール、チャット、公式サイトの問い合わせフォーム、SNSなど多彩なチャネルからのコンタクトに対応します。
技術的な質問を受け付けるケースも少なくありません。たとえば、PCの接続や設定方法などが該当します。また、受信業務だけでなく、オペレーターが顧客へ連絡し、商品やサービスを案内する、契約に関する情報を伝えるなどの発信業務もあります。
コンタクトセンターやコールセンターで働く魅力
時給の高さや自由度の高い働き方の実現などが、大きな魅力としてよく語られます。勤務地や働く会社によるものの、中には時給1,500円以上を設定しているところもあります。
また、待遇や条件面以外に多くの魅力があるのも、コンタクトセンターなどで働くメリットです。日常的にさまざまな顧客に対応するため、臨機応変かつ柔軟に対応できるスキルが身につくほか、ビジネスマナーも習得できます。
仕事はマニュアル化されているためスムーズに覚えられ、研修が充実している会社であれば短期間での即戦力化も可能です。立ち仕事ではないため足が疲れにくい、コミュニケーションスキルがアップする、未経験でも働けるなども魅力的なポイントです。
マナーやスキルが身につく
コールセンターやコンタクトセンターには、日常的に多くの顧客がコンタクトを取ってきます。技術的な質問への回答やクレーム対応など、さまざまな問い合わせに対応しなくてはならないため、臨機応変かつ柔軟な対応力が身につきます。
また、PCスキルの向上を図れるのも魅力です。日々の業務ではPCを使用するため、タイピングスピードや各種アプリケーションを扱う能力の向上、ショートカットに関する知識の習得などが可能です。
さらに、業務を通じてビジネスマナーも身につきます。現場へ配置される前に研修が実施されるケースも多く、基本的なビジネスマナーを習得したうえで、業務を介してブラッシュアップしていけます。
マニュアル化されていることが多い
多くのコンタクトセンターやコールセンターでは、業務の標準化や効率化を図るために、作業の内容や流れ、注意点などがマニュアル化されています。そのため、実際の業務も整備されたマニュアルにしたがって取り組めば問題ありません。
電話対応の方法についても、ガイドラインが設定されているケースが多く見受けられます。そのため、自身で会話内容の構成などを考えずに済み、ガイドラインに沿って取り組めば業務を遂行できます。
より実践的なトレーニングが可能なロールプレイング研修や、OJTなどを導入している企業も少なくありません。このような企業であれば、事前にしっかりと準備をしたうえで、オペレーターとしての仕事を開始できます。
コミュニケーション力が上がる
初対面の人とのコミュニケーションも求められる仕事であるため、必然的にコミュニケーション力が向上します。お客様の話をきちんと聞き取り、何を求めているのかを理解したうえで言語化しなくてはならず、自然と思考力やコミュニケーション力が高まる点が魅力です。
このような理由から、「オペレーターに興味はあるものの、会話が苦手なので難しい」「臨機応変な対応ができない」といった人にもおすすめの職業です。日常の業務を遂行する中で自然とコミュニケーション力が鍛えられるため、自身の弱点を克服できます。
未経験でも働ける
オペレーターを募集している企業の多くが、未経験の人も対象としています。実際に求人サイトや求人情報誌に目を通すと、「未経験OK」とアピールしている案件がいくつも見つかります。
未経験でも働ける理由は、特別な資格や免許、スキルなどが不要であるためです。もちろん、企業の窓口として顧客対応を担う職業であるため、ビジネスマナーやコミュニケーション力は求められるものの、これらのスキルは働き始めてから習得できます。
業務マニュアルを完備し、なおかつロールプレイング研修やOJTなど研修を充実させている企業もあるので、このような職場であれば未経験でも問題ありません。まったくの異業種で働いていた人や、これまで経験のない新たな職業にチャレンジしてみたい人におすすめの仕事です。
座って働くことができる
オペレーターの業務は基本、座った状態で行います。椅子に座った状態で、PCの操作や電話対応などを行うため、長時間の勤務でも過度な疲労の蓄積を回避できます。
このような理由から、オペレーターの仕事は体力に自信がない人にもおすすめです。立ち仕事はどうしても体力を要するため、体力に自信がない人や高齢者、足腰を怪我しているような人には向いていません。一方、オペレーターであれば、そのような人たちでも問題なく働けます。
とはいえ、体力の消耗は激しくないものの、PCの画面を長時間見続けることもあるため、目が疲れてしまうかもしれません。心配な人はこまめに目をマッサージする、目薬を点すといった方法で対処しましょう。
コンタクトセンターやコールセンターで働く難点
オペレーターとして働く難点として、覚えることの多さが挙げられます。企業の窓口として機能するオペレーターは、正しい敬語の使い方やビジネスマナー、PCの操作方法など、さまざまなことを覚えなくてはなりません。
十分な研修期間を設けているケースでも、研修の内容を覚えられないといった声はよく耳にします。また、オペレーターは座ったまま働けるため、著しく体力を削られる心配はありませんが、「座りっぱなしゆえにしんどい」という声も少なくありません。
このように、オペレーターとして働く難点はいくつか挙げられ、中でも「クレーム対応が不安」と考える人が多い傾向にあります。
クレーム対応がある
コールセンターやコンタクトセンターのオペレーターが担う業務のひとつとして、クレーム対応が挙げられます。クレーム対応は、ときに理不尽な怒りをぶつけられることがあるほか、オペレーターの人格否定につながるような罵詈雑言を浴びせられることも考えられるため、そこに不安を抱くのは不思議ではありません。
ただ、クレーム対応の頻度がどの程度なのかは、企業によって大きく異なります。場合によっては、クレームがほとんど入らないケースも考えられるため、心配な人は前もって確認しておくと安心です。
また、クレーム対応は心理的負荷を抱えやすい業務ですが、見方を変えれば自身が成長するチャンスでもあります。クレームにしっかりと対応することでコミュニケーション力が鍛えられるため、前向きに考え落ち着いて臨みましょう。
なお、クレーム対応は1人で抱え込む必要はありません。自分で対応が難しいのなら、先輩やSVに代わってもらうとよいでしょう。
コンタクトセンターやコールセンターで働くには
特別なスキルや資格は不要であるため、未経験でもチャレンジしやすい仕事です。マニュアルを完備し、研修を充実させている企業も多く、未経験でもスムーズにスキルを習得できます。
まずは、求人サイトなどでオペレーターの求人案件をチェックし、気になる案件へ応募してみましょう。採用面接では、他人とのコミュニケーションに前向きな姿勢を見せることが大切です。
なお、必須ではないものの、就職や転職に有効と考えられる資格はあります。たとえば、「コンタクトセンター検定」です。オペレーターとしての知識や実務レベルを測る試験であり、取得しておくと就職や転職が有利になる可能性があります。
オペレーターは、会話の中で顧客のニーズや悩みを抽出しなくてはなりません。そのため、丁寧かつ積極的なコミュニケーションが求められます。採用面接でも、そのあたりを意識したアピールを行いましょう。
コンタクトセンターが必要とされる理由
なぜ今コンタクトセンターが必要とされているのでしょうか。その理由を2つ紹介します。
- 変化する顧客の価値観へ対応
- 顧客とのコミュニケーション手段の多様化
変化する顧客の価値観へ対応
商品やサービスを購入する際に、顧客が満足する価値観が変化していることが1つ目の理由です。
従来は、「製品・サービスそのものに価値を見いだし購入すること」に顧客は喜びを感じているとされてきました。しかし、現在ではそれに加えて、「企業とのコミュニケーション」「付随するサポート」といった購入プロセスや、購入後の顧客体験も重視されるようになっています。
顧客の考え方の変化から、一人ひとりへの万全なサポート体制が顧客満足度を向上させる鍵となっています。そのため、「手軽に連絡できる」「スピーディーで丁寧な対応ができる」などの、コンタクトセンターの需要が高まっているのです。
顧客とのコミュニケーション手段の多様化
顧客とのコミュニケーションチャネルの多様化が、2つ目の理由です。
従来のコールセンターでは、電話によるコミュニケーションが一般的でした。しかし、現在はIT技術の進歩によって企業・顧客間のコミュニケーション手段が多様化しており、電話のほかにチャットやメッセージアプリ、公式スマホサイトや公式SNSなど、さまざまなチャネルが利用されています。
実際、LINEや企業のアプリなどを使って問い合わせをしたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
このような背景から、多様化するコミュニケーション手段を一元管理する必要性が高まり、コンタクトセンターの導入が注目されています。
コンタクトセンターの業務内容
コンタクトセンターの業務内容は多岐にわたります。その中から、コンタクトセンターの主な業務内容を5つ紹介します。
- インバウンドセールス
- アウトバウンドセールス
- カスタマーサポート
- クレーム対応
- フィールドサービス
インバウンドセールス
インターネット上に出稿した広告や、独自に運用するWebサイトを通じて問い合わせてきた見込み顧客に対し、製品やサービスを紹介したり、課題に応じたソリューションを提案したりする営業活動です。商品やサービスの問い合わせに対する受電対応も、インバウンドセールスのひとつです。
アウトバウンドセールス
自社から能動的に見込み客へアクションし、商品やサービスを販売するための営業活動のことです。コンタクト担当者は企業担当者とコミュニケーションを重ね、話が進む場合は営業案件として営業部門に引き渡します。
カスタマーサポート
カスタマーサポートとは、製品やサービスに関する問い合わせを受けたり、アフターサポートを提供したりするための顧客対応のことです。インターネットを通じてリモート操作で問題を解決するなど、製品やサービスに関する知識とスキルが必要です。
クレーム対応
顧客が抱える製品・サービスに対する不満や、発生したトラブルなどに対応する業務です。単なる御用聞きになるのではなく、クレーム対応は顧客満足度向上のチャンスと考え、さまざまな提案をすることが利益を生み出すコンタクトセンターになるためのポイントです。
フィールドサービス
生産機械や設備などを製造販売するメーカー企業が、定期的なメンテナンスを実施したり、トラブル解決といったサービスを提供したりする業務です。顧客からトラブルの連絡を受けた際は、非対面のコミュニケーションでも顧客が抱える悩みや疑問をしっかりと引き出し、初回対応でトラブルを解決するためのスキルが必要です。
コンタクトセンターが担う役割
コンタクトセンターは、企業と顧客が直接コミュニケーションを取れる重要な窓口です。ここでは、コンタクトセンターが担う3つの役割について詳しく紹介します。
- 顧客との良好な関係構築
- 多様なチャネルでの高品質な対応
- 顧客の声を社内に伝える
顧客との良好な関係構築
コンタクトセンターは、顧客との良好な関係を構築する役割を担っています。
顧客は、商品やサービスそのものに対してだけでなく、企業とのコミュニケーションや応対の質などで、企業を選ぶことが多くなりました。そのため、コンタクトセンターは顧客と直接コミュニケーションを取る窓口として、顧客満足度を向上させることが重要です。
顧客満足度を向上させる方法としては、「多様なチャネルへの対応」のような仕組みづくりや、「スピーディーな問題解決」「的確な提案」といった応対品質の向上などが挙げられます。
コンタクトセンターは顧客との良好な関係を構築し、企業イメージを高める役目として、今後さらに重要性を増してくるでしょう。
多様なチャネルでの高品質な対応
コンタクトセンターでは、多様なチャネルごとに合わせた高品質な対応をすることが求められます。
たとえば、電話で問い合わせを行う顧客とSNSで問い合わせを行う顧客とでは、顧客ごとの特性も異なり、内容の緊急度も異なるでしょう。そのため、どのチャネルでも同じような対応を行っていては、顧客に対してストレスを与えてしまう可能性があります。
コンタクトセンターでは、チャネルごとの顧客の特徴や心理を理解し、それぞれ臨機応変に対応していくことが求められます。
顧客の声を社内に伝える
顧客の声を社内に伝えることも、コンタクトセンターの重要な役割です。顧客の声を直接聞けるコンタクトセンターだからこそ、他部門へダイレクトに顧客からの声を共有できます。
コンタクトセンターには、製品やサービスに関する問い合わせや意見・感想などが日々寄せられます。それらを開発部門やマーケティング部門に伝え、より顧客が満足できる製品・サービスの開発に活かすことで、「顧客満足度向上」「企業のブランド力アップ」につなげられます。
関連記事:顧客満足度(CS)とは? 向上させる具体的な方法と指標を紹介
コンタクトセンターに導入できるシステム
従来のコールセンターのように、オペレーターが顧客と1対1で対応する場合、オペレーターの品質によって案内や内容が異なる場合があります。場合によっては、顧客満足度を下げてしまうリスクもあります。
質の高い顧客対応を実現するために、コンタクトセンターへ導入できるシステムがあります。応対レベルを上げられるもの、効率化につながるものなど6つを紹介します。
- チャットボット
- 通話録音記録装置
- CRM
- CTI
- ACD
- IVR
チャットボット
チャットボットとは、「チャット」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、顧客と対話できるロボットのことをいいます。
チャットボットを導入することで、応対レベルの向上や業務効率化につなげられます。
チャットボットは問い合わせ内容に応じて、有人応対が必要なのか、ロボットによる対応で済むのかを自動的に振り分けてくれます。簡単な問い合わせ内容やよくある内容についてはプログラム化されており、チャットボットが正しく問題解決してくれます。
また、チャットボットは24時間稼働できるため、人手不足を補うことも可能です。
通話録音記録装置
通話録音記録装置は、顧客とオペレーターの通話を録音できる機械のことをいいます。
通話録音記録装置を導入することで、トラブル発生時の確認や、サービスの改善・向上への取り組みができます。
万が一、コンタクトセンターの案内で顧客とトラブルになった際も、通話内容を確認し、顧客への適切な対応が可能になります。また、誤った案内があれば改善し、よい応対は組織にナレッジすることで、コンタクトセンター全体の品質向上につなげられます。
CRM
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客管理システムのことをいいます。
CRMを導入することで顧客管理が容易になり、品質の向上や業務効率化につなげられます。
CRMでは顧客情報や購入履歴、お問い合わせ内容などの顧客データを保管しておくことが可能です。そのため、オペレーターの顧客理解が深まり、適切な対応が実現できます。
関連記事:コールセンターに必須のCRMとは?その目的と活用例
CTI
CTIとは「Computer Telephony Integration」の略で、コンピューターと電話を連携させるシステムのことをいいます。
CTIはCRMと連携しており、入電の際、瞬時にコンピューターに顧客情報を反映させることが可能です。
オペレーターは顧客情報を見ながら対応できるため、確認時間を省き、顧客にパーソナライズした対応ができます。これにより、応対品質の向上につながります。
ACD
ACDとは「Automatic Call Distribution」の略であり、日本語では「着信呼自動分配装置」と訳されます。コールセンターの効率的な運用を目指したアメリカの企業によって開発されました。ACDを導入し、あらかじめ設定をしておけば、着信の優先度に応じて振り分けを行えます。
ACDを導入してできることとして、待ち呼ガイダンスの再生が挙げられます。回線が混雑しているときなど、電話がつながりにくい場合に「大変お待たせしてしまい申し訳ございません。ただいま回線が込み合っています」といったガイダンスを流す機能です。
そのほか、オペレーターの稼働状況に合わせて着信を振り分ける待ち時間順着信設定や、オペレーターのスキルに応じた振り分けを行う機能もあります。
ACDを導入すれば、顧客の待ち時間を短縮できるため、顧客満足度の向上に有効です。また、すべてのオペレーターへ均等に着信を振り分けられるため、特定のオペレーターへ負担が集中するのを回避でき、不平や不満の解消にもつながります。
IVR
IVRとは「Interactive Voice Response」の略であり、日本語では「自動音声応答システム」を意味します。着信に対してコンピューターが自動応答し、用件に応じてオペレーターへ割り振りを行います。
企業の問い合わせ窓口などへ電話した際、「商品に関する相談は“1”を、契約関係の問い合わせは“2”を押してください」といったガイダンスが流れることがあります。こうしたガイダンスを再生し、顧客にアクションを促すのがIVRの役割です。
IVRを導入すれば、24時間365日の顧客対応が実現します。また、顧客の目的や用件に合わせて最適なオペレーターへとつなげるため、顧客満足度の向上も期待できます。寄せられる頻度が高い質問に対し、あらかじめ回答となるメッセージを作成しておけば、それを自動再生することで業務効率化が可能です。
このように、コンタクトセンターへのIVR導入によって、顧客満足度の向上や業務効率化を実現できるほか、省人化につながりコストダウンも期待できます。
なお、IVRにはオンプレミスやクラウド、ビジュアル型などの種類があり、導入や運用のしやすさ、コストなどがそれぞれ異なります。
関連記事:IVR(自動音声応答システム)とは? 仕組みやメリット
コンタクトセンターの運用で重要なポイント
コンタクトセンターを構築・運用する場合は、失敗しないよう事前に大切なポイントを把握しておきましょう。コンタクトセンター運用を成功させるには、業務効率化への取り組みと複数チャネルへの対応、オペレーター教育、顧客ニーズへの柔軟な対応が必要です。
業務の効率化に取り組む
複数のチャネルを用いて顧客対応を行うコンタクトセンターの仕事は、激務となるケースも珍しくありません。日常的に数多く寄せられるクレームや相談に対応しなくてはならず、オペレーターへの負担増加や生産性・顧客満足度の低下につながるおそれもあります。
激務に耐えかね、オペレーターが離職してしまうリスクも念頭に置いておきましょう。あまりにも激務が続くと、心身が疲弊し、離職を考えるオペレーターも出てきます。すぐに新たな人材を確保できればよいものの、できなければ残されたオペレーターに負担が集中し、また離職を招くという悪循環に陥ります。
このような状況を回避すべく、現場の業務効率化に取り組みましょう。効率的に業務を遂行できる環境や体制が整えば、少ない人員で効率よく仕事を進められ、生産性も高まります。特定のオペレーターへ負担が集中する事態も回避でき、離職リスクの低減につながります。
業務効率化の方法としては、先述したCRMの活用が挙げられます。CRMで管理している顧客情報を、コンタクトセンターがスピーディーに閲覧できるようにすれば、問い合わせをしてきている個々の顧客へ最適な応答ができます。そのほか、FAQを充実させる、AIなど最先端の技術を活かしたツールを導入する、といった取り組みも業務効率化に有効です。
複数のチャネルに対応する
コンタクトセンターとして稼働するには、複数チャネルに対応できる体制が必要です。電話だけでなく、メールやチャット、公式サイトからのメッセージ、SNSなど、自社が運用しているすべての接点からの問い合わせに対応できる環境と体制を整えましょう。
マルチチャネルへの対応によって、より多くの顧客ニーズを満たせます。「電話が苦手なのでメールで相談したい」「チャットでスピーディーなやり取りをしたい」といったニーズも満たせるため、顧客満足度の向上や企業イメージのアップにつながります。
ただ、複数チャネルに対応するとなれば、業務が煩雑化しやすく、対応漏れや二重対応などのミスが生じやすくなるため注意が必要です。このようなリスクを避けるために、各チャネルの問い合わせや顧客情報を一元的に管理・共有できるシステムの構築が求められます。
オペレーターの育成を徹底する
オペレーターの育成に注力すれば、応対品質の向上につながります。企業と顧客をつなぐコンタクトセンターのオペレーターは、言わば企業の顔です。応対品質がよくないと、それだけで顧客にネガティブなイメージを与えかねず、ひいては企業イメージそのものが低下しかねません。
反対に、オペレーター教育を徹底し応対品質の向上に努めれば、企業イメージがアップし、顧客のファン化やリピーター化につながる可能性があります。また、教育によってオペレーターが手際よく業務を遂行できるようになれば、少ない人員で現場を回せるようになり、リソース不足解消にもつながります。
オペレーターの育成に注力するのであれば、研修を充実させましょう。研修を実施するだけのリソースが自社に足りないのなら、外部の研修サービスを利用するのもひとつの手です。
育成を徹底すると同時に、離職率を下げるための取り組みも進めましょう。貴重な戦力として育てたオペレーターが離職してしまっては大きな痛手です。快適に働ける職場づくりの推進や待遇の見直しなどを進め、オペレーターの離職率低下に努めましょう。
多様な顧客ニーズに柔軟に対応する
コンタクトセンターは、顧客からの問い合わせにただ対応するだけの部署ではありません。コンタクトセンターの目的は、顧客が抱くさまざまなニーズに応え、顧客満足度や顧客ロイヤルティを高めることです。
顧客満足度や顧客ロイヤルティを高めるには、多様な顧客ニーズへの柔軟な対応が求められます。顧客のニーズは時代とともに変化しており、要求もより高度になってきています。多様化する顧客ニーズに対応するには、従来のやり方に囚われることなく、状況に応じて柔軟に対応しなくてはなりません。
今後も顧客ニーズの変遷を注視し続け、最適な対応を行えるよう努めましょう。コンタクトセンターの拡張性を高め、柔軟な対応が可能な環境・体制づくりを進めることが重要です。
これからはコンタクトセンターをプロフィットセンターに
コンタクトセンターは、従来では顧客の問い合わせ対応が主でしたが、今後は利益を生み出すプロフィットセンターとして運用する企業が増えていくと考えられます。プロフィットとは「利益」という意味で、利益を生み出す部門として「プロフィットセンター」という言葉が使われています。コンタクトセンターが利益を生み出す方法としては、以下のようなものがあります。
- 応対スキルを上げ企業ファンを増やす
- 購買につなげるために、能動的に顧客への提案を行う
- 顧客の声をマーケティングや商品開発に反映する
- システム導入で業務効率化を図る
顧客獲得機能としての役割が強く求められるため、顧客満足度に貢献し、企業のファンとなってもらう役目を果たすことが重要です。顧客のニーズを掴み的確な提案ができれば、顧客満足度への貢献はもちろん商品購入にもつながり、直接的に売上の向上が期待できます。
コンタクトセンターですくい上げた顧客の声は、積極的に社内に共有しましょう。顧客の声を活かした商品やサービスが提供できれば、さらなる企業のブランド力アップが目指せます。
また、多くのオペレーターがミスを犯しにくく、スピーディーな情報取得や端末への入力ができるようなシステムの構築も必要です。CRMやCTIの導入によって、オペレーターの負荷低減や業務効率化、ひいては応対品質の向上につながります。
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まとめ
電話のみを使用してきたコールセンターに対し、メールやチャットなど多くのチャネルを統合して、顧客とのコミュニケーションを担うのがコンタクトセンターです。活用次第では利益を生むプロフィットセンターとして運用もできるため、さらなる顧客の獲得も望めるでしょう。
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