多くの企業では、顧客からの質問や問い合わせなどを受けるために、社内にコンタクトセンターを設置しています。このような顧客との接点となる専門部署の効率的な運営を助けるものとして、おすすめなのがFAQサイトです。
本記事では、FAQサイトの概要や、FAQサイトを作成するメリット・デメリットなどについて解説します。また、顧客が抱える問題の解決率が高まるFAQサイトの作り方もお伝えします。
FAQサイトとは?
FAQサイトとは、よくある質問や相談事について、それらの回答をまとめたWebサイトのことです。FAQとは「Frequently Asked Questions」を略したもので、日本語に訳すと「頻繁に質問されること」という意味になります。
FAQが使われるようになったのは、1980年代のことで、その頃は、使用方法が複雑な製品のマニュアル冊子にFAQが掲載されていました。それから時が経ち、インターネットが普及し、デジタル技術が発展した今では、FAQをWebサイトに載せることが主流となりました。
FAQサイトは、企業の公式Webサイトに設置するのが一般的です。商品について何らかの疑問が生じた顧客の多くは、FAQサイトを閲覧するでしょう。そして、FAQサイトを見ても問題が解決できない場合に、顧客はコンタクトセンターへ問い合わせるという流れになります。
FAQサイトを構築するメリット・デメリット
商品の購入を検討している段階や商品購入後に疑問が出てきた場合に、顧客はFAQをチェックすることが多くあります。それではFAQサイトの構築には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。導入するにあたって双方を確認しておきましょう。
FAQサイトを構築するメリット
FAQサイトを作成する主なメリットとしては、顧客満足度の向上や業務の効率化、コストの削減、改善ポイントの把握などが挙げられます。まず、顧客満足度の向上についてですが、解決率が高いFAQページを作成することで、顧客の多くが持つ悩みをいつでも解決できるようになり、結果的に満足度の向上につながります。
次に、業務の効率化についてですが、FAQページで問題が解決された分、コンタクトセンターへの問い合わせ数が減少し、効率よく業務が行えるようになると考えられます。そして、業務が効率化されると、コストの削減が見込めるでしょう。問い合わせ数が少なくなれば、受けた問い合わせへの対応が、それだけスピーディーにできることになります。例えば、電話による問い合わせの場合には、オペレーターにつながるまでの時間が短縮できるでしょう。このような業務の効率化は、顧客満足度の向上にもつながることが期待できます。
そして、改善ポイントの把握については、アクセス解析を行うことにより、FAQサイトの訪問者が、どのページにアクセスしているのかがわかります。そして、問い合わせの内容に変化があったり、社員が気づかなかった顧客の声があったりすれば、新たなニーズを発見できるかもしれせん。さらに、アンケートをサイト内に設置して、解決されたかどうかを調査すれば、FAQサイトの改善にもつなげられます。
FAQサイトを構築するデメリット
FAQサイトを作成する主なデメリットとしては、定期的なアップデートの必要性やコストの発生、知識の必要性などが挙げられます。まず、FAQサイトを構築すると、定期的なアップデートが必要になります。FAQを活用して顧客満足度の向上を狙うなら、顧客の反応を確認しながら、内容を改善し続けなければなりません。
次に、コストの発生ですが、FAQサイトを構築するためにFAQシステムを導入しようとすると、それ相応のコストがかかります。システムの導入には、初期費用とランニングコストが必要で、場合によってはオプション費用もかかります。
また、FAQサイトを構築・運営するには、高度な知識が必要です。FAQシステムを選ぶ際には、社内の既存システムと連携できるか、外国語に対応できるかなどの重要なポイントがあります。そして導入したからといって簡単に活用できるわけではなく、どのような質問や問い合わせが頻出しているのかという情報の蓄積や、回答を誰にでもわかりやすく伝えられる言語化能力なども必要です。
FAQサイト構築の課題
FAQサイトを作る際に出てくる主な課題としては、FAQの素材がない、FAQサイトの制作担当部署とコンタクトセンターとの連携ができていないなどがあげられます。
まず、FAQの素材がないという課題は、FAQサイトをはじめて導入する場合に起こりがちです。その際には、コンタクトセンターで過去に問い合わせを受けた質問をまとめて整理し、それにひとつひとつ回答をつけていくことで、素材を作り出します。コンタクトセンターを立ち上げたばかりで問い合わせデータが集まっていない場合には、他社のサイトを参考にして、自分たちならどのような問い合わせがくるか予想してみるのもよいでしょう。
また、FAQサイトの制作担当部署とコンタクトセンターとの連携ができていないという課題は、せっかく作ったFAQサイトに顧客の声が反映されず、顧客満足度が思うように上がらないという結果につながってしまいます。この課題は、サイトの制作を担当部署任せにせず、コンタクトセンターが積極的に関わっていくことで解決できるでしょう。
解決率の高いFAQサイトを作るコツ
コンタクトセンターへの問い合わせ件数を大幅に減らして、顧客満足度の向上につながる、解決率が高いFAQサイトを作るには、どうすればよいのでしょうか。解決率が高いFAQサイトを作るコツとしては、「コンタクトセンターのデータを活用」「情報の更新」「チャットボットの導入」という3つが挙げられます。
コンタクトセンターのデータを活用
まず、押さえておきたいコツは、コンタクトセンターのデータを活用して、的確な質問と回答の作成を行うことです。訪問者に読んでもらえるニーズの高い質問を準備し、それらに対する的確な回答を用意するには、コンタクトセンターに蓄積されたデータを活用するのが効果的でしょう。問い合わせに対してどのように回答したら、問題を解決できたのかといったコンタクトセンター独自のノウハウは、解決率が高いFAQサイトの作成に大いに役立ちます。
情報を適切に更新
FAQサイトの情報を適切に更新することも、解決率が高いFAQサイトを作るためには重要です。自社で取り扱う商品やサービス、システムなどに何か変更があれば、生じた問題を解決する方法も変わります。現状と合わない古い情報が残っていると、問題解決の妨げになると同時に、顧客が検索をかけたときに、知りたい情報にたどり着きにくくなります。
FAQページにアンケートを設置して、閲覧者に「問題は解決しましたか?」などと質問を投げかけることで、効率的に解決率を調べることが可能です。そして、解決率が低いFAQについては、随時改善が望まれます。
チャットボットを導入
解決率が高いFAQサイトを作るコツとして、効果を最大限に引き出すチャットボットの導入も重要です。チャットボットを利用すると、解決策を探している顧客が言語化しにくい問題を抱えている場合や、なかなか目的の回答にたどり着けない場合にガイドをしてくれます。チャットボットの質問に対して閲覧者がキーワードを打ち込んだり、チャットボットが提示した選択肢を選んだりすることによって、適切なFAQに誘導される可能性が高まるでしょう。
まとめ
顧客が抱える問題に真摯に向き合い、問題解決率が高いFAQサイトを作成できれば、コンタクトセンターへの問い合わせ件数を減らして、顧客満足度を高められるでしょう。そのようなFAQサイトを作るコツとしては、「コンタクトセンターのデータを活用した的確な質問と回答の作成」「情報の適切な更新」「チャットボットの導入」の3つが重要です。これらのポイントに配慮し、効果的なFAQの導入を目指してください。
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