前回のブログ「コンタクトセンターにおける電話回線と付加サービスの基礎知識」にて、電話回線を選定する際に呼量やコスト、エンドユーザへの利便性等を考慮した上で選定していくことを推奨しました。必要回線数とは、どうやって算出していくのかと思った方も多いと思いますので、どのように呼量を出し、必要回線数を算出するのかご紹介します。
なぜ必要回線数を算出するのか
数年前、1500席規模のコールセンターシステムのリプレイスPJにおいて、要件定義時に現在契約している回線数が適正なのか検討することを提案しました。この提案を受け入れて頂き、調査したところ契約回線数の総数は、約500ch以上に上りました。既存のコールセンターのレポート等を基に必要回線数を算出したところ350ch程度で足り事が分かり、結果として大きなコストダウンに貢献し、お客様に感謝されたことがあります。
長年の間、コールセンターの拡大、業務の拡大ごとに都度回線数を増やしていっていることが多いと思いますが、都度全体として回線数が適正かどうか精査されているところは、意外に少ないかもしれません。その結果、契約回線数が不必要に多くなり、無駄なコストが発生していることに気づいていないところも多い可能性があると思います。
今、読まれている方で、自分のところはどうなんだろうと思われた方は、事項より必要回線数の算出方法について説明致しますので、是非、この算出方法を用いて試算して頂き、契約回線数の見直しに役立てて頂ければと思います。
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呼量と呼損率とは
電話回線数を見積もるときに,「呼量(こりょう)」や「呼損率(こそんりつ)」という言葉が出てきます。
「呼(こ)」とは、電話が繋がってから切るまでの1回の通話を指し、「呼量」とはその呼の合計利用時間を単位時間で割ったもので,アーランという単位で表されます。
例えば、1時間(3600秒)の間に平均10回の通話がされ、その通話の平均保留時間(※1)が5分間(300秒)だったというとき、呼量は「0.8333アーラン」であると分かります。
つまり、「呼量」は以下の計算式から導くことができます。
※1・・・回線を占有している時間のことを指します。
「呼損率」は,「呼」が発生したときに電話回線に空きがなく電話の接続が拒否され接続されなかった率を表したものです。
例えば,10回電話をかけて1回つながらない場合の呼損率は0.1ということになります。100回電話をかけて3回つながらない場合の呼損率は0.03ということになります。
家庭電話では、1つの電話回線に対して1つの電話機が使用されるので、電話の発着信は必ず行われます。しかし、企業やコールセンターでは、1つの電話回線に対してPBXを介して複数の電話機で共有することが一般的です。そのため、電話回線が混み合っている場合には発着信ができない電話機が発生してしまいます。
例えば、電話を5chの回線契約していて電話機が10台ある企業の場合、5台の電話機を同時に使用していれば残り5台の電話機では発着信することができません。常に同時通話できるよう10chの電話回線を契約すればいいですが、電話回線の月額コストが高くなってしまいます。そこで「呼損率」をもとにして適正な回線数を算出していく必要があります。
想定呼量を算出してみよう
まずは、「呼量」を求めてみましょう。
現在、PBXを利用されていれば、PBXレポートから単位時間当たりの最繁時の通話数を確認することが可能かと思います。今回は、1時間あたりの最繁時呼数を50としてみます。
ここで、現在の最繁時の個数が、数か月後、1年後に呼数が多くなることが想定されているのであれば、その伸び率を考慮します。仮に半年後に20%呼数が伸びると想定した場合、想定呼数は、60(=50×1.2)となります。
次に平均保留時間をPBXのレポートなどを確認して、平均通話時間と平均通話保留時間を足し合わせた時間とみなし、算出してみましょう。
例えば、平均通話時間が300秒、平均通話保留時間が30秒とした場合、平均保留時間は、330秒となります。ここでも平均通話時間、平均通話保留時間が延びる想定があれば、こちらについても考慮した方がよいです。仮に半年後に平均通話時間が10%延びる想定とした場合、平均保留時間は、360秒となります。
上記想定した想定呼数、想定へ平均保留時間をもとに「1.呼量と呼損率とは」での式に当てはめて呼量を計算すると想定呼量は、6アーランとなります。
必要回線数を求めてみましょう
前項で算出した想定呼量より必要回線数を求めてみましょう。
「呼量」の単位である「アーラン」を使った「アーランB式」という下記のような計算式を使用することで、「呼量」、「呼損率」と電話回線数の関係を推測し、求めている「呼損率」に対する適切な電話回線数を算出することができます。
それでは、実際に前項で想定した想定呼量から、必要回線数を算出してみたいと思います。
B:呼損率=0.01
a:呼量=6アーラン
実際にアーランB式の計算を手計算することは難しいため回線数算出のツールやWebサイトなどで、呼量の計算を内部的にやっている便利なものありますので、その一つを使って計算しますと、
n:回線数=18
ということで、必要回線数は、18chとなります。
このようにWEBサイトなどを利用して簡単に計算できるので、今後の状況などを色々と予想して、想定呼量や呼損率などで回線数を割り出し必要回線数を決めていただくのがいいと思います。
まとめ
回線導入を検討する際の電話回線数を求められるとき、または、現状の回線数が適正化どうか調べたいときに、今回のブログを参考にして頂ければと思います。
また、その際に今後の呼量の伸び率や電話回線コストからどの程度の呼損率まで許容されるか等考慮した上で必要回線数を決定していくこと大切となってきます。
しかし、「アーラン」はあくまで予測するための式であり、算出した呼量が正しいのかを日々の入電状況より確認回線利用率を計測する必要があることを忘れてはいけません。
電話回線の導入について悩んでいる方は、導入時に電話回線のご相談も対応させて頂きます「BellCloud+®」の導入を検討してみてください。
次回のブログについては、必要エージェント数の算出方法についてご紹介する予定です。
この記事の推奨者
現在は、BellCloud+のサービス構築、お客様への提案、導入を行っている。
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