AIドリブンのすすめ 今やデータ分析は特別なことではない

 2023.06.21  2024.10.28

AIの存在はわたしたちの生活の中でも身近なものになってきました。しかし、ビジネスシーンにおいてAIを活用するには、特別なスキルが必要であるという概念にとらわれてはいないでしょうか。

今回は、2023年3月30日に開催しましたオンラインセミナー「AI民主化のミライがみえる オペレーション高度化を実現した予測分析のユースケースをご紹介」でのパネルディスカッションの続編として、ソニーネットワークコミュニケーションズの松原様とベルシステム24の安東が「AI活用を実践するためにはどのように意識を変えていくべきか」について後日対談をした内容をお届けします。

日本国内においても、AIの活用は概念実証から実践にフェーズがどんどん進みつつありますが、まだまだスケールしていかない、その根底にある課題は何なのかについて、独自の見解で語っています。

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なぜAIは急激に普及したのか

菊池:松原様にお伺いします。行政がChatGPTの導入実験を開始したり、日本でもAI活用を経営に組み入れる企業が増えていますが、概念実証から実践にフェーズが移り変わったきっかけは何だったのでしょうか。

kikuchi

松原様

松原様:ChatGPTのインパクトは絶大でしたね。AIに触れたことがない方でも実際にさわってこういうことができるんだ!これがAIなんだ!と、いままで以上にAIを身近に感じさせた出来事かと思います。

AIについては諸外国より出遅れていた感がありますが、政府主導でのAIの取り組みなどもようやくニュースで目にするようになり、企業の方やその現場の方にとってもAIを使いこなさなければならないという風潮が強まってきているのではないでしょうか。そういったことがひとつの転換期となり、日本でも加速度的に拡がっているのだと思います。

そういった形でAIを身近に感じるようになり、現場で働く方々が、自分の業務をより効率的に簡単にAIで解決したいと思うのは自然な流れかと思います。

そんな中、専門知識がなくても簡単に使えるツールのニーズが高まり、いわゆるノーコードAIが出現してきました。このようなことも急速に普及してきた要因のひとつと考えています。

実はPrediction Oneは、ソニーグループ内でもさまざまな場面で予測業務に使われてきました。グループ社内でも評判がよく、製品化しようという流れで2019年にリリースしました。

当時、ノーコードAIはまだ世の中に多くはなかったですが、年々さまざまなタイプのツールが登場し、市場の拡大を実感しています。また、製品だけではなく、利用者様側も、以前と比較してさまざまな業界や職種の方にご利用いただいておりますし、企業規模問わずご利用が増えてきていると感じます。

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ノーコードAIを使うとどうなるのか

菊池:続いて、安東さんにお伺いします。実際にノーコードAI(Prediction One)を使う前と使った後のご自身の変化について教えてください。

kikuchi

安東

安東:予測分析に関する専門知識は全くなかったところからPrediction Oneを使い始めました。今まではSQLを活用した集計による分析経験のみでした。

実は数年前に他のツールで予測分析を試してみたことがあったんですが、全く使い方がわからず断念したことがありました。

初めてPrediction Oneを操作した印象は、数クリックのガイドに沿った操作をするだけで簡単に分析結果を出すことができたため、画期的だと感じました。

Prediction Oneと出会ってから、予測分析の基礎知識を座学で学び、Prediction Oneを活用した予測分析業務サービスの開発を行いました。ノーコードと言っても、ある程度プログラミングの経験がないと使いこなせないものもあったりしますが、Prediction Oneはマウス操作のみで、コンタクトセンターの管理者と親和性が高いと感じています。現場にあるデータから管理者でもオペレーションの高度化に取り組めるためクライアント様への提供サービスのアップデートが行えると考えました。操作が簡単なため、目的に対してどんなデータを用意しなければならないかを考えるようになったと思います。

予測分析において専門知識よりも、「どのように分析して、何を導き出すのか」を考えることが非常に重要なことだとわかりました。

AIとデータ分析の関係

菊池:ではおふたりに質問です。日本企業においてAI活用やデータ分析は難しく特別な知識やスキルがないと取り組めないイメージが根強いと思いますが、そもそもAIとデータ分析の関係性をどう捉えていますか?

kikuchi

松原様

松原様:AIというと定義が広く様々な技術要素を含んでいますが、その中でもニューラルネットワークやその発展形の深層学習などの高度な機械学習技術が特に注目されています。研究自体は昔から行われてきていましたが、ここ数年で具体的な成果を誰でも目にするようになり「AIで何でもできる」というようなイメージが広まったと思います。

今までよりも格段に多くのパラメータを持つ複雑なネットワークを学習に用いることで、より複雑な課題に対応することができるようになりました。

大量のデータを取得できる環境がどんどん整ってきていること、またそれを処理できるだけの計算リソースがどんどん進化していることも重なって、急速にAIの利用が進みました。

データ分析をより精度よく、より迅速に、よりリッチなコンテンツを出せるようになったのです。リッチというのは、Yes か Noを予測するだけではなく、より細かい結果を出せるようになったということです。

難しいことは色々とありますがそれはさておき(笑)、誤解を恐れずわかりやすくいうと、これまで可視化などによる判断材料を提示することが中心だったデータ分析から、AIを使うことにより、より人の判断に近い、予測・分類・生成などを伴うデータ分析ができるようになってきました。

そうすると、データ分析の結果、次にくるのはこれ!と予測ができ、人はその予測に基づく行動がとれる、というようになります。それはより人に役立つ結果を出せるようになったということだと思います。

安東

安東:わたしはAIを使わないデータ分析とAIを使ったデータ分析のどちらも経験してきましたが、圧倒的な違いとして、前者は2軸程度の限られた変数での分析、後者は多くの変数を取り込んだ分析が行えるという点です。

これまで複数のデータを保有している一方で多角的な分析が出来ないという相談をいただくことがありました。コンタクトセンターの業務ではアップセル、クロスセルの観点でどんな商品をどなたへ案内すべきか知りたい、またはアウトバウンドの獲得見込みや接続見込みの高い顧客リストを抽出したい、というニーズがあります。AIを使わない場合、主にクロス分析でしか分析できないため、業務に適したデータ分析結果を提示することに限界がありました。そこでAIを活用することで、多種多量の説明変数を簡単に取り込め、精度の高い分析ができるようになったことが分析の高度化に繋がっていると考えています。

AI人材に求められるスキルや素養とは

菊池:これまでのお話しでAIを活用したデータ分析でできること、ノーコードにより活用するシーンや人材の幅がぐっと広がったことが分かりましたが、そのうえで分析業務に求められる最低限のスキルや素養はありますか?

kikuchi

松原様

松原様:ずばりデータに向き合うのが嫌いじゃないということです。具体的にいうと自社、自分の業務を深く理解して、それを適切にデータ化できること、つまり課題を解くためのデータ集めはどうしたらよいかを根気よく考えることができたり、また、集まったデータをもとに課題解決するにはどう仮説を立てたらよいかを考えたりすることが苦にならないような人。そのような方が向いていると思います。

それは特別なスキルかと言えば、必ずしもそうではないと思うんです。特別な機械学習の専門知識を持った人でもなく、いわゆる理数系が得意な方でもない、自社のこと、自身の業務やお客様のことをよく知っている人が向いていると思います。

つまり、自社のことをよく知っているからこそ仮説を立てることもできるのです。

そしてそういった方こそ、自ら集めたデータを見て、立てた仮説をベースにどんどん具体的にモデルを作成していってほしいと思います。

ノーコードAIツールなどを利用して、ライトに何度も仮説を試すことにより、AIに対する理解が深まり、よりよいデータの集め方ができるようになり、より良いAIモデルができ、また良いデータを集めることができるようになる。そのような良い循環が生まれます。
わたしはそれを「AI脳を磨く」とお話しています。個々人のAI脳を磨き、それを社内全体に循環させることが重要だと思っています。

だからこそ、誰でも使えるAIを社内の様々な方に使ってもらいたいんです。

決して座学、お勉強だけではそのスキルや素養は身につかないと思っています。

安東

安東:わたしも本当にそう思いますね。成果をあげるためには解決すべき課題は何なのかを正しく見極め、その原因を仮説立てしたうえで予測分析を行っていく必要があります。

そういった意味では業務をよく知っているコンタクトセンターの管理者はAIを活用したデータ分析で成果をあげられる可能性が高いと思っています。

逆に言えば精度の高い仮説を立てるためには、業務を深く知っておくことは必要不可欠だと思っています。
だからこそ、特別なスキルや素養を持った人しかできないという思い込みを捨てるべきだと。

しかし、実際にコンタクトセンターの現場でツールだけ渡されてもそれがすぐにできるようになるかと言えば正直難しいと思います。

仮説を立てましょうと言われてもすぐに仮説を立てることができないため、解決すべき課題を正しく見極め、必要なデータは何かという部分を伴走するコンサルティングの役割は重要になってくると思います。コンタクトセンターの管理者が持っている業務知見とコンサルティングが融合することで分析結果から導き出された的確な運用設計を行えることが弊社の強みと言えます。

これからデータ分析、データ活用を推進する方へ

菊池:では最後に、社内でデータ活用の推進を担っている方、これからAI人材を目指している方に一言お願いします。

kikuchi

松原様

松原様:なかなか導入が進まず悩んでいる方には是非、実際に現場の方々とABテストをして色んな比較をしてみてくださいとお伝えしたいです。現場の方が予測したものとPrediction OneのようなノーコードAIで予測したものを一緒に見比べていただきたいです。そうすると現場の方も自分たちがやっている予測とそんなに違わない、自分たちより早く予測ができることを実感いただけると思います。そういったコミュニケーションを取ることが導入を進めるためには重要です。

是非やってみてください。

安東

安東:わたしからはこれからAI活用を目指している方へ、プログラミングが必要という思い込みや難しいという考えは一度捨てていただきたいです。

ノーコードAIやコードを生成してくれるAIなどもあり、プログラミングの障壁はどんどん下がっています。新しい技術にチャレンジして、どう業務で活かしていくのか、何を簡略化して何を人でやらなければならないのかを見極め、仮設立てのための思考力を磨いていっていただくとAI活用ができる人材に近づけるのではないかと思います。

まとめ

今回はオンラインセミナー「AI民主化のミライがみえる オペレーション高度化を実現した予測分析のユースケースをご紹介」の続編として、AI活用について、データ分析を実践するためのポイントをお二人にお伺いしました。

自社で眠っているデータ、業務を熟知した人材を活かし、業務の効率化やお客様との関係性強化に取り組んでいくきっかけになればと思います。

Prediction Oneの詳細についてはこちら

執筆者紹介

菊池 寛子
菊池 寛子
新卒から10年以上ダイレクトマーケティング業界でフルフィルメント、通販事業の業務設計を担当し基幹システム・CRM構築などのPjtに参画。その後BPO業界に転身し、企業向けサービス、ソリューションの企画・開発を経験。現在はオウンドメディアでのデジタルマーケティングの運用を行っている。
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