顧客エンゲージメントとは?高めるメリット・方法を解説

 2022.06.02  2024.04.23

インターネットの普及により、昨今では顧客行動が複雑化し、競合他社との競争が激化しています。このようなビジネス環境において既存顧客を自社へ強固に繋ぎとめるためには、顧客エンゲージメント戦略の実施が必要です。そこで本記事では、顧客エンゲージメントとは何かという基本的なことから始め、その重要性、メリット、改善方法などを解説していきます。

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顧客エンゲージメントとは?

顧客エンゲージメントとは、一言でいうと企業と顧客との間の強固な結びつきのことです。エンゲージメントの高い顧客は、企業に強い信頼感や親しみ、愛着を覚え、その企業のファンとなってくれます。

顧客エンゲージメントは一見、顧客満足度と言い換えられそうにも思えますが、この両者は異なった概念です。というのも、顧客満足度とは基本的に、利用した商品・サービスに対する顧客の満足感を示す指標ですが、顧客エンゲージメントはそのような利用体験の有無には縛られないからです。

ひとつ事例を出すと、たとえば強いブランド力を持つ高級車のファンの中には、その車を一度も所有したことがない人も含まれることでしょう。しかし、そうした人でもそのブランドの情報をWebや雑誌で追ったり、ファン同士で盛り上がったり、実際にそのブランドの車を購入するために一生懸命貯金をしたりして、そのブランドへの強いエンゲージメントを示すことがあります。

また、商品・サービスそのものへの顧客満足度が高いだけでは、類似した商品やより安価な商品が登場したときに、あっさり他社に乗り換えられてしまうかもしれません。しかし顧客エンゲージメントの高い顧客は、「そのブランドだからこそ」その商品を購入してくれるのであり、簡単に自社から離脱することはありません。つまり、顧客エンゲージメントは顧客満足度に比べて、企業そのものと顧客の直接的な結びつきを強調しており、より広範な仕方でアプローチできる概念なのです。

顧客エンゲージメントが重要視される理由

現在、顧客エンゲージメントが重要視されている理由としては、第一にインターネットの普及によって顧客の価値観や購買行動が変化していることが挙げられます。インターネットで簡単に情報収集したり商品購入したりできる今、顧客は従来に比べて遥かに多くの選択肢を持って購買活動をするようになりました。

多様な選択肢を持つ顧客を繋ぎとめるためには、自社を競合他社から差別化していかなければなりません。そこで注目視されるようになったのが顧客エンゲージメントの概念です。特に昨今ではサブスクリプション式のサービスなども増えており、売り切りの時代ではなくなりつつあります。

顧客と少しでも長く、良好に関係を維持していくためには、顧客目線に立ってアプローチしていくことが必要です。そのため今日では、これまでの紙媒体を中心とした一方的なアプローチと違い、ネットやSNSを活用して、顧客と双方向的な関係を築き、顧客エンゲージメントの向上に取り組む企業が増えています。

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顧客エンゲージメントを高めるメリット

顧客エンゲージメントを高める第一のメリットは、売上の安定化です。顧客エンゲージメントの向上とは、言い換えると自社がその顧客にとってかけがえのない存在になっていくことです。既存顧客と良好な関係が保たれ、さらには自社に大きな利益をもたらすロイヤルカスタマーへと顧客を育てていく上でも、顧客エンゲージメント戦略は鍵となります。

第二のメリットは、顧客からのフィードバックが得られることです。顧客エンゲージメントの高い顧客は、企業の取り組みに敏感で、進んでコミュニケーションを取ってくれる傾向があります。例えば製品・サービスに関するアンケートやレビューにも丁寧に記入してくれたり、製品についてSNSや口コミで好意的な宣伝をしたりしてくれることも期待できます。

第三のメリットは、競争力の向上です。上記の2つのメリットによって企業は、競合他社との差別化、顧客発信の口コミ増加、製品・サービス品質の改善などの効果へと結び付けていけます。これらの要素はいずれも、自社の競争力を向上させ、競合他社との苛烈な競争を勝ち抜くために貢献するものです。

顧客エンゲージメントを高める方法

では、顧客エンゲージメントを実際に高めるためにはどうしたらいいのでしょうか。顧客エンゲージメントを向上させる方法を4つ取り上げます。

顧客データの収集・分析

真っ先に取り組むべきなのが、顧客データの収集と分析です。顧客エンゲージメントを高めるには、顧客のことを深く理解し、その特性に合わせてパーソナライズしたアプローチを実施していく必要があります。そのため、年齢・性別・購入頻度など、顧客に関するさまざまなデータを集めることが大切です。ここで収集したデータを分析することで、顧客の行動や属性をより深く理解し、有効な施策を考えやすくなります。

カスタマージャーニーの作成

第二の方法は、カスタマージャーニーマップの作成です。カスタマージャーニーマップとは、顧客が企業やサービスについて認知し、他社と比較検討し、購入または契約し、実際にサービスを体験し、レビューやフィードバックをし、継続利用するかやめるか判断する、という一連のブランド体験を可視化したものです。
カスタマージャーニーマップを作成する際には、時系列に沿って、顧客の「行動」「思考」「感情」の流れもマップに組み込み、一種のストーリーとして顧客のブランド体験を理解します。カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客目線で自社のアプローチの妥当性を見つめ直し、顧客エンゲージメント戦略の改善へと繋げられます。

コンタクトセンターの見直し

第三の方法は、コンタクトセンターの見直しです。従来、コンタクトセンターの役割は、顧客の問い合わせやクレーム対応などの面ばかりに注目されてきました。つまり、製品・サービスについて不便や不満を覚えている顧客への対応を、どのようにして穏便に済ませるかという消極的な姿勢からコンタクトセンターを考えるのが通例だったのです。

しかし昨今、「コンタクトセンターは、顧客との強固なエンゲージメントを確立するための貴重な顧客接点のひとつである」という見方が強まってきています。
たとえば、製品に関して何かトラブルがあったとき、多様な問い合わせチャネルが用意されていたり、迅速かつ誠意ある対応を受けたりできれば、顧客の心証はむしろ非常に良くなるかもしれません。あるいは製品・サービスに関して自分がコンタクトセンターに寄せた要望や不備の指摘が、その後反映されていたら、顧客は企業が自分の声に耳を傾けてくれているとうれしくなるでしょう。

このように現在のコンタクトセンターは、顧客エンゲージメントを向上させるために積極的な役割を果たすよう期待されているのです。

顧客行動のデジタル化

第四の方法は、顧客行動のデジタル化です。これは最初に挙げた「顧客データの収集・分析」と大きな関連性があります。昨今ではWeb広告やSNS広告、Webサイトのユーザー分析などを活用したオンラインマーケティングの影響力が飛躍的に高まっています。これらのオンラインマーケティングの強みと言えるのが、顧客が企業のアプローチに対してどのように反応したかを定量的に把握できることです。

つまり、顧客がどのような行動を経て購買へ至ったのかをデジタル化して分析することで、どんな要素がエンゲージメント向上に寄与しているかヒントを得られるのです。逆に、どの部分を改善・強化すべきかを知ることもできるでしょう。

まとめ

顧客エンゲージメントとは、顧客と企業を結ぶポジティブな感情的繋がりです。顧客エンゲージメントの向上は、自社を競合他社から差別化し、既存顧客と長く良好な関係を築くための鍵となります。

インターネットが普及し、顧客行動が複雑化した今、顧客エンゲージメントを向上させるには顧客目線に立ったアプローチが必要です。そのためには、顧客データを収集・分析したり、カスタマージャーニーマップを作成したりして、顧客理解を深めることが欠かせません。顧客理解を深めれば、良質な顧客体験を提供しやすくなるからです。

このような顧客エンゲージメント戦略の中にあって、顧客と企業を繋ぐ貴重な接点であるコンタクトセンターの役割は、今後ますます重要になってくると考えられます。

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