顧客へのよりよいアプローチを実現するには、顧客接点(タッチポイント)を意識したビジネスの展開が不可欠です。特にインターネットが普及した現代では、顧客接点のデジタル化や多様化に取り組む企業が増えています。本記事では、顧客接点の概要や強化が必要な理由、取り組む際のポイントなどを解説します。顧客接点の重要性や強化方法に関する理解を深め、顧客とよりよい関係を築くためのヒントを得ましょう。
顧客接点(タッチポイント)とは?
顧客接点(タッチポイント)とは、企業と顧客が接触する場所や媒体、コミュニケーション手段などを指します。「コンタクトポイント」も、顧客接点と同義です。
「商品・サービスを提供する」「宣伝する」「顧客の要望や苦情を聞く」「顧客を分析する」「アフターフォローをする」など、企業と顧客の関わり方にはさまざまな種類があります。しかし、いずれの場合でも、お店やWebサイト、メールなど、お互いをつなぐ接点がなければ、その関係自体が成立しえないことは同じです。
そこで多くの企業は、顧客接点の種類を多様化させて顧客と関係を築く機会を増やしたり、各顧客接点の品質を向上させて顧客満足度の向上を目指したりと、顧客接点の強化に取り組んでいます。
顧客接点の強化が求められている背景
昨今、顧客接点(タッチポイント)の強化が特に求められるようになった背景としては、インターネットやモバイル端末の普及によって顧客行動が変化(オンライン化)したことが挙げられます。
従来の顧客接点は、営業担当者による対面でのアプローチやDMなど、オフラインがメインでした。しかし、現在はインターネットやモバイル端末が普及したことで情報の発信・収集が容易になり、企業と顧客はオンラインでも接点をもてるようになりました。顧客側の傾向としても、「インターネットで情報収集してから購入を決めたい」「問い合わせは電話よりメールやチャットでしたい」など、オンラインの顧客接点に対する需要が高まっています。この需要は、コロナ禍において感染症予防という観点からさらに増すことになりました。
こうした需要に応え、顧客との関係をより強固にするために、多くの企業が顧客接点のデジタル化や強化に注目しています。
顧客接点(タッチポイント)の例
顧客接点(タッチポイント)は、大きく分けるとオフラインとオンラインの2種類があります。オフラインで代表的なものとしては、店頭や顧客への訪問営業のほか、ポスティングチラシや新聞折り込みチラシ、電話、DM、看板などが挙げられます。
一方、オンラインではWebサイトが代表的な顧客接点です。また、Twitter(X) やFacebookといったSNS、メルマガ、ウェビナー、スマホアプリ、オンライン接客などのほか、TVCMやコンタクトセンターも該当します。
オフラインとオンラインに優劣はなく、自社が扱う商品やサービス、メインターゲット層などにあわせた顧客接点の創出が求められます。
顧客接点強化の重要性
企業が顧客接点を強化すべき理由は、顧客のニーズを把握するためです。また、新たな顧客を獲得するには、より多くの人と接触する機会を創出しなくてはなりません。さらに、顧客満足度向上の観点からも顧客接点の強化は必要です。
ニーズの把握
企業が商品やサービスを販売し、利益を得るには、前提としてニーズの把握が必要です。需要がないものを販売しても、求められていないため売れず、利益につながりません。消費者がどのようなものを求めているのかを把握するには、顧客と接触する機会が必要です。
たとえば、イベントを開催してアンケートを実施すれば、消費者の率直な意見を汲み取れます。また、WebサイトやECサイトにレビュー欄や口コミ投稿欄を設ければ、よりストレートな意見を獲得できるため、ニーズの把握に有効です。
ニーズを把握しないまま新たな商品の開発や販売に踏み切るのは、高いリスクを伴います。消費者が真に求めるものを理解するためにも、顧客接点の強化が欠かせません。
集客の改善
顧客と接触する機会が増えれば、自然と認知が高まります。より多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらえ、そこから集客につながる可能性があります。
たとえば、オンラインの顧客接点を強化すれば、今まで直接的な接点がなかった顧客の獲得が可能です。オンラインであれば、どこに住んでいようとも接点がもてるため、遠方の顧客も獲得できます。
また、上述したニーズの把握も集客力強化につながります。ニーズの分析により顧客が何を求めているかを理解できるため、効果的な集客が可能です。
顧客満足度の向上
顧客満足度の向上によって、顧客のファン化やリピーター化を促せます。顧客がリピーター化すれば、定期的に商品やサービスを購入してくれるようになるため、経営の安定化につながります。また、満足度が高い顧客は口コミなどで情報を発信してくれる可能性があり、そこからさらなる集客や認知アップにつながりやすい点もメリットです。
このように、企業にとって顧客満足度は重要な指標です。顧客満足度を向上させるには、個々の顧客にマッチした対応をしなくてはなりません。そのためには、顧客一人ひとりの情報が必要です。
顧客接点の創出によって、さまざまな顧客情報を取得できます。顧客の氏名や年齢、誕生日といった基本的な情報をはじめ、過去の購買履歴や来店履歴などの情報があれば、それをもとに顧客一人ひとりにパーソナライズした対応が可能です。
顧客接点の強化につながる取り組み
顧客接点を強化するには、戦略的な取り組みが求められます。まずは自社が理想とする顧客のペルソナを作成し、カスタマージャーニーを設計したうえで、オムニチャネル化を進めることが大切です。
ペルソナの設定
ペルソナの設定によって、どの顧客接点を強化すべきか、どの顧客接点がより重要性をもつのかといったことがわかります。ペルソナとは、自社のターゲットとなる顧客の具体的な人物像のことです。できるだけ詳細にペルソナを設定することで、顧客のニーズや適切なアプローチ方法を深く分析しやすくなります。
カスタマージャーニーマップの作成
次に、カスタマージャーニーマップを作りましょう。これは、顧客が商品・サービスを発見し、購入に至るまでの道のりをモデル化したものです。カスタマージャーニーマップの作成によって、顧客の購入フェーズごとにどういったアプローチが求められるのかを整理できます。
オムニチャネル化の推進
オムニチャネルとは、自社におけるあらゆる顧客接点と販路を統合する販売戦略です。個々の接点や販路が独立しているのではなく、ひとつの大きな輪に包括されるようなイメージです。オムニチャネル化によって顧客接点をさらに強化でき、機会損失の減少や顧客満足度の向上といった効果も狙えます。
顧客接点強化を成功させるためのポイント
顧客接点強化を成功させるには、体制の強化が不可欠です。リソースだけでなく社内の体制もしっかりと整えましょう。また、複数チャネルや媒体を運用する際には、一貫性を保持するよう努めることも大切です。
体制の整備
顧客接点を強化するには、それなりの人手が必要です。顧客接点をいくら増やしたところで、きちんと管理できる従業員がいなければ意味がありません。個々の接点からしっかりと情報を収集するためには、十分な人的リソースが求められます。
ただし、企業によっては慢性的な人手不足に悩まされ、人的リソースを割けないといったこともあるはずです。もしそのような状況であれば、まずは業務効率化の検討をおすすめします。
業務効率化を実現できれば、人的リソースに余裕ができます。たとえば、データ入力やメールの発送といった定型業務をRPAに代行させたり、SFA(営業支援システム)で営業活動を効率化したり、といった取り組みが業務効率化に有効です。
業務効率化で十分なリソースを確保したうえで、社内の体制を整備しましょう。運用や管理の体制をきちんと構築していないと、全チャネルを横断する施策は展開できません。
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一貫性の保持
いくつものチャネルを運用するケースでは、一貫性をもたせることが大切です。一貫性がないと、顧客に不信感や不安を与えるリスクがあり、最悪の場合、顧客離れを招いてしまうおそれがあります。
ブランドイメージを確立しているのなら、それに則って各チャネルを運用しましょう。WebサイトやSNSのコンテンツからはラグジュアリーな雰囲気を感じるのに、メルマガではまったく感じない、といったことでは顧客に不審がられます。
不信感を抱いた顧客が、商品やサービスの購入に至る可能性は低いです。このようなことが何件も起きると、大きな機会損失を生みかねません。顧客接点の強化を成功させるためには、一貫性の保持が重要であることを理解しておきましょう。
まとめ
顧客接点(タッチポイント)とは、企業と顧客が関わる場所や手段、機会などを指します。インターネットやスマートフォンの普及によって、現在では多くの企業がオンラインでの顧客接点の強化に取り組むようになりました。顧客接点の強化は、顧客ニーズの把握や集客力の強化、顧客満足度の向上など、数多くのメリットにつながります。
顧客接点の強化を成功させるには、十分な人的リソースを用意し、そのうえで社内体制の整備を進めましょう。加えて、各チャネルにおける一貫性を保持することも大切です。顧客接点についてより詳しく知りたい方は、ぜひ下記資料をご覧ください。
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