コンタクトセンターにおけるSVの役割と業務効率化との関係を解説

 2020.07.06  2024.09.01

コンタクトセンターにおいて、オペレーターのマネジメントを行う「SV(スーパーバイザー)」は非常に重要なポジションです。優秀なSVを育てることがコンタクトセンター運営を成功に導く鍵となります。この記事では、コンタクトセンターにおけるSVの役割や、業務効率化との関係について詳しく解説します。

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SVとは

まずは、SVとはどのようなポジションなのか確認しましょう。SVとはスーパーバイザー(supervisor)の略で、さまざまな業界・業種に存在する役職です。主に現場の管理・監督にあたるため、「管理者」や「監督者」と呼ばれることもあります。

コンタクトセンターにおけるSVは、主にオペレーターの育成や管理、センター全体の監督などを行います。SVの人数は決まっていませんが、10~20名につき1名のSVを配置するのが一般的です。小規模な拠点であれば2名程度、大規模な拠点であれば5名程度のSVが在籍しているケースが多いでしょう。

コンタクトセンターのSVは、正社員だけでなく派遣社員やパートタイマーが担当するケースもあります。元々在籍していたオペレーターがSVに昇格することも多く、比較的女性が多い役職と言えます。コンタクトセンターのマネジメント職として、キャリアアップを望むオペレーターが目指すポジションとも言えるでしょう。

SVになるには

現場(コンタクトセンター)を統括する立場であるSVには、オペレーターとして数年の実務経験を積んでいることが必要となります。他の業界・業種でSVを経験しているからといって、すぐにコンタクトセンターのSV に転職できるというわけではありません。

また、コンタクトセンターの多くは、専用のシステムを使って顧客対応を行っていて、センターによって使うシステムは異なります。元々在籍していたオペレーターが昇格する場合はあまり問題ありませんが、外部からSVを採用する場合は一からシステム操作を覚えてもらう必要があるでしょう。

なお、日本コンタクトセンター教育検定協会が実施する「スーパーバイザー資格」の取得は必須ではありません。

SVには、電話応対力はもちろん、幅広いスキルが求められます。まず、オペレーターやマネージャー、クライアントなど多くの人と関わるため、高いコミュニケーション能力は不可欠です。SVの採用では、現場で上手に立ち回り、さまざまな立場の人の間で橋渡しをすることができるかを見られることになります。

次に、何事も臨機応変に考えられる、柔軟な対応力も必要です。問い合わせやエスカレーションは、そのときの状況に合わせて対応していかなければなりません。また、コンタクトセンターでは定期的に業務の見直しが行われます。従来の方法に固執せず、新しいやり方にも順応できる人材が求められています

SVの求人を出している企業もありますが、なかなか優秀な人材が見つからないのが実情です。SVは人材不足に陥っており、需要が高まっている役職なのです。

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コンタクトセンターにおけるSVの役割

コンタクトセンターのSVにはどのような役割があるのでしょうか。ここでは、SVの主な仕事内容をご紹介します。

研修

オペレーターの研修を担当します。新しくオペレーターが入社したら、SVが座学および実技の研修を行います。座学では、商品やサービスに関する基礎知識、電話応対のコツ、コミュニケーション術、ビジネスマナーなど幅広い知識を指導します。実技では、コールセンター業務のメインである電話応対やトーク術、業務で使用するシステムの使い方などを指導します。

モニタリング

通話のモニタリングを行います。モニタリングとは、顧客とオペレーターとの実際の通話を聞き、言葉遣いや応対スピードなどをチェックすることです。オペレーターの電話応対力を評価することで、電話応対の品質を向上させることができます。オペレーター個人の評価にも活用されます。

指導・教育

各オペレーターに指導や教育(アドバイス)をすることもSVの仕事です。電話応対や業務態度などを見て、何らかの問題点や改善点があれば指導に入ります。また、個別に面談を行う場合もあります。

現場の士気を高める

高い統率力で、オペレーターのモチベーションやチームワークを高めることも求められています。また特定のオペレーターをえこひいきせず、誰に対しても平等に接することで、職場の人間関係を良好に保つ必要もあります。統率力と人間性を兼ね備えたSVが仕切る現場は、人も定着しやすいでしょう。そうすることで、研修や指導にかけた時間が無駄にならずに済みますし、コンタクトセンター全体の生産性も上げられます。

勤怠管理

オペレーターの勤怠管理を行います。オペレーターの希望や業務の繁閑に合わせて適切なシフトを組まなければなりません。オフィスソフトを使ってシフト表などを作成する場合もあります。

クレーム対応

クレームなどでオペレーターの対応が困難となった場合は、責任者としてSVが二次対応をする必要があります。トラブル対応などで、相手をさらに怒らせるような対応をするのは絶対にNGです。相手の感情が高ぶっていれば上手にコントロールし、事態を収束させなければなりません。SVには忍耐力や判断力、そして高度な電話応対力が求められます

パフォーマンス報告

日ごと、月ごとにパフォーマンスをまとめ、マネージャーやクライアントに報告します。その際、問い合わせの数や通話時間、応答率などのデータをもとに、効率的に業務ができているかも分析する必要があります。作業の質を高めるために、センターの業務改善案などを企画・提案することもあります。 数値の集計や報告書を作成するためにオフィスソフトを使うこともあるため、ある程度のコンピュータースキルが必要です。

コンタクトセンターにおけるSVと業務効率化の関係

コンタクトセンターの業務効率化や顧客満足度を向上させるためには、コンタクトセンターの組織づくりが重要です。ここで、SVの存在が大きな鍵となります。

先ほどご説明した通り、SVはオペレーターが処理しきれなくなったクレームにも対応します。解決に時間がかかればかかるほど、他の業務に支障をきたして業務効率が下がってしまいます。また、顧客の不満もどんどん募っていくでしょう。このため、クレームはできるだけ迅速に解決しなければなりません。クレーム処理に長けたSVであれば対応時間を短縮でき、業務効率化に繋がります

またオペレーターの質に関しても、SVの担う役割が大きくなってきます。オペレーターへの教育が行き届いていれば、全員が適切な処理時間で問い合わせに応対できます。SVが適切な指導・教育を行うことにより、無駄を省いて業務を効率化できるのです。応対品質が高いと顧客満足度も上がり、商品やサービスを継続して使ってもらえる可能性も高まります。結果として、企業やブランドのイメージアップにも繋がります。

このように、コンタクトセンターの業務効率化はSVの実力に左右されると言えます。社内でSV向けの研修を実施したり、外部のセミナーを活用したりして、SVの育成に力を入れましょう。

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SV自身の業務効率化も重要

コンタクトセンターの業務効率化の実現には、SV自身の業務が効率的であることが大前提となります。経営側は、SVが置かれている状況をしっかりと把握できているでしょうか。

コンタクトセンターのSVは非常に多くの業務を抱えています。上に挙げた業務のほかにも、細かな雑務を引き受けることもあります。雑務が増えると本来注力すべきマネジメント業務がおろそかになり、手一杯になってしまうSVも少なくありません。オーバーワークにも繋がり、身体的にも精神的にも疲弊してしまいます。こうした状況が続いてしまうと、離職を考えるSVも出てくるかもしれません。

また、オペレーターから昇格したばかりのSVであれば、十分なマネジメント力などがまだ身に付いておらず、行き詰まってしまうケースもあります。新しいSVをサポートしていかないと、その様子を見た優秀なオペレーターがSVになりたがらない、といった状況にもなりかねません。

SV自身の作業効率が低下すると、センター全体のパフォーマンスも下がってしまいます。こうした状況を改善するためには、以下のような取り組みが有効です。

SVのサポート体制を作る

経営側は現場(コンタクトセンター)の状況をしっかりと把握しなければなりません。まず、SVが抱えている仕事量を定期的にチェックします。その上で、業務に追われている場合は仕事内容を調整したり、処遇の改善をしたりするなど、適切な措置を取ります。

また、困ったときにはいつでも相談ができるような体制を作りましょう。1人で悩みを抱え込まないよう密に連絡を取り、SVの不安やストレスを解消できるようにすることが大切です。

加えて、SVの業務を行う上で必要なスキルを明示し、それを身に付けるための研修を受けられるようにしましょう。スキルを向上させるなら、自信を持ってオペレーターを指導・サポートでき、マネジメント業務を効率よくこなせるようになるでしょう。

コンタクトセンターシステムの有効活用

コンタクトセンター業務を支援する機能を持つ、「コンタクトセンター(コールセンター)システム」を上手に活用して、SVの負担を軽減しましょう。なかでも「レポート機能」が便利です。コンタクトセンターのパフォーマンスを自動的にグラフ化し、稼働率や応答率、平均通話時間などを月別・オペレーター別などに分けて表示できます。SVがオペレーター各人に合った指導をしたり、業務を効率的に行うためのシフト表を作成したりする助けになるでしょう。

コンタクトセンターシステムにはさまざまなものがあります。レポート機能に関しても、システムによって特徴があります。近年普及しているクラウド型のシステムであれば、導入や運用にかかる費用も抑えられます。SVの業務を効率化できる機能は積極的に活用しましょう。

まとめ

コンタクトセンターのパフォーマンスを向上させる上で、SVの存在はとても重要です。しかしSVには求められるスキルや仕事量が多く、非常に負担がかかりやすい役職でもあります。優秀な人材は企業としても大切にしていくべきです。サポート体制の構築やシステムなどを活用し、SVを支援する仕組みを作っていきましょう

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