コンタクトセンターの業務において必要不可欠なSVですが、企業経営者やIT担当者の中には、具体的な業務内容や重要性を理解していない方もいます。そこで、ここではコンタクトセンターSVの役割や仕事内容などを解説します。SVの採用基準や、誰を起用すればいいのか悩んでいる経営者、IT担当者もぜひ目を通してください。
コンタクトセンターのSVとは
SVとはスーパーバイザー(supervisor)のことを指します。コールセンターやコンタクトセンターの役職として知られていますが、実際にはさまざまな業界でSVは活躍しています。
SVの役割は、現場における管理者として現場を監督し、マネジメントや人材の育成、業務の進捗管理などを担当します。現場の責任者として一定の裁量を与えられるケースも多く、コンタクトセンターにおいては最も重要な役職です。
コンタクトセンターにおいても、SVの基本的な役割は同じです。オペレーターの業務管理はもちろん、勤怠管理や人材育成なども担います。業務で問題が発生したときは原因を探り、今後同じことが起きないよう対策も考えなくてはなりません。このように、コンタクトセンターのSVが担う業務は多岐にわたります。
コンタクトセンターのSVは、正社員とは限りません。パートタイマーや、派遣社員が担うことも珍しくはありません。また、在籍していたオペレーターがSVに昇格するケースがほとんどです。また、人数は特に決まりはありませんが、10人から20人に1人程度が一般的です。大規模なセンターになると、さらに複数のSVが在籍する場合もあります。
コンタクトセンターのSVになるには
コンタクトセンターのSVになるには、コンタクトセンターのオペレーターとして現場で十分な実績を積むのが一番の早道です。ほかの業種でSVの経験があるからといって必ずしもSVになれるというわけではありません。現場ごとにシステムや、顧客対応のマニュアルが異なるため、外部からSVを招くということはあまりありません。また、求められる能力の高さからSVは慢性的な人材不足に陥っています。
コンタクトセンターのSVの役割
コンタクトセンターにおいてなくてはならないSVですが、ここからは具体的な役割を解説します。企業によって多少は異なりますが、主な役割はスタッフの研修や指導、勤怠管理、クレーム対応、パフォーマンス報告の4つです。詳しく見ていきましょう。
スタッフの研修・指導
オペレーター経験のない人材を採用したケースでは、業務を担当させる前にSVが教育を行います。一般的なビジネスマナーやシステムの操作方法、実際の業務における電話やメールでの応対方法、顧客との会話で気をつけるべき点などを指導します。
実際に業務が始まってからも、応対をモニタリングし、問題点の指摘やアドバイスなどを具体的に行います。仕事に慣れているベテランオペレーターに対しても、改善すべき点があれば指摘し、必要に応じてアドバイスも行います。
オペレーターはと度々理不尽なクレームにも対応するため、指導の仕方によっては、モチベーションを下げてしまうおそれがあるため注意が必要です。
勤怠管理
チーム全体の勤怠管理を行います。勤怠を管理するだけに留まらず、オペレーター不足するなど手が足らなくなったときは、自ら現場に応援として入る場合もあります。
オペレーターのシフトを組むのも、SVの役割です。オペレーター一人ひとりの要望に合わせてシフトを組むのはもちろんですが、常にベストな体制で業務を遂行できるよう調整しなくてはなりません。
例えば、業界によっては繁忙期と閑散期で著しく業務量に違いが生じることがあります。繁忙期に人員が足りないと現場が回らなくなり、顧客満足度の低下につながるでしょう。逆に、閑散期に必要以上の人員を配置してしまうと、余計な人件費が発生します。
このようなことが起きないよう、SVは常に業務量や人員の数などを把握しつつ、適切な人員配置を行う必要があります。
クレーム対応
通常、クレーム対応はオペレーターの業務ですが、オペレーターでは対応できないケースや、責任者に電話を代わるよう要望されたケースではSVがオペレーターに代わり対応します。
クレーム応対においては、相手の感情をうまくコントロールすることが重要です。
ここでSVが誤った対応をしてしまうと、より大きなクレームに発展し、企業イメージを損ねてしまうおそれもあります。そのため、SVには忍耐力や判断力のほか、高度なコミュニケーションスキル、電話応対力が求められます。
難易度の高いクレームや質問に応対しなければならないこともあるため、SVには自社のサービスや商品に関する高度な知識も必要です。日ごろから自社製品やサービスに関する知識を深め、顧客に対し理路整然と説明できるスキルも身に付けなくてはなりません。
パフォーマンス報告
コンタクトセンターが、企業の目的に沿った形で機能しているか、きちんと成果を上げているのかを報告しなくてはなりません。SVから上層部へダイレクトに報告するケースもあれば、マネージャーを介して報告されることもあります。
報告は日ごと、もしくは週や月ごとに行われるケースが一般的です。ただ単純にパフォーマンスを報告するだけでなく、現場が問題なく稼働しているかどうかを判断するのも、SVの業務です。
そのためには、問い合わせ数や通話時間などのデータをまとめ、そこから業務改善へ向けて分析をしなくてはなりません。オペレーター一人あたりの通話時間が長すぎる場合、説明の仕方に問題がある可能性があります。クレームが多いのなら、応対に問題があるのかもしれません。
データをもとにしっかりと分析を行い、そのうえで現状を把握し、今後の方向性や改善策を考える必要があります。
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コンタクトセンターのSVに求められる能力・スキル
SVの採用や起用にあたり、どのようなスキルをもつ人材を選べばいいのか頭を悩ませるケースは多いようです。ここからは、重要な2つの能力について紹介します。
チームマネジメント力
SVは、常に現場全体を監督しなくてはなりません。オペレーター一人ひとりの働きぶりをチェックするのはもちろん、現場全体が目標に向かって進めているかも確認する必要があります。
さらに業務がスムーズに進んでいるかどうかをチェックし、必要に応じて人員の増減も考えなくてはなりません。人員の増減が必要な場合は、マネージャーや上層部にその旨を報告します。
特定のオペレーターに負担がかかりすぎていないか、体調やメンタルに問題がありそうな人はいないかなど、SVは常に目を光らせる必要があります。そのため、観察力や洞察力などもSVに求められる資質のひとつと言えるでしょう。
コミュニケーション能力
SVはセンター全体を管理する役割があるため、各オペレーターと良好な人間関係を築く必要があります。オペレーターとのコミュニケーションがうまくいかない場合、現場がうまく回らなくなるおそれもあります。必要な情報が上がってこない、意思の疎通ができず関係性が悪化してしまう、といったことにもなりかねません。
難易度の高いオーダーやクレームが入ってきた場合、応対するSVが高い会話能力を有していればスムーズな対処ができます。
オペレーターへの指導を行う場合にも、コミュニケーション能力は必須です。一方的に伝えたいことだけ伝えても、相手に十分理解させることは難しいでしょう。
まとめ
SVの業務内容は多岐に渡り、コンタクトセンターにおいては最も重要な役職と言えます。起用したSVによってコンタクトセンターの成果が大きく変わる可能性もあるため、採用の際は注意しなくてはなりません。
コンタクトセンターの業務効率化にはSVの能力が大きく影響します。SVの業務内容を正確に把握し、最も適した人材を配置しましょう。
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