在宅コンタクトセンターのよくある課題を解決する手法をご紹介

 2023.02.20  2024.10.01

在宅コンタクトセンターは人材不足の解消やコスト削減、BCP対策などの観点から注目を集めるようになりましたが、在宅業務を導入するといくつかの課題に直面するかと思います。在宅業務による就業環境の変化やデバイスの変更、運用の変更など、課題発生の原因は様々です。

この記事では、在宅コンタクトセンターでよくある課題と解決手法を解説していきます。

在宅コンタクトセンターのよくある課題を解決する手法をご紹介

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在宅コンタクトセンターにおける”あるある”課題

在宅業務を導入するといくつかの課題に直面することがあると思います。それらは就業環境の変化やデバイス、運用の変更、コミュニケーション手段の変更など従来のコンタクトセンターとは異なる環境や運用によって発生することが多いと考えられます。
特に以下の3つに関しては必ずと言っていいほど発生する課題でしょう。

  1. デバイスや運用の変更に伴う一時的な生産性の低下
  2. 自宅で業務に就いていただくことによる周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響による通話品質が低下
  3. コミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感が生じてしまう

①デバイスや運用の変更に伴う一時的な生産性の低下
従来のコンタクトセンターではデバイスは基本的にはデスクトップパソコン、モニターも大きいものを使用していることが大半かと思いますが、在宅環境においてはデスクトップパソコンの設置や大きいモニターの設置が難しい場合も想定されますし、何より持ち運びや収納の利便性を考慮してノートパソコンが採用されるケースが多い、また、運用に関しても、遠隔管理、コミュニケーター自身の自己解決を中心とした運用となるため従来のコンタクトセンターのようにすぐにSVがフォローして解決するという運用から変更が生じることに起因すると考えられます。

②自宅で業務に就いていただくことによる周辺の騒音や同居家族の話し声、ペットの鳴き声などの影響による通話品質が低下
自宅という業務環境により周辺の騒音や同居している家族、ペットなどの影響により、従来のコンタクトセンターでは想定されていない雑音が通話中に入ることによるエンドユーザーへの影響に起因すると考えられます。

③コミュニケーションが希薄になることによる孤独感・疎外感が生じてしまう
①の運用変化の影響に加え、今まで職場で同僚とコミュニケーションしながら業務に就いていた就業環境からの変化により発生すると考えられます。

これらの課題を早期解決しなければ、在宅業務によるコストの増加、品質の低下、退職率の悪化を招くことが想定され、在宅コンタクトセンターを運用継続することは困難となります。

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在宅コンタクトセンター”あるある”課題の解決手法

①「生産性低下」、②「通話品質の低下」、③「孤独感・疎外感」それぞれについて解決手法を見てみましょう。ここでご紹介する解決手法は少しの工夫で課題解決に導いた手法やソリューションを活用した手法です。株式会社ベルシステム24が実践した事例をもとにご紹介します。

「生産性」の低下を抑止し、向上させる手法

株式会社ベルシステム24では複数の在宅業務の生産性推移を分析して在宅業務を導入してから数ヶ月程度は従来のコンタクトセンターの運用時と比較して生産性が低下することがわかっております。
これは前述した通り、デバイスの変化、運用の変更によって生じるものです。
したがって、デバイスの変化を極力従来のデバイスに近づける、遠隔であっても効率的な運用を設計することで「生産性」の低下を抑止し、向上させることができると考えられます。

コミュニケーターは従来のコンタクトセンターにおいてはデスクトップパソコンを使用し、大きなモニター、デスクトップパソコン用のテンキーが付属したキーボードを使用しております。このデバイスがノートパソコンになると、画面は小さくなり、キーボードもテンキーがなくなることが多くあると思います。
そこで、ノートパソコンと併せてデスクトップパソコンで使用していたモニター、キーボードも貸与することで、ノートパソコンをデスクトップパソコンのように使用することができるようして解決しました。モニターとキーボードの貸与のみであれば設置場所や保管もデスクトップ一式よりもクリアしやすく、生産性低下抑止を実現することができております。

また、ビジネスチャットツールを効果的に活用することで効率的なコミュニケーションを実現し従来のコンタクトセンターよりも生産性の向上に寄与することもできております。
生産性の向上に寄与したMicrosoft Teams(以下、Teams)を活用した生産性向上事例についても触れたいと思います。

従来のコンタクトセンターでは周知は紙で掲示、配布を行い、不明点があればSVが傍に行ってフォローする運用となっておりましたが、在宅業務では周知方法、フォロー方法をTeamsを活用して工夫しました。
Teams上でスキルや業種に応じたチーム編成を行い、専用チーム内で周知やエスカレーションなどのコミュニケーションが取れるよう工夫し、ルールも細分化することで遠隔マネジメントに対する混乱を低減することに成功しております。
Teamsを活用することでフォローも手厚くできるようになり、部署間の連携スピードも従来より向上したことで生産性向上に寄与しました。

「通話品質の低下」は原因に合わせて対処する

通話品質の低下に関しては自宅という就業環境によって周囲の騒音や同居家族の声、ペットの鳴き声など、いわゆる生活音の影響によって生じます。したがって、就業環境によって生活音発生の原因は様々です。

株式会社ベルシステム24ではこれらの生活音を定義し、エアコン、ヒーターなどの空調機器の音などオフィスでも聞かれる音は許容できる生活音とし、許容できない生活音は不可抗力なものか、故意で生じさせているものかを分類して、それに沿った対処を実施しております。
不可抗力な生活音としては交通騒音、サイレンなどが挙げられます。不可抗力な生活音がもし気になるという場合は、ノイズキャンセリングアプリケーションを活用して対処しております。
故意で生じる生活音は私的な行動が原因で生じることが多いかと思います。事前のコンプライアンス研修や就業前の朝礼での注意喚起などで制御するとともに、顔認証機能のあるテレワークサポーターで着座状況を把握し、顔認証から外れて離席のステータスが多いメンバーへは声掛けや指導をするなどで私的な行動を抑制します。

生活音への対応策に関して、基本的には個室の準備、窓や扉の施錠、インターホンの音の配慮などを在宅環境で就業するコミュニケーターへ業務環境要件として提示し、履行することを条件に在宅勤務に就いてもらいます。
さらに、不可抗力な生活音へはノイズキャンセリングアプリケーションやノイズキャンセリング機能のあるヘッドセットを活用して抑制する、クライアントの協力も必要ではありますが、エンドユーザーへ事前アナウンスする、などで対処することで「通話品質の低下」を抑制することが可能です。

「孤独感・疎外感」を生じさせない運用設計

孤独感・疎外感がなぜ発生するのか?それはコミュニケーション不足が発生の要因となると考えられます。
従来のコンタクトセンターでは管理者による直接的なコミュニケーションがメインとなっており、目、耳、感覚でコミュニケーターの状況を把握して都度対処を行っておりました。
つまり、管理者から能動的に状況を検知して直接コミュニケーションをとりながら対応をしておりました。
しかしながら、在宅業務環境のおいては間接的なコミュニケーションがメインとなり、Webカメラによる監視やコミュニケーターからのアラートベースでの対応となります。つまり、アラートが挙がらない限りコミュニケーションが発生しない運用となります。
ここにギャップが生じて孤独感・疎外感が生じてしまうことが考えられます。

株式会社ベルシステム24では疎外感・孤独感を払拭するためにオンライン上でのコミュニケーションも工夫しております。
在宅業務に従事するコミュニケーターのコミュニケーションはオンライン会議システムを使用することとなりますが、オンライン会議システムの仕組みを活用して疑似オフィスのような環境構築を実現いたしました。

採用から入社まではオンライン会議システムやオンラインでの入社手続きを行います。研修からOJTまでは休憩室、研修室などセッションを分けたオンラインルームで受講し、質疑は挙手ボタンを押して発言、もしくはチャットで質問を入力します。受電デビュー後はエントランス、受電エリア、会議室/個室のセッションに分かれた疑似オフィスで勤務し、エントランスでは出勤前の雑談や休憩を行い、会議室/個室では1on1面談やヒアリングなどが行われます。

セッションを分けることで、オフィス内で部屋を移動するような感覚、同僚とコミュニケーションがとれる場を設けることで、オフィスで勤務しているような感覚を醸成し、疎外感・孤独感の払拭を実現しております。

課題解決を実現する音声情報ソリューション

在宅コンタクトセンターの”あるある”課題を解決するために音声情報ソリューション「AmiVoice(アミボイス)」の活用も有効です。

在宅コンタクトセンターでは間接的なコミュニケーションが中心となり、SVのフォローはコミュニケーターのアラートベースで行われることとなります。しかしかながら、コミュニケーションは希薄となるため、コミュニケーターもアラートを挙げるべきか不安を感じ、疎外感・孤独感に繋がっていくことが考えられます。
さらに、従来のコンタクトセンターでは感覚的且つ能動的な検知が可能だったお客さまとの応対に関しては、感覚的な検知が難しく、コミュニケーターからのアラートベースで対処する必要があり、検知の遅れにより問題が大きくなるのではないか、という不安も生じることと思います。
これらの不安を払しょくするには全コミュニケーターの音声が可視化されて、且つ問題が大きくなる前にアラートが発せられる仕組みが必要となります。

そこで、全コミュニケーターの応対をテキストで把握し、予め設定したキーワードによってアラートを発せられる音声情報ソリューション「AmiVoice(アミボイス)」が在宅コンタクトセンターの運用に有効です。

最新のディープラーニング技術を実装し、高精度な音声認識率を誇るのが特徴です。20年以上に渡り、音声認識技術の研究や開発を行ってきた企業が提供しており、あらゆる業種の専門用語に対応可能な音声認識エンジンを取りそろえていることも特徴と言えるでしょう。
医療や金融、製造、建設などの業界では、さまざまな専門用語が使用されますが、AmiVoiceなら問題なく認識可能です。導入に合わせて個別にカスタマイズしていけるので、あらゆる企業や業務で活用できます。
したがって、どの業種の在宅コンタクトセンターでもテキスト化された音声をモニタリングして、アラートを検知して、コミュニケーターのフォローを行うことが可能となります。

AmiVoiceは単に音声をテキスト化して、キーワードを検知してアラートを発するだけではありません。座席表から通話内容を可視化して複数同時にモニタリングができる、コミュニケーター、SV間の双方向コミュニケーションを簡単操作で行うことができる、キーワードだけではなく感情の変化も検知することができる、など在宅コンタクトセンターの遠隔マネジメント運用に必要不可欠な機能を網羅しているため、在宅コンタクトセンターの”あるある”課題解決に繋がる従来のコンタクトセンターに近いマネジメント、コミュニケーションを実現することができるのです。

まとめ

在宅業務を導入することによって、生産性の低下、通話品質の低下、孤独感・疎外感という課題が発生します。それら課題に対して運用の工夫やソリューションの導入など対策を講じることで、従来のコンタクトセンター同等、もしくはそれ以上のパフォーマンスを引き出すことができます。

しかしながら、在宅コンタクトセンターを安定稼働させるためには課題解決にかかる時間もコストも必要となるため、早期安定稼働を目指すのであれば在宅コンタクトセンター構築実績のある専門のベンダーを活用することも一手です。

在宅コンタクトセンター導入の検討に当たって、多種多様な業務での在宅業務実績、蓄積されたノウハウを活かした在宅コンタクトセンター構築メソッドと在宅コンタクトセンターソリューションを持ち合わせた株式会社ベルシステム24にお任せする、という選択肢もあります。在宅コンタクトセンターを導入したいとお考えでしたら、一度相談してみることをお勧めします。

執筆者紹介

安東 龍太
安東 龍太
2016年入社後、オペレーション部門に所属。嗜好品メーカーやゲーム業界のカスタマーサポート業務を経験。
その後、同嗜好品メーカーのコンタクトセンターのチャットボットトレーナーを行い、ログの分析やチャットボット構築手法を学ぶ。
現在は、企画部門でコンタクトセンターのDX推進を目的にRPAや予測分析ツールのオペレーション内での活用支援を行っている。
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