顧客と企業をつなげる接点として、コールセンターやコンタクトセンターの応対品質向上がこれまで以上に重要視されています。一方で、そのための課題検討や解決に頭を悩ませている管理者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、応対品質向上に取り組むにあたって、品質管理の方法や評価するポイント、応対品質向上に役立つシステムを紹介します。
コールセンター・コンタクトセンターにおける応対品質とは
応対品質とは「コールセンターやコンタクトセンターの応対が顧客に満足してもらえる対応を行えているか」を指します。応対品質を評価する主な指標には、以下のようなものが挙げられます。
|
顧客対応そのものの品質を表すという点で、応対品質はコールセンターやコンタクトセンターにおける品質の中でもとくに重要です。
オペレーターの応対品質を改善することによって、顧客満足度の上昇が期待できます。顧客がオペレーターの対応に満足すれば、顧客から感謝される機会も多くなって社員のモチベーションの向上にもつながるでしょう。
関連記事:コンタクトセンターにおける品質管理とKPIについて解説
そもそもコンタクトセンター・コールセンターにおける「品質」とは
コールセンターやコンタクトセンターにおける品質とは、大きく分けて主に以下の4つに分類することができます。
|
まず1つ目の「運用品質」とは、掲げられたミッションを達成するのに即した運用がきちんと行えているかを指します。
2つ目の「接続品質」とは、コールセンターやコンタクトセンターへのつながりやすさのことです。
3つ目の「応対品質」とは、適切な言葉遣いや迅速な対応など、顧客に満足してもらえる応対ができているかを意味します。
最後の4つ目の「処理品質」とは、顧客から受けたオーダーを、正しく処理できているかを指します。
品質評価の2つの方法
コールセンターやコンタクトセンターの品質を維持・向上するためには、定期的な評価とそれに基づいた改善が欠かせません。品質を評価する方法として、以下の2つが挙げられます。
|
応対品質管理で得られる3つのメリット
企業がコールセンターやコンタクトセンターの応対品質管理をするメリットには、以下の2つがあります。
|
優良顧客を増やす
企業の窓口であるコールセンターやコンタクトセンターの対応によって、顧客の企業に対する評価は大きく変わります。
コールセンターやコンタクトセンターの応対品質次第では、問合せ顧客がその企業にとっての優良顧客になってくれる可能性があります。
一般の顧客と比べて、優良顧客は一人当たりの売上が大きくなります。さらに優良顧客の中でも、より企業に対して強い愛着をもつ「ロイヤルカスタマー」が増えれば、自ら友人や家族などに自社商品やサービスを勧めてくれるというメリットもあります。
企業イメージを維持する
コールセンターやコンタクトセンターの品質の管理をし、顧客満足度の向上につなげることができれば、今まで築いてきた企業イメージが維持できます。
仮に品質が低くて、問い合わせしてきた顧客に不満を抱かせる結果になった場合、SNSなどによってネガティブな印象が拡散されることもあります。拡散の規模によっては、企業全体のイメージが著しく悪くなってしまう可能性も否定できません。
業務改善につながる
応対品質の測定を通して、オペレーターの改善点を把握するとともに、コールセンターやコンタクトセンターの課題を把握することが可能です。
オペレーターの教育を実施し、応対品質レベルを上げることができれば、顧客満足度の向上が目指せます。
また、難しい問い合わせ部門、簡単な問い合わせ部門など、応対品質レベルに合わせてオペレーターを配置できれば、品質を下げることなく効率的な運営が可能となります。
関連動画のご紹介
応対品質管理の4つの方法
応対品質の管理方法には、オペレーターのモニタリングや顧客アンケートを実施するなどがあります。その内容を評価しフィードバックするといった一連の対応を継続的に行うことにより、求められている応対品質の維持・向上を目指すことを指します。
コールセンターやコンタクトセンターとしての応対品質を向上させるためにも、定期的に行うことが推奨されます。
応対品質の管理方法
|
リアルタイムで応対中の音声をモニタリング
1つ目は、オペレーターが顧客対応している様子をリアルタイムでモニタリングする方法です。
オペレーターが顧客と会話している内容をリアルタイムで確認しながら、必要に応じてオペレーターへ指示を出しつつモニタリングを行います。ただし指示が多過ぎると、オペレーターが顧客との会話に集中しにくくなってしまい、ミスにつながるので注意しましょう。主に新人オペレーターを教育する際に適した手法です。
なおリアルタイムモニタリングには、管理者がオペレーターの側に座って、音声を聞きながら端末の操作手順をモニタリングするという方法もあります。
録音データのモニタリング
2つ目は、過去に録音した顧客対応の音声データをモニタリングする手法です。モニタリングによってトークスクリプトはきちんと守られているか、顧客に良い印象を持たれているか、的を射た案内ができているか、知識力があるか等をチェックします。その結果をフィードバックし、今後の指導に役立てることで、オペレーターの応対品質の向上が可能です。
顧客アンケートを実施
3つ目は、オペレーターの応対を受けた顧客にアンケートを送付し、応対内容を評価してもらう方法です。アンケートは、応対後SMSで送付したり、後日アンケートの架電をしたりするのが一般的です。
必ずアンケートに答えてもらえるとは限らないため、一定数の回答を得るまでには時間がかかります。
ただし、アンケートは、モニタリングだけでは把握できない、顧客からの生の声を聞けることが最大のメリットといえます。
ミステリーコール
4つ目は、調査業者の担当者が第3者のふりをし、オペレーターによる応対を受けてもらう方法です。ミステリーコールは、事前に調査業者に問い合わせ内容や評価項目を共有しておき、実際に応対を受けながら評価をしていきます。
ミステリーコールは、調査業者に依頼するためコストが発生しますが、顧客目線でオペレーターの応対が評価できる、よりリアルな評価ができることがメリットです。
応対品質を向上させるKPI設定
応対品質管理によって、その品質を向上させるためには評価を客観的に把握するためのKPI(重要目標達成指標)が必要となります。これはコールセンターにもコンタクトセンターにもいえることです。
KPIを個人単位・組織単位で測定し、目標達成ができたかを管理します。具体的には、以下にあげるようなKPIを設定します。
|
モニタリングを通した合否ラインや、実績評価点、合格オペレーターの確保率の他に、定期的に一定数以上のモニタリングと、オペレータへのフィードバックを行うことをKPIに設定することで、応対品質管理の形骸化を防げます。
関連記事:コンタクトセンターにおけるKPIの例と設定のポイントについて解説
応対品質を向上させるシステム
コールセンターやコンタクトセンターの応対品質を向上させるためには、システムによってオペレーターをサポートすることも大切です。
具体的なシステムには、以下の2つがあります。
|
1.レポート機能
レポート機能とは、発信数・アポ獲得数・通話数・通話時間、架電履歴とその結果などを自動的に記録する機能です。
レポート機能がない場合、オペレーターは自分で発信数などを記録しなければならず、顧客対応以外の仕事に時間を取られてしまいます。
2.要約機能
要約機能とは、顧客対応の内容をAIなどによる音声認識機能によってテキスト化し、その要約を作成する機能です。本来、顧客対応の内容はオペレーター自身で文章にまとめシステムに投入していましたが、要約機能はその役割を肩代わりしてくれます。
AIが作成した要約は、あらかじめ定められたルールに従って作成され、その精度も高いため、オペレーターは微修正を加えるだけでシステムに投入することが可能です。AIによる要約は、学習を継続すればその精度はさらに上昇します。
レポート機能・要約機能がオペレーターの品質を底上げする
レポート機能・要約機能によって、オペレーターの負担を減らせば、顧客との対応に集中できるため、応対品質の向上を目指すことが可能です。
さらにオペレーターが後処理にかける時間が減るため、顧客の待ち時間を減らすこともできるでしょう。また、これらのシステムによって、従来は取りこぼしていた顧客ニーズ把握によるサービスや商品の改善を実現でき、企業活動に活かせるというメリットもあります。
関連記事:コールセンター向け自動要約システムの機能、メリットを解説
まとめ
コールセンターやコンタクトセンターの応対品質管理は、優良顧客の獲得や企業イメージを維持・向上するために必要不可欠です。外部・内部の双方向から評価などを行いつつ、品質向上を目指してシステムの活用などもご検討しましょう。
応対品質の向上は、ビジネスの成果拡大につながる有効な手段のため、ぜひ実践してはいかがでしょうか。
- TOPIC:
- ノウハウ