ChatGPT(チャットGPT)の日本語での使い方は?
日本語設定の有無や注意点

 2024.05.31  2024.08.26

最近、話題を集めているChatGPT(チャットGPT)は、米国生まれのテキスト生成AIサービスですが、日本語で利用できます。本記事では、ChatGPTを日本語で使うための設定方法や質問のコツなどを解説しています。「どのようにすれば使えるのかわからない」「トラブルの対処法を知りたい」といった場合には、ぜひ参考にしてください。

ChatGPTの日本語での使い方は? 日本語設定の有無や注意点

生成AIがもたらす革新と可能性

ChatGPT(チャットGPT)とは日本語対応もできる生成AI

ChatGPTとは、米国・OpenAI社が開発し、2022年11月末にリリースされたテキスト生成AIサービスです。Transformer(機械学習モデル)を基盤とした大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)であり、正式名称を「Chat Generative Pre-trained Transformer」といいます。GPTを日本語に訳すと「生成的な事前学習済みのTransformer」となり、AIでありながら、人間とのように自然なチャットができる点が特徴です。

従来のチャットツールのように用意された回答をするのではなく、ChatGPTでは質問に応じて、人間のように高度な答えを返してくれるため、画期的なAIとして世界中から大きな注目を集めています。OpenAI社の公式サイトやアプリは英語表示のみですが、ChatGPTは日本語で利用できます。

ChatGPTの仕組みや学習方法などについては以下の関連記事も参考にしてください。

ChatGPTの最新情報

2024年4月時点の最新版は「ChatGPT-4 Turbo」です。従来版としては無償で利用できるChatGPT-3.5があり、その後継として2023年3月に登場したのがChatGPT-4です。その後、ChatGPT-4が改良されてChatGPT-4 Turboとなっています。ChatGPT-4 Turboは有料プランであるPlus、Team、Enterpriseのいずれかに登録しているユーザーが利用できます。

ChatGPT-3.5に対して、ChatGPT-4 Turboでは以下の点が強化されています。

  • パラメーター数の増加
  • 回答精度の向上(日本語含む)
  • 問題解決力の向上(文章作成、コーディングや論理的推論などの能力が向上)
  • 学習データのアップデート(2023年4月までの情報に対応)
  • 文字数上限の増加(12万8,000トークンまでの長い文章(プロンプト)の入力に対応)
  • 画像認識対応(マルチモーダル)

ChatGPT-4 Turboで扱える12万8,000トークンは、OpenAI社の公式発表によれば、一般的な書籍の約300ページ分の語数に相当します。ChatGPT-4(32k/ 32k-0613)が3万2,768トークンだったことを考えると、上限数は4倍弱にまで増加しています。

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ChatGPTを日本語表示に設定変更する方法

ChatGPTの初期設定のインターフェースは英語です。インターフェースを日本語にしたい場合には設定を変更する必要があります。ただし、ChatGPTは、PCでもスマートフォンでも設定を変更することなく、日本語で質問でき、回答は日本語でなされます。

インターフェースを日本語化するには、ChatGPTにログインしてアカウント名をクリックし、Settingsを開きます。

開いた画面上にあるGeneralタブの「Locale(Alpha)」メニューから「Ja-JP」を選ぶと、インターフェースが日本語に変わります。

ChatGPTを日本語表示に設定変更する方法

2024年4月現在、設定変更はブラウザ版のみで行えます。アプリ版のインターフェースは日本語化に対応していないため、英語のままで利用することになります。

ChatGPTの日本語での使い方

日本語でChatGPTを使う方法をブラウザ版(PC)とアプリ版(スマホ)とで分けて解説します。ブラウザ版のほうが手軽に利用できるためおすすめです。

WEBブラウザ版:PCでの使用方法

ステップ①ChatGPTの公式ページにアクセスする
2024年4月からChatGPTはアカウント登録しなくても利用できるようになりました。ChatGPT-3.5であれば、ブラウザを使って公式ページにアクセスするだけで、無料で利用できます。すぐに開始したい場合には、以下のリンクからChatGPTの公式ページにアクセスしてください。

関連ページ:ChatGPT

OpenAIのアカウント登録を行えば、チャットの履歴や共有などの機能を利用できるようになります。使いたい場合は登録してください。

ステップ②質問を入力する
ChatGPTのページにアクセスすると、ページ下部に質問を入力するためのエリア(プロンプト入力欄)が用意されています。質問したい内容をこのエリアに日本語で入力します。

ステップ③送信ボタンを押す
質問を書き終わったら、プロンプト入力欄の右横の「↑」ボタンをクリックします。これで、特別な言語設定を行うことなく、回答が日本語で表示されます。

ステップ④質問を読み込んだChatGPTが回答を生成する
回答が生成されたあと、違う質問をしたり、回答に対してさらに質問して掘り下げたりすることも可能です。目的にあわせて使ってみてください。

アプリ版:スマホでの使用方法

ステップ①アプリをインストールしてログイン(アカウントがない場合は作成する)
Google Play ストアまたはApp Storeからアプリをインストールして起動します。ChatGPTをアプリで利用する場合には、OpenAIのユーザーアカウントでログインする必要があります。すでに作成済みのアカウントを使用するか、アプリを起動したタイミングでアカウントを作成して使用します。ログインしたあとに「Welcome to ChatGPT」と表示されたら「Continue」を押します。

ステップ②質問を画面下部の欄に入力して送信する
使い方はブラウザ版と同じです。ページ下部のプロンプト入力欄に質問を入力し、入力し終わったら「↑」ボタンをタッチして送信します。

アプリ版は音声入力・音声会話に対応しています。これらの音声機能を使用したい場合には、プロンプト入力欄の右横の「ヘッドホン」アイコンをタッチします。次に「Choose a voice」をタップし、好みの声を選択します。「Start speaking」と表示されたら、スマートフォンに話しかけたり、質問してみたりしてください。テキストチャットでも音声会話でも、特に設定することなく、日本語でChatGPTとやり取りできます。

ステップ③ChatGPTが回答を生成する
質問を文章で入力した場合、ChatGPTは文章で回答を生成します。音声で話しかけた場合は音声で回答します。スマホからの文字入力が面倒なときは音声入力の方が便利です。音声でやり取りした内容はテキスト化されるため、あとから文章で確認することが可能です。

ChatGPTで日本語を使用する時のコツ

ChatGPTを日本語で使いこなすためのコツとしては、(1)質問の仕方を把握する、(2)事前にデータを読み込ませてから質問する、(3)回答するためにどのような情報が必要か聞く、(4)英語に翻訳してから質問する、といったことが挙げられます。

AIへの質問の仕方を把握する

生成AIへ質問するときに特に押さえておきたいのは、下記のようなポイントです。

  • ほしい回答を明確にする
  • 回答の形式を例示する
  • AIが生成した回答に対して、さらに質問して内容を掘り下げる

ChatGPTと会話を楽しみたいというのであれば、特に気にする必要はありませんが、業務利用で信頼性の高い回答を得たいのであれば、上記を意識してください。

さらにテーマや目的、内容、背景情報、条件などを具体的に書くと、高精度な回答を得られる可能性が高まります。例えば、「文章を書いてください」や「AIとは何ですか」という指示や質問では、返ってくる回答の内容もあいまいなものになってしまいます。「500文字以内で以下の文章を箇条書きで要約してください」や「AIが得意な分野について教えてください」というように、できるだけ具体的に書くと有用な回答が得られます。

事前にデータを読み込ませてから質問する

ChatGPTは、学習したデータの範囲で回答します。学習しているのは最新情報ではなく、ChatGPT-3.5は2021年9月まで、ChatGPT-4 Turboは2023年4月までの少し古いデータです。学習範囲外のことを回答してほしい場合には、回答に必要なデータを事前に読み込ませる必要があります。例えば、学習データ外の最新情報を取り入れた記事を作成してほしい場合は、その情報を事前に教えておきます。

商品やサービスの紹介文を作ってほしい場合も同様です。商品やサービスの内容、顧客像、コンセプトなどの情報を教えてから質問すれば、より適切な紹介文を考えてくれます。

回答にどのような情報が必要か聞いてみる

質問に対する回答の精度が期待した水準に達していない場合には、ほかにどのような情報が必要なのかをChatGPTに聞いてみます。例えば、質問の最後に「よりよい回答のために追加情報が必要な場合は質問してください」と追加したり、「メールの文章を作成してほしいです。どのような情報が必要ですか?」と聞いてみたりします。そのほかにも、ユーザーに必要な明確な回答(ゴール)をChatGPT自らが生成してくれるゴールシークプロンプトというプロンプトシステムを利用する方法もあります。ゴールシークプロンプトでは、林駿甫氏が考案した「シュンスケ式プロンプト」などが有名です。

英語に翻訳してから質問する

ChatGPTは主に英語のデータで学習しているため、日本語の質問をうまく理解できず、回答の精度が落ちることがあります。このような場合、日本語を英語に翻訳してから質問すると、高精度な回答が得られる可能性があります。

まず、日本語の質問文を作成して、翻訳サイトなどで英語に翻訳し、英語の質問文をプロンプト入力欄に入力します。回答は英語で生成されるため、日本語で読むためには、もう一度翻訳する必要があります。

ChatGPTに日本語で質問する時に起きるエラーへの対処法

日本語でChatGPTを使っていると、エラーが発生する場合があります。具体的には、回答が英語表記になる、回答が遅い、回答の生成中に止まる、日本の情報で回答されないといったことです。ここでは、上記四つのエラーやトラブルへの対処法を紹介します。

回答が英語表記になる場合

日本語で質問したのに、英語で回答される場合には、あらためて「日本語で教えて」と指示すると、解決する場合があります。上述した通り、ChatGPTは日本語の質問には日本語で回答するように設計されています。ただし、何らかの理由によって英語で回答された場合には、ぜひ試してみてください。

回答が遅い場合

回答に時間がかかるというトラブルもよく発生します。この場合、日本語への翻訳に手間取っていることが理由だと考えられます。少し手間がかかりますが、先述したように質問を英語に翻訳してから入力すると、回答の生成が早くなります。それでも遅い場合には、デバイスの性能やネットワークの遅延など、システム外の問題を疑います。ハードウェアを更新したり、インターネットを高速なプランに変えたりすることも検討してください。

回答の生成中に止まる場合

ChatGPTの回答は、まとめて一気に表示されず、途切れ途切れになりながら順番に生成されます。回答の生成中は、黒い丸「●」が文章の最後に表示されているため、表示が消えるまで待つ必要があります。

ただし、「●」が点灯したままか、生成途中で消えてしまい、回答が最後まで表示されないことが稀にあります。ChatGPTでは、処理できる情報量に上限があるため、質問や回答の文章が長いと、このエラーが発生する場合があります。

「●」が点灯中の場合には、処理途中の可能性があるため、少し待ってみてください。生成途中で「●」が消えてしまった場合には再度質問するか、「Regenerate」ボタンを押してみてください。

質問が複数ある場合には分割するか、文字数の上限を指定すると止まりにくくなります。また、ChatGPTが抽象的な質問を理解できないときにも、生成中に止まる現象がよく発生します。質問はできるだけ具体的にし、「続きを答えて」などと入力すれば、解決する場合があります。

日本の情報で回答されない場合

ChatGPTは、日本語で質問すると、質問者の意図を汲み、質問者が聞きたいのは日本の話だと判断して、最適な回答を生成します。しかし稀に、日本の事例について聞きたいのに、英語圏の情報から回答を生成してくることがあります。

このエラーは、他国の情報を日本語に翻訳して回答していることから発生します。このエラーが発生した場合には「日本の場合は~」や「日本で~」などの前置きを質問文に追加すれば、解消される可能性があります。

ChatGPTを日本語で使う時の注意点

ここからは、ChatGPTを日本語で利用する際の注意点について解説します。

回答の正確性を確認する

ChatGPTでも間違った回答を生成することはあります。例えば、事実とは異なる回答をしたり、作り話を本当のことのように回答したりといったことです。回答を鵜呑みにせず、正しいかどうかを質問者自身が確認することが重要です。なお、AIが事実ではない情報を生成することを「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。会話型AIに共通する問題であり、ChatGPTも同じ問題を抱えています。

最新の情報は反映されない

戦術の通り、ChatGPTは、ある時期までの学習データから回答を生成しており、最新情報が反映されているわけではありません。ChatGPT-3.5とChatGPT-4 Turboのどちらのバージョンでも、2023年5月以降に発生した出来事について質問した場合には、正確な回答は得られません。投資やAIなどのトレンドが変わりやすい分野に関する質問に対しても正確に回答できない可能性があります。

機密情報・個人情報を入力しない

ChatGPTでは、入力された質問を学習データとして利用しています。そのため、質問(プロンプト)として機密情報や個人情報を入力すると、漏洩につながる恐れがあります。ある企業では、従業員が機密情報に該当するソースコードや社内会議の録音データを入力してしまい、問題になりました。

ChatGPTに送信されたデータは、暗号化されたうえで外部サーバーに保存されるため、保存時の安全性は高く、問題はありません。ただし、上述した通り、ChatGPTは、質問を学習データとして利用するため、ほかの質問者からの質問に対する回答として、入力した機密情報・個人情報が利用されるおそれがあります。意図せずに重要な情報が流出してしまう可能性があるため、プロンプト入力欄には機密情報や個人情報は入力しないようにします。

ChatGPTでの情報の取り扱いが気になるようであれば、設定のデータコントロールタブから学習利用しないように変更することも可能です。有料プランのTeamやEnterpriseを利用している場合には、プロンプトは学習されません。

APIでの使用は避ける

API(Application Programming Interface)とは、アプリケーションやソフトウェア、Webサービスをつなぐインターフェース(接点)のことです。APIを通じて、外部アプリケーションや外部ソフトウェアの資源を取り込んで、利用できるようにします。例えば、ネットショッピングでクレジットカード情報が入力された場合、この情報がECサイトのサーバーにそのまま残っていると、不正利用のリスクが高まってしまいます。そのため、多くのECサイトでは、カード会社のAPIを利用して決済完了の情報だけを入手して、個人情報自体を残さない仕組みを採用しています。

ChatGPTもAPIを公開しており、外部のアプリケーションやソフトウェアで利用することが可能です。ChatGPTのAPIは、利用開始時に有効期限付きの無料トライアルが付与されますが、通常利用の場合は従量制で課金されます。課金単位は「トークン」(ChatGPTにおけるテキストデータの最小単位)で、1トークンは英語なら1単語、ひらがななら1文字、漢字の場合には1文字で2~3トークンが消費されます。同じ内容を入力する場合でも、トークンの消費量は日本語の方が多くなります。日本語で利用する場合には、ChatGPT APIの使用は避けるか、英語に翻訳して質問すれば料金を抑えられます。

まとめ

ChatGPTは米国で誕生したテキスト生成AIサービスです。日本語対応が進んでおり、ブラウザ版なら設定を変更するだけで日本語のインターフェースになります。チャット機能自体は、利用するデバイスにかかわらず、設定不要で日本語でのやり取りが可能です。エラーが発生した場合などを除いて、英語で入力する必要はありません。

ChatGPTはすぐれたサービスですが、生成された回答がすべて正しいとは限りません。回答を鵜呑みにせず、事実確認を行ったうえで利用することが重要です。質問の仕方によっては回答の精度も変わってきます。ChatGPTのような生成AIを効果的に使いこなすには、コツや使いどころを押さえておく必要があります。

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