顧客満足度や従業員エンゲージメントなどの指標があることからもわかるように、ビジネスにおいて「人間の感情」へどのようにアプローチすべきは非常に大きなテーマです。
昨今、このアプローチの一助になる技術として、AIによる「感情分析」が注目を集めています。本記事では、この感情分析の概要や仕組み、ビジネスにおける活用方法などを解説します。
感情分析とは
「感情分析」とは、一般的にはAIが人間の感情や気持ちの変化などを読み取ることを指します。分析対象は文章や顔の表情、声などさまざまです。
しかし多くの方は、感情分析を、書かれた文章を読み取って「ポジティブな内容か・ネガティブな内容かを判定する分析方法のこと」と捉えています。
従来、人間の感情を読み取ることは、人間にしかできないとされてきました。しかし、近年の技術革新により、ユーザーのSNSでの投稿や商品レビュー、問い合わせ履歴など、インターネット上のテキストデータを感情値で分析することが可能になり始めています。
今後さらに分析の精度が上がれば、世間からの自社製品やサービスに対する評価を測定したり、今後のマーケティングに活用したりできると見られています。
AIが感情分析するとわかること
AIの感情分析により、顧客の意見や感情を客観的に認識することが可能になります。例えば、ECサイトのコメント欄などに、洋服を購入した顧客のレビューが投稿されたとしましょう。
このときコメント欄には多くの場合、「デザインが好き」「色合いが写真と違う」「糸がほつれてた」「発送が迅速だった」など、多種多様な感想が飛び交います。しかし、人間の担当者がここで感情分析をしようとすると、自分自身の感情や願望に引っ張られて、ポジティブ(またはネガティブ)な意見ばかりが印象に残ってしまい、他方を軽視してしまうといったことが起こりがちです。
これとは対照的に、余計な感情を持たないAIならば、ポジティブな意見とネガティブな意見を客観的かつ公平に扱えます。AIは人間とは比較にならないほど迅速に大規模なデータを分析できるので、例えば「色合いが写真と違う」というネガティブなフィードバックがコメント全体でどれだけの数あるのか抽出し、それが優先に対策すべき重大な不満点なのか、定量的なデータとして可視化することも可能です。
このように、客観的かつ大規模な感情分析をリアルタイムに行えることは、ビジネスで意思決定を行うとき非常に役立ちます。
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感情分析が発展・普及した背景
感情分析の普及は、それを行うAI技術の発展と不可分ともいえます。逆にいえば、AI活用が広まることで、一部の大企業以外でも、「感情分析を自社事業へ取り入れたい」というニーズが高まってきているのです。
AI技術が、感情分析を比較的容易に実現できるほどに発展してきた背景としては、大きく2つの理由が挙げられます。
- インターネット技術の進歩
- AI開発環境の整備
インターネット技術の進歩
まずは、通信技術などの発達により、インターネット上から自社製品・サービスに関する膨大なテキストデータを集められるようになったことです。
一般的に、「SNSへの投稿やWebサイト上のレビュー・口コミには、ユーザーの率直な意見が書かれている」と理解されています。最近では、これら膨大なレビュー・口コミデータを取り集めたり、自社への問い合わせ履歴をデータ化したりすることも、容易に行えるようになりました。
こうして効率的に収集される大量のデータが、AIの学習素材として盛んに活用されているのです。
AI開発環境の整備
また、社会全体に「機械学習における分析手法の発達」「AI活用の広まり」「クラウドサービスの登場と普及」がそろって進んだことも、大きな理由です。これらが組み合わさることで、AIの研究開発への活用をよりローコスト化する土壌が整い、感情分析の進歩にも追い風となっているのです。
感情分析をビジネスに活用するメリット
それでは、実際に感情分析をビジネスに活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、期待できる代表的なメリットを紹介します。
メリット
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1. 顧客満足度の向上
もっとも根本的な効果としては、顧客満足度の向上が挙げられます。
対応オペレーターは、顧客とコミュニケーションしている最中にも、感情分析を実行可能です。オペレーターは顧客の感情に基づいて最適なアプローチを取れるため、成約の確率を高めることにつながります。
さらにそうしたやり取りをデータ化すれば、マニュアル改訂などへもスムーズにフィードバックできます。このように、感情分析を軸とすると、顧客体験を向上させ続けられる自社環境が自然と整います。
2. 従業員のメンタルヘルスの把握
また、従業員へ感情分析を行うことも大きなメリットを生じさせます。
例えば、従業員の精神状態を的確かつ迅速に把握可能となるので、適切な指導・サポートを施しやすくなります。結果、従業員のストレスを日常的に軽減できるため、離職率低下にもつながります。
今後の展望にも期待
感情分析は新しい手法であるため、未だ統一的な活用方法があるわけではありません。つまり現時点では注目されていない効果なども十二分に秘めています。今後、新たな有用性が発見される可能性は大いにあります。それらが組み合わされば、市場全体に飛躍的な変化を及ぼすかもしれません。
感情分析の活用に向けた今後の課題
上記のように感情分析には数多くのメリットがありますが、その活用にはいくつかの課題がまだ存在することも事実です。ここでは、感情分析をさらに効果的に活用するために必要な課題について解説します。
感情分析の研究・発展
感情分析はまだ発展途上の技術です。人間同士でさえ頻繁に誤解や無理解が生じるように、AIもまた、人間の複雑な感情を完全に理解・分析する能力は持っていません。特に、皮肉や両義的な表現は、現状のAIの能力では解析が難しいとされています。
例えば、「ここの料理はまるで病院食のように健康を追求している」というコメントは、文字通りに受け取ると料理のヘルシーさを褒めているように見えますが、実際には「味気ない料理だ」という不満が言外に込められています。しかし、このように遠回しな表現から人間の感情を正確に解析することは、AIにとってはまだ難しい仕事です。
また、「料理は最高だったけど、サービスは微妙だった」など、肯定否定どちらの要素も含まれる多義的な言葉も、AIは感情の読み取りに苦戦してしまいます。
個人情報の保護
感情分析に利用されるデータや、そこから得られる顧客の感情情報は、慎重に保護すべき個人情報の一部です。特に、カメラを用いて個人の表情を分析する場合、その映像データは典型的な個人情報に当たるため、個人情報保護法で定められた取り扱い方法を遵守する必要があります。こうした個人情報の取り扱いに際しては、顧客の同意を得るなど、透明性と信頼性を確保するための対策をしなければいけません。
感情分析の種類
このようにビジネスに活用すると有用な効果をもたらす感情分析ですが、その分析対象は、テキスト(文字情報)や音声、表情、生体情報など、人間が表現したり発したりするさまざまな情報を分析対象としています。
ここでは、それぞれの感情分析がどのような仕組みで機能しているのかを解説していきます。
テキスト(文字情報)
テキストによる感情分析では、人間が入力したテキストをAIが自然言語処理し、感情を判断します。文章に含まれている単語や表現、言葉遣いを分析することで、書き手の人間がどんな感情を抱いていたのかがわかるという仕組みです。
判定できる感情の種類は開発企業やサービスによって異なりますが、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルの3通りにしか分類できないものから、好き・悲しみ・怒り・恐れ・喜びなどより細かな分類ができ、さらにその感情の度合いを数値化できるものなど、さまざまです。
AIがテキストから人間の感情を読み取れるようにするためには、はじめにベースとなる知識を学習させる必要があります。一定のデータと判断基準を覚えさせておけば、あとはAIが自らデータを収集・蓄積してくれるため、次第に分析の精度を高めていくことが可能です。
音声
音声感情分析では、人間が発する音声からその感情を判定します。話す速さや声のトーン、強弱、抑揚などをAIで解析することで、喜びや怒り、悲しみ、平常といった感情に分類します。
人間の感情表現は、言葉や文字に頼らない非言語コミュニケーションによる部分が大きいため、テキストによる感情分析では読み取れない言外の意味なども察知しやすい点が、音声感情分析の特徴です。
音声感情分析の技術は、スマートスピーカーへの応用も期待されています。現在の音声アシスタントの技術は、人間の声による指示を聞き取って動作するところまできていますが、そこに感情分析が加われば、言葉の裏にある本心に寄り添った受け答えが可能になるかもしれません。
表情
表情による感情分析では、喜怒哀楽という基本的な感情だけでなく、表情の微妙なニュアンスから、その下に隠れている本心までも読み取ることが可能です。
例えば、デジタルサイネージを目にした人の反応を広告の改善に活かしたり、商業施設などにおける来客者の満足度調査や導線の改善に役立てたりできます。
一部では、瞳孔の開き具合や目の動きなどから、本人が意識していない気持ちや思考を推定する研究も進められており、ストレスチェックや入国審査などへの活用が想定されているようです。
生体情報
人間の感情は、脳波や脈拍、発汗などの生体情報をセンサーで感知し、分析することでも推測できるとされています。例えば、ストレスや興奮状態は脈拍の上昇や発汗を引き起こすと知られています。これらの生体情報は、カメラやサーモカメラのほか、最近ではウェアラブルデバイスでも取得可能です。
脈拍や発汗などの生理的反応は自分自身でもコントロールするのが難しく、感情の機微を直接に反映していると考えられます。したがって、生体情報をテキストや音声などと組みあわせて分析することで、さらに高精度な感情分析が行えると注目されています。
感情分析の仕組み1|代表的な2つのアプローチ方法
ここからは、感情分析の仕組みについて解説していきます。まずは、感情分析にどのような手法があるかを知っておきましょう。以下では、代表的な2つの手法について解説します。
ルールベースのアプローチ
ルールベースのアプローチとは、前持って定義された一連のルールに基づいて行われる感情分析の手法です。
ルールの定義自体は、基本的に人間が手動で行います。文脈上の意味を通じて、検索者の意図を深く理解しようとするもので、セマンティックアプローチとも呼ばれます。
精度を高めるためには、単語ひとつひとつの意味や短いテキストの感情も含めて、確実に正確に判別・定義していく作業が必要です。
加えて、一文章内にポジティブとネガティブの要素が混在していたり、皮肉が含まれていたりといった曖昧な領域には注意が必要です。
機械学習によるアプローチ
機械学習によるアプローチとは、テキストの感情を抽出・判別する作業に機械学習技術を活用するものです。
過去の事例から一般的・普遍的なパターンや規則性を見つけ出し、感情を論理的に推論するという、より帰納的な方法が用いられます。
AIの場合は、最初に学習データとなる「教師データ」を与えておけば、あとは自分で学習していくので、継続的に精度を高められます。
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感情分析の仕組み2|具体的な実践方法
続いて、感情分析の具体的な実践方法について、「極性分析」と「センチメント分析」の2つを紹介します。
極性分析
極性分析は、感情分析システムで用いられる根幹的な分析方法です。テキストで寄せられた意見を分析し、以下の3つに分類します。
- ポジティブ
- ネガティブ
- ニュートラル
これを実行する際はまず、「どのような言い回しや単語、表現を含むテキストなら、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルと評価するか」を定義しておきます。次に、それに照らし合わせて、テキスト全体の極性をスコア化します。
書類レベルや文章レベルで、それぞれのスコア化も可能です。
さらにそのワンランク上に位置づけられる「エンティティ/アスペクトレベル」では、より高度で複雑な分析を行います。すなわち、段落や文章ごとにスコア化するのではなく、「文章全体」を対象として主たる意味内容を直接見つけ出します。
センチメント分析
センチメント分析は、ソーシャルメディアの投稿やブログ記事といったインターネット上のテキストから、対象者が表現している感情を解析するテクニックです。SNSに圧倒的な量の情報が流れる中、AIや機械学習が進展したことから、センチメント分析の有効性と重要性がいまや広く認知されつつあります。
このプロセスにおいて中心的な役割を果たすのが、自然言語処理(NLP)というテクノロジーです。これは人間が使う日常の語を理解し、解析するために活用されるAIの機能です。特にセンチメント分析では、テキストから人々の感情が「肯定的」、「否定的」、「中立的」のどれに属するかを特定するために役立ちます。
自然言語処理の利用によって可能となるのは、「好き」や「嫌い」などの単語だけでなく、全体的な文脈、表現の特徴、微妙なニュアンスなども考慮に入れて、感情を特定することです。結果的に、大規模なテキストデータから感情を自動的に抽出し、そのトレンドを解析することもできるようになります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
センチメント分析とは?実際の活用例を紹介
https://www.cloud-contactcenter.jp/blog/examples-of-sentiment-analysis.html
自然言語の感情分析を試す方法
自然言語を手掛かりに感情分析を行うと説明されても、イメージしにくいという方もいるかもしれません。しかし、感情分析は案外簡単に試せるので、本格的にビジネスで導入する前に、まずは体験してみることをおすすめします。自然言語の感情分析を試す方法としては、感情極性辞書または既存のAPIを使うことが挙げられます。
感情極性辞書を使ってみる
ひとつめの方法は、感情極性辞書を使ってみることです。感情極性辞書とは、言葉それぞれが持つ感情の「極性」、つまりその言葉がポジティブな感情を表現しているのか、ネガティブな感情を表現しているのかを示す辞書です。この辞書を用いることで、分析対象のテキストが全体的にポジティブなのかネガティブなのかを判断できます。
日本語の感情極性辞書も公開されており、それを使って自分でテキストの極性分析を行うことが可能です。これにより、感情分析がどのようなロジックで動作しているか、どの程度の精度があるのかを体感できます。
既存のAPIやサービスを使ってみる
第二の方法は、既存のAPIやサービスを利用する方法です。市場にはすでにテキストを入力するだけで感情分析を行ってくれるツールもあるので、専門的な知識がない人でも簡単に体験できます。
多くの企業や研究機関が提供している感情分析のAPIやサービスを使ってみれば、テキストデータから感情を読み取るという作業がどのように行われ、その結果がどのように出力されるのかを実際に見ることができます。
感情分析の活用例
ここまで、感情分析の概要や分析対象の種類、仕組みについて説明してきました。では、実際に感情分析はどのような場面で活用されているのでしょうか。
現在、AIによる感情分析技術は、スマホアプリの開発や広告業界、教育業界、ヘルスケア業界、ゲーム業界などにおいてすでに導入が進められています。
例えばゲームの分野では、AIがプレイヤーの表情から特定の感情を検出し、それに応じてゲームの難易度を変化させるような使い方がされています。それにより、プレイヤーはよりパーソナライズなゲーム体験ができるのです。
教育分野における感情分析の事例としては、MITメディアラボが開発したソーシャルロボット「Tega」があります。Tegaは、感情分析AIを搭載した学習用のソーシャルロボットで、センサーによって子供の感情を読み取り、それに応じて反応を変化させることができます。子供の感情に合わせたアプローチができるため、一人ひとりに最適化された方法で読み書きをサポートできます。さらに、感情分析によるアプローチを行わない学習ロボットよりも、ポジティブな感情を維持しながら子供の学習を促すことが可能となりました。
参照:https://www.affectiva.jp/affectiva-topics/tega
感情分析のビジネスへの活用方法
読者の中には、感情分析がビジネスでどのように活用できるのか気になる方もいるでしょう。
ここからは、感情分析をビジネスで活用する方法を紹介します。具体的には以下のような方法があります。
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自社製品に対する有用なフィードバックの収集
前述したような感情分析については、AIを搭載した専用ツールが盛んに用いられるようになっており、それらのツールはSNS・ブログ・掲示板・ニュースサイトなども分析対象としています。
中には、「いいね」や笑顔マークや拍手などの「絵文字リアクション」もポジティブな評価として認識できるツールも存在します。これらのツールを用いることで、感情的要素を漏れなく分析可能です。自社製品に対する有用なフィードバックが日夜収集される環境が整うでしょう。
最新トレンドの収集
さらに、SNSでのつぶやきやネット上で繰り広げられる会話をリアルタイムでチェックし続けることにより、これから流行する可能性の高いトピックまで特定できます。この効果を活かせれば、他社に先んじた新規ビジネスの開拓などにも着実につながるでしょう。
競合分析
競合他社の評価まで含めて収集すれば、業界内での自社のポジションの明確化や、他社の優れた事例を参考にするなど、幅広くマーケティング戦略設計を具体化可能です。
商品・サービスの素早い改善対応
そして、ネガティブ感情の収集も重要です。これらの感情の要因まで掘り下げて分析することで、非常にスムーズで適切な改善策立案につながります。また、いわゆる炎上のように、自社への低い評価が蔓延することを阻止するためには、早期対応が重要です。この早期対応には、ネガティブ感情を早めに発見・分析することが欠かせません。
事故防止
ドライバーの感情分析を通じた事故防止も期待される活用例です。運転中のドライバーの表情や行動を分析し、ストレスや眠気、イライラなどの感情を検出することで事故リスクを事前に把握し、対策を講じることが可能となります。例えば、運転中の眠気を検出したら、ドライバーに休憩を促す警告を出すなどです。このように感情分析を通じてドライバーの安全を確保し、事故を未然に防ぐ取り組みが進んでいます。
教育活動の補助
感情分析は教育活動の補助にも有用です。例えば、学習者の表情を分析することで、学習が順調に進んでいるか否か把握し、個々の学習状況にあわせてタイムリーにサポートできます。具体的には、学習者が困惑している表情を示した場合、その部分の説明を再度行うなどです。また、感情分析によって強いストレス反応を示している生徒を把握することで、いじめなどのトラブルの早期発見も期待されます。
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コンタクトセンターの感情分析の活用例
コンタクトセンターは、企業と顧客との直接的な接点となる重要な部門です。現代のコンタクトセンターは電話以外にも、メール・チャットなどさまざまなチャンネルを通じて、顧客と密にコミュニケーションしています。
こうした現場においても感情分析技術は活用されています。ここからは、「コンタクトセンターにおいて、どんな感情分析技術が活用されているのか」について、具体例を確認していきましょう。
AIによる「感情認識」
まず挙げられるのが、AIによる「感情認識」です。これは、オペレーター・顧客の会話を分析することで、双方の感情を分析する技術です。
活用例1
例えば、会話している顧客の感情や心理状態を、その声から分析してオペレーターに適宜提示します。これによりオペレーターは、より適切な語彙を選択したり、声のトーンを調整したりすることが可能となります。
活用例2
また会話音声はデータとしてスーパーバイザーのもとに集められつつ、さらなる音声分析を施されることも多いでしょう。こうしたデータは、マーケティングへの活用以外にも、例えばオペレーターへのコーチングなどに役立てられます。
活用例3
ほかにも、トークスクリプトやマニュアルの作成・改定に応用されることも多いでしょう。例えば、「ある商品のある箇所について、多くの顧客が不満を抱えたトーンで話している」という分析結果が得られているなら、特定のクレームが今後も増加することが予測されます。これにより、その対応方法を早めにマニュアル化しておく、などの対処が可能となります。
活用例4
またAIは、音声だけではなく、表情から感情を認識することも可能です。例えば、対応中のオペレーターの顔を分析し「強いストレスが溜まっていないか」を常時モニタリングする、といった環境も実現します。
これにより、各オペレーターがストレスを溜め込んでしまう前に、早めにリフレッシュしてもらうなど、スムーズな対処が可能となります。
音声アシスタント
次に「音声アシスタント」も代表的な機能です。オペレーターが個々の顧客に最適な対応ができるよう、音声を通してサポートしてくれます。
会話を適宜モニタリングしながら、適切な話し方や声のトーン、会話を中断するタイミングなどをオペレーターに提案します。もしライブチャットなどの動画を通じたコミュニケーションを行っているのなら、顧客の表情分析も可能でしょう。
基本的には、過去の膨大なデータとして蓄積されている「オペレーターと顧客との会話内容」を基にすることで、現在のシチュエーションに最適なアシスタント内容を導き出しています。
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このように、コンタクトセンターの現場に積極的に感情分析を導入することで、オペレーターの負担を大きく低減できます。これによって、オペレーターのモチベーションを高く保てるでしょう。
オペレーター自身のモチベーション向上は、業務改善・業務効率化を経て、結果的には顧客満足度の向上につながっていきます。ぜひ、現代のAI技術を存分に活かした感情分析技術の導入を検討してみてください。
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まとめ
この記事では、感情分析の概要や分析方法、導入メリット、そしてビジネスにおける具体的な活用法などを解説しました。感情分析は、人間の複雑な感情を自動で読み取り、分析するAI技術の一種です。
感情分析は多様な業界での活用が期待される一方で、皮肉や多義的な言葉の解析の難しさ、個人情報保護に関する課題なども存在します。しかしながら、人間の感情を深く理解し、そこから意思決定に有益な情報を引き出す力は、ビジネスで成功するための重要な要素であることは間違いありません。感情分析は、今後AIの活用がさらに進んでいく中でも大きな効果が期待される分野のひとつです。
Bell Cloud+は、コールセンター業務のノウハウを集約したクラウド型サービスです。AIによる感情分析機能やチャットボットによる自動応答機能など、コンタクトセンターの業務効率化に欠かせない機能を多数有しています。この機会にぜひ導入し、コンタクトセンターの対応品質や顧客満足度の向上へ活用してみてはいかがでしょうか。
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