デジタル化社会である昨今では、多くの企業がデジタルへのシフトを進めています。業務やビジネスのデジタル化によって、業務効率化や生産性の向上、情報の一元管理などさまざまなメリットが得られます。本記事では、デジタル化の意味や似た言葉との違い、具体的な進め方などについて解説します。
デジタル化とは
デジタル化とは、デジタル技術の活用による新たなビジネスモデルの創造や、業務効率化などを実現することです。たとえば、これまで紙を用いて行っていた稟議をワークフローシステムで行うようにしたり、文書の電子化を進めてペーパーレスを実現したり、といった取り組みが挙げられます。
日本社会におけるデジタル化は急速に進んでいます。誰もがスマートフォンやパソコンを所持するようになり、デジタル技術も身近なものとなりました。このようなデジタル社会に対応するためにも、企業にはデジタル化が求められています。
デジタル化と似た言葉との違い
デジタル化と似た言葉に、「DX」「電子化」「IT化」などが挙げられます。どれもデジタル技術と切り離せないものではあるものの、意味がやや異なるため注意が必要です。
デジタル化とDXとの違い
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、さまざまなデジタル技術の活用によって、従来における業務の取り組み方を改善したり、新たなビジネスモデルを生み出したりすることです。
デジタル化との違いは、取り組みの規模や範囲です。一般的に、デジタル化はある特定の部分にデジタル技術を採用することを指します。たとえば、定型業務を自動化するためにRPAを導入する、といった具合です。
一方、DXはデジタル技術の活用によるビジネス全体の変革を目指します。つまり、デジタル化の先にDXがある、と考えるとわかりやすいかもしれません。
デジタル化と電子化との違い
ビジネスにおける電子化とは、紙媒体の電子データ化を指します。たとえば、保管している資料や契約書などをスキャンして電子データ化する、紙の請求書を廃止して請求データをオンラインで送る、といったケースが該当します。
電子化は、あくまで紙媒体を電子データ化することです。一方、デジタル化はデジタル技術を採用することで、業務効率化や生産性の向上などを狙います。ここが両者における大きな違いです。
デジタル化とIT化との違い
IT化とは、情報技術を活用して業務効率化などを実現することです。たとえば、これまでミーティングで情報共有・伝達などを行っていたところをビジネスチャットに変えたり、報告書で管理していたプロジェクトの管理をツールで行うようにしたり、といった事例が挙げられます。
デジタル化を実現するための手段がIT化です。必要に応じたITツールやシステムの導入によってデジタル化が実現し、その結果、業務効率化や生産性の向上につながります。
デジタル化のメリット
デジタル化の主なメリットとして、業務効率化の実現が挙げられます。また、テレワークをはじめとした多様な働き方への対応が可能となるほか、社内の情報を一元化して管理できる環境も整います。
業務を効率化できる
これまでアナログな手法で取り組んでいた業務をデジタル化することで、業務効率化につながります。たとえば、Web会議システムを導入すれば、わざわざ従業員が会議室に集まる必要がなくなり、移動のロスなどを削減できます。また、支社の従業員も参加できるため効率的です。
業務効率化によってコスト削減も期待できます。効率的に業務を遂行できる環境が構築できれば、今までより少ない人員で業務に取り組めるため、人件費の削減が可能です。さらに従業員への負担も軽減されるため、業務品質の向上も実現します。
多様な働き方への対応ができる
日本における少子高齢化は、今や深刻な社会問題となっています。今後、労働人口はますます減少すると見られているため、多くの企業が人材不足に陥るおそれがあります。
このような状況でも従来と同じ、もしくはそれ以上の生産性を実現するには、新たな人材活用の方策が必要です。デジタル化に取り組み、テレワークで働ける環境と体制を構築できれば、事情があって自宅を離れられない人や、働きたくても親の介護で働けない人などを戦力として確保できます。
情報を管理しやすくなる
デジタル化によって、社内の情報を一元的に管理できるようになり、従来以上にビジネスへ活用しやすくなるメリットがあります。システムがサイロ化し、さまざまな情報が社内に散在しているケースでは、必要なときに求める情報をなかなか取得できない、といったことも少なくありませんでした。
デジタル化により一元的な情報管理が可能となれば、従業員はスムーズに求める情報へアクセスできます。また、顧客のデータを1箇所に集めて分析し、マーケティングやプロモーションに活かすといったことも可能になるでしょう。
デジタル化の進め方
やみくもにデジタル化を進めようとすると、失敗してしまうおそれがあります。まずは目的や課題を明らかにし、そのうえでツールの選定と導入を進めましょう。また、導入したらそれでお終いではなく、効果検証もしなくてはなりません。
目的と課題を明らかにする
デジタル化は、まず現状把握から始めていきます。現状においてどのような課題があるのか、何を実現したいのかなどを明らかにしましょう。目的や課題によって導入すべきツールやシステムが違ってくるため、最初にして重要なプロセスです。
一度、業務全体に目を向け、どのような課題があるのかチェックしてみましょう。洗い出した課題の中から、デジタル化で解決できるものを絞り込みます。洗い出した課題の中には、デジタル化以外の方法で解決できるものが紛れている可能性もあります。
ツールの選定と導入を行う
目的の達成や課題の解決に適したツールを選定します。課題の重要度や緊急度などを踏まえて、優先順位を決めたうえで選定と導入を進めるとよいでしょう。
ツール選定時には、実際に使用する従業員のITリテラシーも考慮する必要があります。ITリテラシーが低い従業員しかいないのに、操作が難しいツールやシステムを導入してしまうと、運用までに相当な時間を要するかもしれません。操作性や既存システムとの連携性なども考え、自社にマッチしたシステムを選びましょう。
効果を測定し改善する
ツールやシステムを導入したらお終いではありません。ツールやシステムを導入して運用を始めたあとは、効果測定をきちんと行いましょう。効果測定を行わないと、ツール導入によってどの程度の効果が表れているかがわかりません。成果を把握するためにも、効果測定は必要なプロセスです。
ツールを導入したにもかかわらず、業務効率化の効果が表れていないのなら、どこかしらに問題があるのかもしれません。何が問題なのかを把握したうえで改善し、再び検証といった具合に、PDCAサイクルを回しつつブラッシュアップしていきましょう。
デジタル化の注意点
デジタル化の注意点として、まず高額な初期費用が発生する可能性が挙げられます。高額なシステムやツールを導入するとなれば、必然的にコストがかさみます。また、ITやデジタルの知識に精通した人材も必要です。
加えて、デジタル化の影響を受けるのは現場の従業員であるため、きちんと理解を得なくてはなりません。このプロセスを飛ばしてしまうと、従業員の反感を買うおそれがあるため注意が必要です。
そして、デジタル化が進むほどセキュリティ対策に力を入れなくてはなりません。ツールやシステムのセキュリティ対策はもちろんのこと、従業員のセキュリティリテラシーを高める取り組みも求められます。
[SMART_CONTENT]
まとめ
デジタル化によって、新たなサービスやビジネスモデルの創出が可能です。電子化やDX、IT化など似た言葉がありますが、それぞれ意味が異なるため注意しましょう。適切なデジタル化への取り組みによって、業務効率化や生産性の向上、多様な働き方が実現します。
なお、デジタル化したからといって、必ずしも自社の利益がアップするとは限りません。デジタル時代にマッチしたアプローチこそ、現代社会で利益を伸ばす秘訣です。多様化する顧客接点を活用することで、さらなる成長と発展を見込めるでしょう。詳しくは、下記資料をご覧ください。
この記事の推奨者
- TOPIC:
- ノウハウ
- 関連キーワード:
- 業務改善・高度化