サポートデスクとは? 設置メリットや効果的な運営のポイントを解説

 2022.06.30  2024.09.01

サポートデスクの導入は、サービス品質の向上や人件費削減など、さまざまなメリットを企業にもたらします。メリットを得る目的で導入を検討しているのなら、担当者に求められるスキルや運用のポイントを把握しておきましょう。本記事では、サポートデスクの概要や設置するメリット、効果的な運用のポイントを解説します。

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サポートデスクとは? ヘルプデスクやサービスデスクと呼ばれることも

サポートデスクとは、社内外から寄せられる問い合わせに対応する窓口です。社内なら、システムがうまく作動しない、ツールの使い方を知りたい、といった内容が考えられ、社外であれば顧客からのクレームや、製品に関する問い合わせなどが該当します。

企業によって呼び方はさまざまで、サービスデスクやヘルプデスクと呼ばれることもあります。業務内容に大きな違いはありませんが、サービスデスクの場合、情報発信やリサーチなどを担うことがあります。

また、サービスデスクは対応業務の領域が広く、ひとつの窓口であらゆる問題の解決を図るケースが多く見受けられます。一方のヘルプデスクやサポートデスクは、すべての問い合わせに対応することは少なく、引き継いだ専門部署から社員や顧客に折り返し連絡を入れることがあります。

細かい違いはあるものの、社員や顧客からの疑問や悩みを解決する窓口であることに変わりはありません。当記事でもほぼ同じ意味として取り扱います。

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サポートデスクと社内SEの違い

社内SEは、社内業務で使用するシステム開発や構築、運用などに携わる職種です。ITを用いて効率的に業務を遂行できるよう、仕組みを構築する役割を担います。

企業によっては、社内SEがサポートデスクの役割を担うケースもあります。特に人材が限られている中小企業においては、社内SEがサポートデスク業務を兼務することは珍しくありません。

サポートデスクと社内SEでは、対応領域が異なります。社内SEは、システムの企画や導入、運用、ベンダーとの調整、保守など、より技術的な部分のサポートを得意とします。そのため、システムの不具合が生じた、といった問い合わせに対しても、具体的な解決策をその場で提示できるのです。

一方、サポートデスクは社内のIT活用に関する質問や、顧客からのトラブル相談などへの対応がメインです。難易度の高い技術的な質問はその場で解決できないことが多く、専門の部署に引き継ぎます。

サポートデスクとコンタクトセンターの違い

サポートデスクは、システムに生じた不具合の解決方法や製品の使い方、トラブルなどのサポートが主な業務です。コンタクトセンターに比べてサポートの領域が限定的であるほか、基本的に聞かれたことにのみ答えます。

コンタクトセンターとは、電話やメール、SNS、Webサイトなどさまざまなチャネルからの問い合わせに対応する窓口です。サポートデスクに比べて業務領域が広く、問い合わせ対応に限らず顧客の行動履歴や属性情報をもとに新商品を紹介する、別のプランを提案するといったことも行います。このように、コンタクトセンターはアップセル、クロスセルといった営業担当としての役割を担うことも多いのです。聞かれたことにその場で答えるだけでなく、利益拡大のためのアクションも起こします。また、顧客から寄せられたクレームや意見、感想などをレポートにまとめて提出し、今後の商品開発やサービスの改善につなげる役割も担います。

サポートデスクを設置するメリット

サポートデスクを設置するメリットとして、サービスの向上や社員の負担軽減、人件費の削減などが挙げられます。そもそも専門のサポートデスクがないと、技術職である社内SEにその都度連絡が入り、顧客対応の品質を担保しにくいなど、本来の業務に支障をきたすおそれがあります。サポートデスクの設置メリットを以下に詳しく解説します。

サービスの向上

問い合わせ対応専門の窓口であるため、顧客から寄せられた質問や相談にスムーズな対応ができます。そのため、サポートデスクによってサービスが向上するメリットを期待できます。

スムーズに悩みを解決できれば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。対応した社員はもちろん、組織そのものの評判がよくなる可能性もあります。今まで自社商品やサービスを一度しか購入したことがない顧客が、満足度の向上に伴いファン化、リピーター化してくれるかもしれません。

また、顧客から寄せられるクレームや問い合わせ内容を蓄積し、分析すれば今まで見えていなかった課題が明らかになる可能性があります。顧客が感じている課題を抽出、分析すれば改善のヒントを得られ、より品質の高い商品やサービスの開発にもつながります。

一方、サポートデスクを設置していないと、専門窓口がないため、問い合わせが入ってもどの部署へ回せばよいのかもわからず、顧客にストレスを与えてしまうおそれもあります。最悪の場合、不信感を抱いた優良顧客が離れてしまう、といったおそれも考えられます。

属人化の回避で特定社員の負担減

専用のサポートデスクを開設し、日々問い合わせ対応をしていれば、自然とナレッジが蓄積されます。ナレッジを蓄積できるしくみや体制を構築すればマニュアルを作成できます。対応の方法や、製品の操作手順などをわかりやすくまとめたマニュアルを作成すれば、誰でも同じ対応ができます。

また、よくある質問と回答をFAQとして整理し、自社サイトなどへ掲載すれば、顧客は自ら回答を見つけることができます。その結果、問い合わせ件数そのものを減らせ、社員の負担も軽減します。社内からの問い合わせに対しても、対応時にFAQをモニターに展開すれば、内容を確認しつつ誰でも適切な対応が可能です。

サポートデスクがなく個々の社員が対応するケースでは、ナレッジを蓄積できません。そのため、回答できる特定の社員にばかり負担が集中してしまう、属人化が発生する、という問題が起きてしまいます。

窓口対応専門でもないのに負担が一か所に集中してしまうと、本来の業務を遂行できません。負担ばかりが増加し、自分の仕事は進まないため残業をしなくてはならない状況に陥る可能性もあります。このような状況が続くと、過度なストレスが原因で離職してしまうかもしれません。

人件費の削減

人件費の削減につながるのもメリットです。専門の窓口を設置せず、各々の社員が対応を行うケースでは、情報を整理するだけでも手間がかかります。問い合わせの内容を記録し、あとからそれを整理する作業もあるため、余計なコストが発生します。

サポートデスクを設置すれば、情報を一箇所に集約できます。ひとつの部署に集まった情報を一元管理でき、人件費の削減や時間節約につながります。

また、教育コストを削減できるメリットもあります。社内や顧客からの問い合わせに対し、回答するノウハウも蓄積できるためです。ノウハウをマニュアルに整理して共有すれば、わざわざ個別に教育を行う手間が省けます。

サポートデスクの人材に必要なスキル

サポートデスクを設置するには、担当する人材を用意しなくてはなりません。人材は誰でもよいわけではなく、業務に適したスキルを有している必要があります。

コミュニケーション能力

サポートデスクには、高度なコミュニケーション能力をもつ人材が必要です。問い合わせ対応の窓口として直接的なやり取りを行うため、円滑なコミュニケーションを取らなくてはなりません。

ベストな答えを提供するためにも、コミュニケーション能力が求められます。非対面の音声通話では、相手の真意や悩みの本質を理解できないケースが少なくありません。このようなとき、相手に寄り添いながらコミュニケーションをとることで真意をくみ取り、そこから適切な回答を導き出せます。

また、サポートデスクには、ときに顧客から理不尽なクレームが寄せられることもあります。コミュニケーション能力がなければ、うまく対応できず余計に相手を怒らせてしまうかもしれません。そのときどきの状況に合わせ、冷静かつ臨機応変に対応できるコミュニケーション能力が必要です。

なお注意したいのは、コミュニケーション能力が高い=適切に対応できる、ではないということです。顧客と直接的な接点をもつサポートデスク担当者は、いわば組織の顔です。そのため、基本的なビジネスマナーや正しい言葉遣いはマスターしておかねばなりません。

システムや商品・サービスの知識

システムや商品、サービスに関する知識を求められるケースは多々あります。難易度が高すぎる場合には、担当部署へ引き継ぐ必要がありますが、基本的にはサポートデスクで解決を試みます。そのため、自社のシステムや扱う商品、サービスに関する専門的な知識を身につけておかねばなりません。

これに関しては、マネジメント側が覚えるべき内容や範囲をきちんと伝えてあげることが大切です。そうでないと、個々で身につけている知識に差が生じてしまい、業務の属人化にもつながりかねません。

また、そもそも商品やサービスに関心がないと、専門的な知識もなかなか身につかないでしょう。自発的に関心を抱いてくれるまで待つのは非効率であるため、マネジメント担当には何かしらの工夫が求められます。商品やサービスに関心を抱き、積極的に新たな情報をキャッチアップするようになれば、対応できる領域が拡大し部門全体のスキル底上げにつながります。

スケジュールや時間の調整力

社内サポートデスクの場合、スケジュールや時間の調整力が求められます。部門間における情報のやり取りを仲介するケースがあるためです。たとえば、営業部門から技術的かつ難易度の高い問い合わせがあったとき、サポートデスクの担当者は開発部門や保守部門などに情報を伝えなくてはなりません。直接部署へ足を運ぶ必要があるときは、双方のスケジュールや時間を調整する必要があります。

この調整がうまくできないと、双方の部門に迷惑をかけてしまいます。たとえば、状況を改善するためにシステム開発部門の担当者が営業部門へ訪れたにも拘らず、事情を知る責任者が会議に出席していた、といったことが起こりえるのです。

このようなことが起きないよう、双方の状況を正確に把握したうえで全体的な視点からスケジュールを調整しなくてはなりません。

サポートデスクの主な課題と効果的な運営のポイント

本来対応不要な問い合わせが何度も寄せられ時間を取られている、リテラシーの低い質問者への対応に苦慮しているなど、サポートデスクならではの課題があります。ただ、これらの課題は工夫次第で解決可能です。

ポイント1 自己解決を増やすにはFAQやチャットボットを活用

製品のマニュアルやFAQの整備により、わざわざ問い合わせずとも自己解決してもらう不効果が期待できます。ただ、企業によっては、マニュアルやFAQを整備しているにも拘らず、依然としてたくさんの問い合わせが寄せられてしまう、といった課題を抱えるケースもあります。

FAQを実装しているのなら、導線設計を見直してみましょう。質問者が、FAQへきちんとアクセスできる導線設計ができているでしょうか。わかりにくい場所にFAQのリンクを設置している、リンクが小さくて見えづらい、といったことも考えられるため、見直したうえで改善を図りましょう。

導線が問題なのではなく、FAQのコンテンツに問題があるのかもしれません。質問者の求める回答が用意されていない、そもそもよくある質問として扱われていない、といったケースです。今一度、よくある質問を整理したうえでFAQに反映させましょう。

チャットボットの活用も、自己解決を増やすのに有効です。質問者は、求める情報を自らスピーディーに取得できるため、顧客満足度の向上にもつながります。

ポイント2 リテラシーの低い質問者でも理解できる回答を用意

リテラシーとは、物事を理解する力や応用力のことを指します。リテラシーの低い質問者の場合、適切な回答をしても理解できない場合があります。そのため、このような質問者にもきちんと伝わる回答を用意しなくてはなりません。

専門用語が多すぎると、質問者が理解できない場合があるため、なるべく使わないよう心がけましょう。FAQやマニュアルでも、専門用語はできるだけ控え、シンプルかつわかりやすい文章を使うことが求められます。

反対に、サポートデスク担当者が、質問内容を理解できないこともあります。人によっては、論理的に物事を説明できず、適切な回答を行えないケースが考えられます。

このような場合には、サポートデスク担当者が話の前後から大筋を掴み、うまく誘導してあげることも大切です。そのためには高度なコミュニケーション能力が求められることを理解しておきましょう。

ポイント3 回答までの時間短縮にはナレッジ共有とインシデント管理

サポートデスクには、電話やメール、チャット、SNSなどさまざまなチャネルから問い合わせが寄せられます。そのため、回答までに時間がかかってしまう、といったケースが少なくありません。

回答そのものに時間をかけすぎてしまうと、相手に迷惑がかかる可能性があります。たとえば、社内からシステム不具合の問い合わせがあった場合、時間をかけすぎてしまうと業務に必要なシステムが停止してしまい、業務そのものがストップしてしまうかもしれません。

また、あまりにも長い時間顧客を待たせた結果、クレームに発展し信頼を失ってしまうおそれもあります。信頼は築くのに多くの時間を要しますが、失うのは一瞬です。このようなリスクを避けるべく、ナレッジ共有やインシデント管理を徹底しましょう。

発生したトラブルと解決した方法を、インシデントとして登録しておけば、今後同じことが起きたときスムーズな対応が可能です。インシデントとして登録しただけでは不十分なので、ナレッジとしてサポートデスク全体で共有する必要があります。

また、解決に要した時間も記録、管理しておきましょう。解決にいたった時間を記録しておけば、同じトラブルが起きたとき目安の時間を相手に伝えられます。前もって時間を伝えておくことで、クレームやより大きなトラブルの発生を回避できるでしょう。

ポイント4 問い合わせ内容が幅広い場合は対応範囲を明確化

問い合わせ内容が幅広い場合、担当者が蓄えるべき知識も広範に渡ります。個々の負担が大きくなるのはもちろん、知識の習得が進まず対応に問題が出るおそれもあります。

この問題を解決するには、対応範囲の明確化が有効です。どこまで対応するのかをきちんと明確にしておけば、担当者の負担も軽減できるでしょう。

雑務やクレームなど、対応範囲外の問い合わせが寄せられたときは、毅然とした対応をとりましょう。対応できないことはできないと伝え、必要に応じて関係する部門へ引き継ぎを行います。

対応範囲が明確でないと、寄せられたすべての問い合わせに対応しようとしてしまいます。これでは、業務が非効率になり生産性も低下してしまうため注意が必要です。

まとめ

サポートデスクを設置すれば、サービス品質が向上し顧客満足度を高められ、人件費の削減や社員の負担軽減にもつながります。設置を検討しているのなら、担当者に求められるスキルも理解したうえで取り組みを進めるとよいでしょう。
「ベルシステム24」は、コンタクトセンターのソリューションサービスを展開しており、幅広いコンサルティングサービスも提供しています。要望に合わせた多様なプランを提案できるため、成果につながる問い合わせ窓口の設置を考えている企業に適しています。

この記事の推奨者

野瀬 裕
野瀬 裕
2002年に当社入社。国内外の流通・製造・金融大手企業などの幅広い業界で営業責任者、2017年よりオペレーション組織責任者としてBPO事業運営を担う傍ら、新規事業開発としてスタートアップへの出資や資本業務提携に従事。ソニーコンピュータサイエンス研究所との共同事業であるイノベーション&コミュニケーション サイエンス研究所を経て、現在はソリューションセールス部門及びソリューション企画推進部門の責任者。
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