コンタクトセンターにおいてオペレーターの人材育成は、さまざまな効果を享受するために行わなければならない必須業務です。本記事では、オペレーターを育成する重要性や育成する際のポイントについて解説していきます。どのような点に注意して育成していくべきか、参考にしてみてください。
コンタクトセンターにおいてオペレーターを育成する重要性
オペレーターは企業の顔です。その対応によって顧客満足度にも影響を与えるため、しっかりと育成することが求められます。
本来、コンタクトセンターには、問い合わせ応対の中から何を顧客が求めているのか探し出し、必要によってはマーケティング部など多部署に報告・改善を促していく役割をもちます。しかし、オペレーターの中には顧客が望む提案を示せないばかりか、話し方が早すぎるなど適切に応対できていない人もいるでしょう。
このような状態では、企業に悪いイメージが定着し、顧客離れを招く恐れがあります。顧客満足度が低いと、顧客との間に信頼関係が築けず、それがもとになって大きなトラブルに発展してしまう恐れもあるのです。
このような問題を避けるためには、オペレーターの人材育成をしっかり行い、顧客に満足してもらえる業務を遂行していくことが重要です。
コンタクトセンターの応対品質を高めるためには、新人の育成も必要です。最初は上手く対応できないことばかりなのは当たり前ですが、だからといって何の教育も施さないまま現場に出していると、顧客からのクレームを発生させることにもつながりかねません。そのため、事前に個人のレベルに合わせた研修などの学びの場を設け、しっかり指導を行いましょう。
コンタクトセンターにおけるオペレーターの育成ポイント
オペレーターを育成する際は、ポイントを押さえながら行うことが肝心です。ここからは、どのような教育を行っていくべきかについて、8つの例を挙げます。
計画をたてる
業務にはどうしてもオペレーターごとに差が生じます。それは年齢や性格、個人のスキルなどによるためで、全員がまったく同じ業務レベルを遂行することは叶わないでしょう。けれども、その差を少なくするような対策を立てることはできます。そのためには、オペレーター全員で行う研修のほかにも、一人ひとりに合った育成計画を作成することが大切です。
育成計画をたてる際は、オペレーター個人の向き不向きをしっかり捉えつつ、「いつまでに何をできるようにするのか」といった目標をたてます。設定期限は3ヶ月を目安とするといいでしょう。あまりにも長いと、達成感が得られにくく、段階を踏んで成長していることも分かりません。「何をできるようにするのか」の部分には、できるだけ具体性をもたせていくことがポイントになります。漠然としたものでは、目標がぼやけてしまい、効果は半減してしまいます。
本人のやる気も高まるため、計画はオペレーターを含めてたてることをおすすめします。個人面談などを行いつつ、計画を作成するとよいでしょう。
ベンチマークを設定する
ベンチマーキングとは、基本的に企業の問題を解決に導くための手法で、他社と比較して劣っている点を改善するために行われます。この考え方をもとにして、高いレベルに達しているオペレーターを選出(ベンチマーク)し、その人物の業務レベルに近づくことを目的として教育していきます。育成が終わった後の結果を数値で表し、どの程度設定したベンチマークに達しているかを判断します。
ベンチマークを満たすオペレーターを増やしていくことで、コンタクトセンター全体の応対品質を一定に揃えられる効果があります。それにより、どのオペレーターが電話を受けても、同程度の満足感を顧客に与えられるようになるでしょう。その結果、顧客満足度の向上に期待できます。
また、ベンチマークの対象を他社のコールセンターに置いてもいいでしょう。自社にはない強みや、反対に他社よりも優れている点などが浮き彫りになり、目標を設定しやすくなります。
働きやすい環境をつくる
オペレーターは離職率の高い職業です。顧客対応はもとより、業務には一定の能力が必要となるため、思うような応対ができないときなどには、自信喪失からくるストレスに苛まれやすくなるものです。このような状況では、ますます適切な顧客応対もできなくなり、顧客満足度も下がってしまいます。
気になるオペレーターがいるようなら、細かなフォローができる体制を整えるなど、働きやすい環境をつくることが大切です。職場環境が悪いと、せっかく研修などをして育成したオペレーターが辞めてしまうことも考えられ、人材不足にますます拍車がかかることにもなります。
それを防ぐためにも、上司はオペレーターと積極的にコミュニケーションをとり、何か問題があれば早急に改善していきましょう。よい関係性を保つだけでも、悩み事が相談しやすくなるなど、風通しのよい職場をつくれるでしょう。また、そのような心理面だけでなく、照明や空調などの整備も行うことが重要です。
また、新人には本人が自信を持って業務に取り組めるような環境を提供することが大切です。
モチベーションを維持できるようにする
モチベーションが下がってしまうと、問い合わせ対応の最中にその空気が伝わってしまうこともあり、顧客に不快感を与えてしまうことになります。それどころか、放っておけばオペレーターが離職する可能性もあるでしょう。
このような問題を解決するためには、適切なタイミングで研修などを行い、モチベーションを高めていくことが大切です。冒頭で述べたように、オペレーターの中にはコンタクトセンターの役割を理解せず、単調な業務だと考えている人もいます。オペレーターの取り組むべき業務の在り方やそれがもたらす企業への効果などを伝えることもモチベーションアップにつながります。オペレーターに改善点がある場合も、モチベーションが下がらないように気を付けて指導しましょう。
部門内に表彰制度を設けるのもモチベーションアップに効果を発揮するでしょう。また、オペレーターが関与すべきではない部分以外は、新人であってもある程度任せる方がモチベーションは高まりやすくなります。
システムを活用する
システムを活用してモニタリングをしたり、オペレーターにトークスクリプトを示したりすることも効果的です。モニタリング機能を活用することで対応内容の分析ができ、その結果を用いながら人材育成をすることも可能になります。また、トークスクリプトを示しながら対応をすれば、新人であってもベテランのような応対に近づけられます。この機能を用いながら実践を重ねていくことで、研修だけでは難しい実際の感覚を掴めるようになるでしょう。
目標を共有する
たとえばKPIを共有することで、オペレーターの主体性を高めることもできます。具体的な達成目標を数値としてオペレーター全員が認識することで、日々の仕事への取り組み方も変わっていくでしょう。これにより、モチベーションを上げる効果も期待できます。
KPIを設定する際は、過去のデータをもとに、実現可能な範囲で設定するのがおすすめです。実現困難な目標をたてると達成が難しくなり、オペレーターのモチベーションが下がる原因にもなります。その上、不適切な応対品質の発生などで顧客満足度が下がる一因にもなるでしょう。
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フィードバック方法を工夫する
応対品質をよりよくしようとフィードバックを行っても、オペレーターに受け入れてもらえなければ意味がありません。そうならないためにも、受け入れてもらいやすいフィードバックの伝え方を考えることがポイントです。ミスや問題点だけをフィードバックするのではなく、よいところや改善が見られたところも伝えるとよいでしょう。
先によかったことから話すなど、話す順番にも工夫を凝らすのもおすすめです。また、一方的に伝えるだけでなく、なぜそのような事態が起きたかなど、オペレーターから話を聞くことで業務システムの問題が見つかることもあます。このような副次的メリットもあるので、フィードバックを行う際はこの点についても意識してみてください。
ミステリーコールを実施する
ミステリーコールとは、オペレーターの対応品質をチェックするために、外部の調査会社に頼んで顧客を装って電話してもらうことです。ミステリーコールを実施することで、内部で調査をする場合と比べて、客観的に応対品質を確認できたり、問題を発見できたりします。自分たちだけでは気付けなかった問題点やよい点を発見できるため、定期的に行うのもいいでしょう。調査結果は共有し、よかった点は全員が真似をする、悪い点は改善していくなど、ほかのオペレーター全体で振り返るために活用していくことが大切です。
まとめ
コンタクトセンターの人材育成は顧客満足度向上にもつながっているため、適切なタイミングと内容で行っていかなければなりません。ポイントを押さえた指導をしていくことで、新人オペレーターも業務をしっかり行っていけます。ここで紹介したポイントを参考にしながら、よりよい顧客対応ができるオペレーターを育てていきましょう。
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