コンタクトセンターは企業と顧客をつなぐ接点となる重要な部門です。企業のブランドイメージを左右するポジションであり、顧客との電話やFAX、Webサイトのお問い合わせやメール対応など、複数のチャネルにわたる業務を担っています。そこで今回はコンタクトセンターを運営・管理するためのポイントについて解説します。
コンタクトセンターの運営管理でよくある課題
コンタクトセンターは顧客と企業の架け橋となる重要な役割を担う部署です。コンタクトセンターの対応によって顧客満足度が左右されるといっても過言ではありません。しかし、オペレーターの定着率の低さや人材不足といった問題を抱える企業も多くあります。ここではコンタクトセンターの運営管理における課題について見ていきましょう。
慢性的な人材・オペレーター不足
少子高齢化と人口減少により、さまざまな業界で人手不足が叫ばれています。それはコンタクトセンターも例外ではなく、多くの企業が慢性的なオペレーター不足に悩まされているのが実情です。職業的な観点から見ても、オペレーターという職種の定着率は決して高くありません。コンタクトセンターの雇用形態は非正規社員が中心であり、「2019年度コールセンター企業実態調査」(※)によると、90%以上の企業が正規社員数は5割未満であると回答しています。こうした背景から、コンタクトセンターは慢性的な人手不足に陥っているのです。
※https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/callcenter_research_2019.pdf p.3
お客様対応の品質
オペレーター業務は決して簡単な仕事ではありません。企業の商品やサービスに対する幅広い知識を必要とし、理不尽なクレームに対する忍耐力と臨機応変な対応力が求められます。そのため、人材育成に多くの時間と費用を必要とします。適切かつ迅速な対応は顧客満足度の向上につながる重要な要素です。そのため、優秀なオペレーターを育成する教育制度の構築が必須となるでしょう。
オペレーター業務の生産性
オペレーターの業務は一昔前までは電話対応がメインでした。しかし、IT技術の進歩と共に業務の幅は大きく広がり、電話対応はもちろん、メールやチャット、Webサイトのお問い合わせなど、複数のチャネルで顧客との適切なコミュニケーションを取ることが求められます。しかし「業務チャネルが拡大してオペレーターの負担が増す一方で、業務システムは従来のまま」という企業がほとんどです。業務の生産性を効率化するシステムの構築が、今後の課題となるでしょう。
運営管理においてSVに必要な能力
コールセンターのマネジメントにおいて最も重要なのは高い応対品質です。そして、応対品質に優れるオペレーターを育成するためのカギとなるのがSV(スーパーバイザー)の存在です。SVとは、コンタクトセンターに所属するオペレーターの管理者を指します。オペレーターとして優秀であることはもちろん、管理者として部下をまとめて牽引していくリーダーシップも求められるでしょう。ここではコールセンター運営において重要な役割を担う、SVに必要な能力について解説します。
業務遂行能力
オペレーターの管理者であるSVには高い業務遂行能力が求められます。コンタクトセンターにおける業務とは顧客への応対業務であり、管理者であるSVはオペレーターにとってお手本となる応対能力が必要不可欠です。商品やサービスに精通し、丁寧な顧客対応ができるのはもちろん、クレームに対しても的確かつ迅速に処置するスキルが必須でしょう。SVはリーダーとして管理業務を行うと同時に、応答率や稼働率、AHT(平均処理時間)やASA(平均応答速度)などのKGI(重要目標達成指標)を高く保つ優秀なオペレーターであることも求められるのです。
統率能力
管理者という立場であるSVは、オペレーターをまとめるマネジメント能力が必須です。生産性の高いチームを構築するには、スタッフ一人ひとりの適性を明確に把握し、適切なポジションに配置しなければなりません。そして、的確な支持や助言によってチームの生産性を最大化する統率能力が求められます。そのためには普段からスタッフとのコミュニケーションを図り、深い洞察力と分析力をもって管理業務に取り組む必要があるでしょう。
数値管理能力
SVは、KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)といった指標を具体的な数値として管理する能力が必要です。例えば、コンタクトセンターにおいて、最も重要とされる指標に応答率があります。応答率を高めることは、それだけ多くの顧客と接点をもつことを意味しており、直接的ではないにせよ、企業の収益向上にも大きく関わってきます。
こうした指標をオペレーターがそれぞれのどの程度達成しているのかを把握し、達成率が低ければ原因を分析して改善策を立案していかねばなりません。大切なのは曖昧な目標管理でなく、具体的な数値として管理することです。そうすることで、コンタクトセンターの現状を的確に把握できるでしょう。
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コンタクトセンターの運営管理で必要なポイント
顧客満足度の向上は企業にとって至上命題であり、その役割の一端を担うのがコンタクトセンターです。ここでは、企業と顧客をつなぐ接点となるコンタクトセンターの運営管理におけるポイントについて解説します。
日別で数値チェック
コンタクトセンターの運営管理における重要なポイントの一つが、日別で数値をチェックすることです。コールセンターの成績表とされる品質管理は、現状を的確に把握し、今後の方向性を定める指標となります。従来は数ヶ月に1回程度のペースでチェックをするのが標準でした。
しかし、ビジネスを取り巻く環境は凄まじい速さで変化しており、それはコンタクトセンターも例外ではありません。品質管理の目標数値が低下してからでは打つ手がないとも言えるでしょう。よって、可能な限り短いスパンで数値をチェックする必要があり、日別管理できる仕組みを構築して毎日数値をチェックするのが理想です。その際、毎日の数字に一喜一憂するのではなく全体を俯瞰して現状を認識し、正しく数字を読んで対処していきましょう。
適切な人材評価
コンタクトセンターにおいて人材は最も大切な資産です。そして、人材の評価と品質管理は密接な関係にあります。しかし、コンタクトセンターでは人材を正しく評価する制度を導入している企業は多くありません。
優秀なオペレーターの定着率を高めるためにも、適切な人事評価の実施は必須でしょう。多くの企業において昇進や賞与といった、従業員の処遇を決定する基準となるのが人事評価です。適切な人事評価制度を構築できれば、従業員一人ひとりが、「何を求められていて、何をすべきか」という個人目標を自発的に設定してくれるでしょう。目標が明確になればモチベーションもアップし、さらにはコンタクトセンターの品質評価向上という好循環が生まれるでしょう。
コンタクトセンターの運営を適正化するシステム
IT技術の発展とデジタルデバイスの普及に伴って、コンタクトセンターの業務は顧客からの電話対応だけでなく、メールやチャット、FAXやSNSなどオムニチャネル化しました。こうした一連の業務を適正化するためにはITシステムの導入が必要不可欠です。
システムは主に6つの要素に分類されます。コンタクトセンターの中核を担うシステム「CTI」、オペレーターの稼働状況を把握して管理する「ACD」、番号選択によって問い合わせ窓口を振り分ける「IVR」、着電を整理して回線を効率良く使うための「PBX」、定型業務を自動化する「RPA」、自動コミュニケーションツールの「チャットボット」、この6つがコンタクトセンターを構築するうえで欠かせないシステムとなっています。
まとめ
企業と顧客の架け橋となるコンタクトセンターは事業戦略において重要な役割を担う部門です。コンタクトセンターを適切に運営・管理することで顧客満足度が向上し、企業のブランドイメージを高めることにつながります。ぜひ、今回の記事を参考にしてコンタクトセンターの運営や管理を、一度見直してみてはいかがでしょうか。
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